豊かな日常の鼓動。 弐
遅れてしまった、済まない…
え?
なんで遅れたのかって?
それはな、感想文を書いたら何かこう、小説の書き方を忘れてしまったといいますかその…
忘れてただけです
すみません
すっかりと忘れていた本題へ入ろう。
本題は昨日あったこと、どうして彼女の記憶が戻ったのか。
それが一番なのだが、それ以外にもいくらか聞かねばならないことがあった。
聞かなければならない、聞かなければいけない。
それは衝動じゃなく、確信だ。
「本題に入るけどいいかな、ヘリオ」
「おお、そうじゃったな丁度よく妾も主に…いや言ノ葉に言わねばならぬことがあったのじゃ」
わざわざ僕の名前を言い直してくれるあたり、かわいいな。
萌えポイント300点くらいあげちゃおう。
「そうか…なら話は早いな」
欲求をこらえながら僕は、本題を問う。
結構辛い。
「まずはじめは、君の記憶について、だ、どうして戻ったんだと思う?」
「おそらく条件解錠じゃろ、主が…言ノ葉が残していったメッセージを見た瞬間、記憶が流れ込んできよったからの…そして妾の失われた記憶を拾い、鍵をかけて妾の近くに漂わせていたのは恐らく狐咎のやつの仕業じゃろうて」
以前から聞き覚えがあるような、ないような、そんな名前が出てきた。
狐咎とは一体何者なのか、知らなければならないと思い、問う。
「だとすると、ヘリオが空の境界を越えた時に狐咎って奴が記憶を抜き取って鍵をかけた可能性があると…狐咎ってのは一体何者なんだ?」
「死にたくなければそれ以上聞くでない!」
いきなり激昂した彼女は、いつもの彼女のようではなかった。
「神である妾とて、愛する者をこの手で殺したくはないのじゃ…」
彼女は悲しそうな顔をしている、しかも彼女にこんな顔をさせてしまったのは僕だ。
「すまない」
なぜ激昂したのか、理由はわからないが、僕だって愛する者の手で殺されたくはない。
だからこそ、とにかく謝っておくことにした。
僕が謝ると、彼女は重々しく口を開く。
「すまぬ、狐咎の事は教えられぬのじゃ、大罪に触れてしまうからの…」
大罪?
そう言えば大罪の巫女について聞こうと思っていたんだが、いつの間にか忘れていた?
記憶がいつの間にか書き換えられたのか?
だとすれば、ヘリオの仕業じゃない。
ヘリオなら記憶自体を、バックアップ無しで消してしまうだろう。
そちらの方が彼女らしい。
「なら、大罪の巫女とはなんだ?」
また消えてしまっては、せっかく思い出した意味がなくなってしまう。
僕は、覚えているうちに聞き出すことにした。