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だい じゅうろく わ ~変化~




 私には、毎朝起きてやることがある。


 ――ここはどこ?

「姉様のお膝元、月波市」


 ――今いるところは?

「私立月波学園の下宿『行燈館』」


 ――ここの主は?

「ミノリ」


 ――ここの友人は?

「ミノリ、アキコ、ヨシキ、ハル、イズミ、クレナイ……それに、ユタカ。他多数」


 ――前からの友人は?

「……分からない」


 ――私が今、憑いている人は?

「ユタカ」


 ――私は誰?

「妖怪白狐で、稲荷」


 ――私の名前は?

「……分からない。仮名はビャク」


 ――家族は?

「……分からない。遠い血縁に、ホムラ姉様」


 ――愛する者は?

「……………………」


 言葉が詰まる。

 その時、襖の縁を遠慮がちにコンコンと叩く音が聞こえた。

「ビャクちゃん? 起きてる?」

「あ、うん。今起きた」

「朝ごはんできたから、顔洗っておいで」

「うん、そうする」

 答えると、声の主は遠ざかっていった。

「……………………」

 もう一度、自問自答する。


 ――愛する者は?

「分からない」


 ――では、好きな人は?

穂波ほなみゆたか



       *  *  *



 言われた通り顔を洗って食堂(と呼ばれる大広間)に行くと、すでにいくつもの卓袱台を囲んで、ここの住人たちが朝食を食べていた。

「おはよー」

「あらビャクちゃん、おはようございます」

「おはようございます」

「おう、おはよう」

「うむ、おはよう」

「おはようっす」

「おはよう」

 次々と掛けられる「おはよう」の挨拶。

 そんな中、私は空いている席に腰掛けた。

「おはよう、ビャクちゃん」

 と。

 その声は頭上から降ってきた。

「……っ!」

 ビクッと、無意識のうちに体が震えた。

「……?」

 見上げると、ユタカがお盆を手にしたまま小首を傾げていた。

「どうしたの?」

「な、何でもないわ……!」

「声が上擦ってるけど」

「何でもないったら!」

「あ、そう……」

 勢いよく否定すると、ユタカは不思議そうな顔をしながらお盆を私の前に置いた。

 今日の朝食は炊き立てホカホカのご飯に鮭の塩焼き、ヒジキの煮物、そしてモヤシと油揚げの味噌汁だった。

「……ビャクが来てから、明らかに油揚げの出現頻度が上がったような……」

 ズッと、ヨシキが味噌汁をすすりながら呟いた。

「だってビャクちゃん、油揚げが好きなんですよ」

「いや、それは分かるが……」

良樹よしきさん、油揚げはお嫌いですか……?」

「そうでもないが……」

「ふむ、だったら文句はないではないか」

「別に文句があるわけじゃ……」

「だったらボクが代わりに頂くっす!」

「誰がやるか!」

 女性陣の総攻撃に遭うヨシキ。

 ちなみに、それぞれミノリ、アキコ、ハル、イズミである。

 何となく好かれてるなーという実感はあったが、しかしこの四人は、隙を見ては私の尻尾や耳を触りに来るから油断できない。

 少し天然気味のミノリとアキコ、天真爛漫なイズミはともかく、普段は冷静なハルまでも加わるのだから、人とは、ヒトとは分からない。

「いやー、ビャクちゃんモテるね」

「同性に好かれても複雑なんだけど!?」

 笑いながら自分のおかずをつつくユタカ。

 そう、同性に好かれても嬉しくない。

 どうせなら……。

「……………………」

「ん?」

「……っ!」

 ユタカと目が合いそうになって、慌てて味噌汁を口に含んで誤魔化す。

 ……どうにも、あの日以来意識してしまう。

 あの日とはもちろん、ユタカのやっている部活を見学した時だ。

 二階のガラス越しに見た、銃を構えて的を狙うユタカの目はとても真剣そのもので、とても格好良か――じゃなくて!

 あの時あの瞬間は別にそうは思わなかったけど!

 問題はその後だった。

『相変わらずいい腕だな』と言って近付いてきた黒い男に、ユタカは遠目から見ても狼狽していた。

 誰だろう知り合いかなと考えながら、悪いとは思いつつも聞き耳を文字通りの意味で立てていた。

 ガラス越しだし距離もあったが、私には聞こえた。

 しかし話している内容は、私には意味が分からないものばかりだった。

 だが、飽きたので再び隣に座っていたイヴと雑談を始めた時だった。


『で、もう一つは何だ?』

『……彼女』

『……何だあのゴスロリ二人組みは』

『片方……白髪じゃない方はうちの部長ですが』

『……………………』

『とにかく、二人のうち白髪の方です』


 私?

