そこ、神様が通りますよ。 陸
「それが誰かわかるのか?ってかその協力者ってのは何の為にそんな事をしてるんだ?」
「ええい!一度に二つも質問するでない!よいか?一つづつ回答してゆくから耳の穴をかっぽじってよく聞くが良いわ!」
「まず一つ、協力者が誰か、それは大方予想はついておる、もう一つ、その行動の意味、恐らく、自分を見つけて欲しいからじゃろう、しかし混乱を招かないために世界外の異分子以外には見つかりづらくするとは…」
最後の方はあまり聞き取れなかったが、だいたい分かった。
体全身の力が抜けるような気がした
「しかしわからぬな、奴は一体誰に見つけて欲しいのじゃ?」
彼女が何かブツブツ言っているが僕はもう聞こえていなかった。
急に緊張が緩まったせいか僕は彼女を舐めるように眺め回していた。
彼女はそれに気づいたのか、何やら顔色を変え、僕を見つめる。
僕も見つめ返す。
境界付近での沈黙は、環境音すら聞こえない。
無に等しい、音が一切聞こえない、まさに無音だった。
その沈黙を破ったのは、彼女だった。
「突然じゃが、先ほど記憶が全て戻ったのじゃよ、勿論、どうやってこの世界に来たのか、や、本当の妾について、などな」
僕は彼女を真剣な眼差しで見つめる。
彼女は続けて喋る。
「本当の妾は、中心世界『コアワールド』の住人、神じゃった…そこではの、すべての世界を監視し改変できる力があったのじゃ、例外として中心世界を除いての」
中心世界『コアワールド』。
聞いたことのない世界だ。
「そして、奴が…狐咎が妾達大罪の巫女を五つの世界へ落としよった、その時に、空の境界を越えたのじゃがある不祥事が起こったのじゃ」
「ある不祥事ってなんだ?」
「精神分離じゃ、不意を突かれての出来事じゃったからうまく境界を越えられず精神体だけになってしまったのじゃよ、そこで自分の元の姿に一番近い依代を呼び寄せたのじゃ、それが今の妾の身体じゃ」
「それじゃ、身体はリアルロリの可能性もあるの!?じゃなくて、その身体持ち主はどうなったの?」
「こやつは身体が弱かったようでの、ちょうど息絶えたところじゃったのじゃ」
「そうか…可哀想に…」
「さらに言えば、こやつは両親からある嘘をつかれておった、その嘘は自分達は夢幻世界『パラダイスヒル』に居ると、産まれてからずっと部屋の中じゃったようじゃから信じてしまったのじゃろう」
「つまりあれだろ、記憶が微妙に曖昧だったのは、依代に乗り移った時に、記憶が混同して、お前の記憶が一時的に失われていたからだと」
「説明するまでもないようじゃな」
彼女はぐっと僕に近寄り顔前で二言
「最後の質問じゃ」
「おぬしよ、妾の夫にならぬか?」
次回は、彼女の本名+まだ名前が出ていない彼の名前を出す予定です。
次回予告ってこんな感じでいいのかな…




