そこ、神様が通りますよ。 参
しかし女の子ってのは不思議だ。
「こんなに...食うのか...」
たった数時間で僕は女体の神秘を思い知らされたとも言っていいだろう。
それは服を買ってからすぐの事、朝から何も食べていなかった僕はそろそろ活動限界が近づいていた。
彼女も口にはしないが少し元気がなくなってきているように見えた。
僕は境界へ向かう前にファミレスへ寄ることにした。
ファミレスへ着いてすぐ、彼女は僕を睨みつけた。
理由は至極簡単だ。
彼女だけ和服で、客、ウェイトレスは勿論僕も洋服を来ているためである。
お祭り事でも滅多に見かけることのない和服だ、僕はそれを知っていてわざと和服を着せた。
だって可愛いから。
彼女は入ってすぐ店員に珍しそうに眺められ、客からは写真を撮られてたいへん恥ずかしそうにしている。
天使だ。
僕は純粋にそう思う。
「恥じらいからうまれるその頬の紅潮はまさに天が与えてくれた神秘ゴフッ…」
蹴られた。
どうやら声にでていたみたいで、僕は周りの人からは奇異な目で見られてしまった。
僕としたことが多少自分の欲望に忠実過ぎたのがいけなかったのかもしれない。
で。
「恥ずかしいけどまた移動する根気もないから結局ここで食べると…」
「しかし、妾をあれだけ辱めたのじゃからのう、責任をとってもらおうかの」
「つまりそれは?」
この時、特に嫌な予感はしなかった。
どうせ、この店一番のでっかいパフェかなんかたのむんだろうなとか、そんな予感くらいだった。
しかし、僕の予感はアテにならないことを思い知らされる。
「この店の品、全部食べるまでこの店から一歩たりとも動かぬわ」
最高の笑顔でそう言い放った。
僕はすぐに財布を確認する…よし五億入ってる。
戦闘準備はOK、後はどれだけ腹に入るかが勝負だ。
「この店の品は全部で100品目+α…ってαでけぇよ何だあれ食いもんかよ…」
化物かなんかじゃないのかと思わせるビジュアルとその器の大きさが凄まじい…
隣にそれを頼んだ客がいるが、十分の九を残して撃沈している。
しかし、アレを食べてる彼女を見てみたいと考えてしまう自分がいることに気付く。
僕は店員を呼び、このメニューに書かっている品を全部持ってきてくれと頼んだ。
店員は、歪な顔をして「かしこまりました…しばらくお待ちくださいませ」と一言言い残して、奥へと消えた。
それからというもの、僕は三品も耐えられずにギブアップ。
彼女はその間も黙々と食べ進み数時間が経過する。
「ブラックホールかよ…」
誰かがそう呟いた気がする。
まさにそうだ。
もうあの化物の+αまでたどり着き、彼女は
今まさにそれを平らげようとしていた。
最初にああは言ったが、彼女が特別なのかもしれない。
そしてここでフィニッシュとともに、あの一言を言わせてもらおう。
「こんなに...食うのか...」
当店で扱っておりますこの+αには伊勢海老からカレー、バニラアイスなど様々な物がまざった、見た目は残飯の様な料理なのですが、とても美味しいと評判です。
美味しすぎて、完食できないのに頼む人が沢山出るくらいの名物となっております。
お値段は5万となっておりますが、完食なされた方にだけ免除となっております。
ご勝負、なさいますか?