 気になって再び聞き耳を立てる。


『あいつがどうかしたか?』

『あの娘のこと、どう思います?』

『どうって……獣の耳が生えてるな。ありゃ狐か?』

『そうじゃなくって……』

『つーか、ユウ、お前あいつとどういう関係だよ』

『……………………』


 そこでユタカは、しばし悩ましげに眉をひそめた後、こう言い放った。


『僕の恋人です』


「ブフッ!?」

 吹いた。

 もう盛大に吹き出した。

 姉様がいたら行儀が悪いと怒られたかもしれない。

 いや、ともかく。

「あらあ、そうなの?」

「……っ!?」

 ニヤニヤと笑みを浮かべるイヴが目の前にいた。

 どうやら彼女にも聞こえていたようで。

 その後、筆舌しがたい弄りと辱めが繰り返され、ユタカが銃を片付けることでようやく解放されたのだが。

 気になって、帰り道でなぜあんなことを言ったのかを聞いてみると、ユタカは鯉が何だのと意味不明なことをのたまった。

 その時、アレはあの男から何やら情報を聞き出したいがためにとっさに吐いた方便だったのだと合点がいった。

 全くもって、弄られ損の照れ損である。

 それなのに……。

「……………………」

 もう一度、暢気に朝食を食べているユタカを見やる。

 たったそれだけなのに。

「……………………」

 顔が、と言うか首まで赤く熱くなるのが分かる。

 何でだろう……。

 確かにこいつは優しい。

 むしろ度が過ぎたお人好しだ。

 いきなり転がり込んできた私の世話もしてくれている。その上、妖怪として、神として力の大半を失っている私に自身の力を分け与えてくれている。

 ついこの前も、壮絶な兄妹喧嘩とやらの仲裁に入って逆に怒られたらしい。

 本当に人がよすぎる。

 誰にでも優しいと言うことは、誰に対しても特別優しいと言うわけではない。

 それなのに。

「……………………」

 どうしてこの横顔を見るだけで、こんなにもドキドキしてしまうのだろう。

 どうして、私にとって穂波裕という人間は、特別な存在であると思えてしまうのだろう。



       *  *  *



 朝食が済み、住人たちが行燈館を出ると、途端に暇になる。

 住人の大半が朝から授業があるそうだ。

 いつの時代も学生とは大変なものね、などと自分でも年寄り臭いセリフを吐きつつ、宛がわれた部屋でくつろいでいた。

 ゴロゴロ。

 ゴロゴロ。

「……………………」

 暇、である。

 昔はこんな時、何をやっていたのだろう……?

 思い出せない。

 当たり前だ。

 魂と一緒に、記憶まで奪われているのだから。

「……………………」

 また気持ちが沈みかけたところで私は立ち上がり、部屋の外に出た。すると長い廊下の先に、なぜか妙に似合う割烹着を身にまとったミノリが窓を拭いていた。

 ふむ……。

「ミノリー」

「ビャクちゃん」

 ミノリは開いているのか閉じているのか微妙に分からないトロンとした目をこちらに向けた。

「何か手伝うこと、ある?」

「あら。いきなりどうしたのですか?」

「ちょっと、ね。あまりに暇すぎて身を持て余してたところなの。昨日まではまだ調子は戻ってきてなかったから部屋で大人しくするしかなかったけど、今日からは何かお手伝いでもしようかなって」

「そうなのですか。それはユーくんのおかげですか?」

「……まあ、そう、かな……?」

 いきなりユタカの名前が出てきて、私は無意識に俯いた。

 ダメだ。名前を聞いただけでこうなるなんて、よっぽど重症だ……。

 ホント、何なんだろう……?

「ふふっ、それでは窓のお掃除をお願いしてもいいですか?」

「うん!」

「……あ。待ってください」

「……?」

 雑巾とバケツを私に預け、ミノリは小走りでどこかに消えた。

 何だろうと首を傾げていると、すぐにミノリは戻ってきた。

 手に、何やらフリフリたっぷり服を携えて。

 前にイヴからもらった『ごすろり』とやらに似ている。アレよりも少し落ち着いた印象があるが。

「わっ。可愛い……!」

「そうですよね? ビャクちゃんのために作ってみたんですよ! このメイド服!」

「冥土服……?」

 何やら物騒な単語が聞こえたような?

「これはですね、昔、ヨーロッパで大きなお屋敷で働く女性の使用人さんが着る服なのです」

「へえ……?」

 ヨーロッパの人って、こんな服着て働いてたんだ。

 でもなぜに冥土?

