そこ、神様が通りますよ。 伍
注意、セリフ多めにつき。
美しい…いや、可愛い?
むしろ萌える!
羽生えてる!何あれ!?
僕は小さなパニックに陥ってしまった。
理由は至極簡単で、簡潔で。
さっきまで可愛い顔をして寝ていた可愛い女の子が可愛い羽生やして可愛い顔しながら可愛くとてとて歩いてこっちに向かって来るんですよ?
可愛すぎてパニックにくらいなるでしょう?
「可愛すぎて、もう死にそうだ…」
「そうか踏んでやろう」
「ありがとうございますッ!」
僕は自分より年下の女の子に踏付けられて喜んでしまった。
しかし、本能というものは恐ろしい。
本能は、潜在能力を引き出し身体能力を最大限まで高めてくれる。
どんな事でも楽しくなってしまう。
やばい、ここは天国ですか?
あははあははと不気味に笑う僕へと彼女が話しかけてくる。
「何阿呆面を晒しておるのじゃ…その…折角の男前が台無しじゃぞ」
少々照れ気味に言うのがグッド、いやエクセレントだ。
僕は別におめかしなんかはしていないが、今の彼女からは格好良く見えているのだろう、きっとそうだ。
「そうだ、主よ」
「ん?なんだ?」
「いくつか質問がある、全て答えてくれんかの」
「あ、あぁ…わかった、俺に答えられることならな」
「一つ目じゃ、主はこの境界に触れたかの?」
「いいや、触れちゃいない」
「二つ目じゃ、主はこの世界でおかしなことがあるのに気付いておるかの?」
「おかしな事ってなんだ?」
「知らぬのじゃな?なら三つ目じゃ、主はほかの世界が存在する事を知っておるな?なぜ知っておる?」
「学校で教わった、それがどうした?」
「四つ目じゃ、科学世界は今どうなっておる?」
「それは先週ニュースでやってたな、確かマシナリーズが開発されて、世界内戦が始まりそうなんじゃなかったか?」
「まだ気づかんのか…」
彼女は呆れるように肩を落とした。
僕は今まで習ってきた事になんの違和感もなかった。
しかし彼女の次のセリフで、全て疑問に変わった。
「確か境界は越えることができんのじゃったな、ならなぜ、ほかの世界の情報がわかるのじゃ?」
むしろ、なぜ今まで疑問にすら浮かばなかったのだろうか?
「そうか…って事はどうにかして境界を越える方法があるってことなのか?」
「そうじゃが…恐らく主は無理じゃの、そして主だけじゃなく、他の者も無理じゃろう」
「それは…どういう事だ?」
「協力者が、おるということじゃよ」