「これをビャクちゃんに差し上げます!」

「え? いいの?」

「もちろんです! 試しに、今日はこれを着てお手伝いしてみてください!」

「……? いいけど?」

 頷くと、パアッとミノリの表情が輝いた気がした。

 なぜだか、ここに居座るようになってから、謎の悪寒に襲われるのだが……。

 貞操の危機とはまた違う、何かが迫っているような……。

「まあいいか」

 大体、私の勘は昔から外れるのだ。

「……………………」

 昔から、か。

 稀に、自分では理解できないのに、体が、感覚が覚えている時がある。

 そんな時、私は自分にも過去があったのだと、ほんの少しだけ安堵する。

「……それより」

 貰ったこれを着てみよう!

 私はわざとらしく気持ちを盛り上げ、一度自室に戻ってその冥土服に袖を通した。

「お、おおっ……?」

 そしていざお手伝いを始めてみると、意外なことが分かった。

「な、何か……動きやすい、かも?」

 これだけヒラヒラとしているのに、裾とかは全く邪魔に感じない。むしろ前掛け(えぷろん)やたくさんある衣嚢ぽけっとが機能的だ。

 なるほど確かに使用人が着ていたというだけのことはある。

 まったく、これだけ便利な上に可愛らしいとは、油断ならない。

「ん~♪」

 気付けば、私は上機嫌になって窓を拭いていた。

 そしてあらかた窓を拭き終えた後で、廊下の拭き掃除を終えたミノリが近付いてきた。

「それじゃあビャクちゃん、お昼にしましょうか」

「え? もうそんな時間?」

「はい」

 頷き、ミノリは腕時計を見せてくれた。

 やけに可愛らしい造りのその時計は、確かにお昼の十二時半を指していた。

「わ。全然気付かなかった」

「そうでしょう? お仕事をすると、時間が過ぎるのが早いのです」

 言いながら厨房――という名の土間に向かう。

 お昼は何だろう?

「ビャクちゃん、何か食べたいものはありますか?」

「キツネうどん!」

「はい、分かりました」

「……甘やかしてんじゃないですか」

 と。

 背後から呆れた声が聞こえてきた。

 振り向くと、苦笑交じりのヨシキが立っていた。

「良樹さんではないですか。今日は昼休みの後のコマは授業があるんじゃないんですか?」

「急に午後が休講になったんですよ、俺もアキも。この時間じゃ食堂に行っても混んでるだけですんでこっちで飯食うことにしたんです」

「そうなのですか」

「……それはそれとして」

 ジロジロと私を、と言うか私の格好を見るヨシキ。

 何か変かな?

「……何でメイド服なんですか」

「似合うと思いまして」

「……………………」

 ヨシキは深く溜息を吐く。一体どうしたのだろう? こんなに可愛いのに。

「似合うと思ってって、それだけで――」

「管理人さん? ああ、こちらにいらしたのですね。何か手伝えることはございますか?」

 何か言いかけたヨシキを遮るように、今度はアキコが登場した。

 そしてアキコも私の服装をジロジロと観察し始める。しかしすぐに「ちょっと待っていてください」と言い残し、その場を離れた。

 何だろう……?

 待つこと数分。本当にすぐに戻ってきたアキコは、冥土服と同じようなフリフリのついた髪飾りを持ってきた。

「管理人さん。これを忘れてはいけないと思います」

「はっ。うっかりしていました!」

「おいちょっと待てアキ。そんな物、どこにあった?」

「え? これはわたくしが持っていたカチューシャを、たった今手を加えて作り上げた物ですよ?」

「手際が良過ぎる……!」

 愕然とした表情を浮かべるヨシキ。だけどミノリもアキコも全く意に介さず、その髪飾りを私の頭に乗せた。

「……こう、でいいの?」

「「はい!」」

 やけにニッコリと笑う女性陣。その嬉しそうな瞳を見ていると、何故だか分からないが、また原因不明な悪寒に襲われた気がした。

 まあ、きっと気のせいだろう、うん。

「それでは、お昼にしましょうか。あきさん、お鍋に水を張って火に掛けてください。私はお出汁と油揚げの準備をしますので」

「はい、分かりました」

「あ、マジでキツネうどんにするんだ……」

 ヨシキの呟きは完全に無視された。

 このすぐ後、釜戸に火がつけられないアキコをヨシキが大袈裟に宥めていたが、もうすでにその光景を日常の一部として捉えることができる私は、かなりここに慣れてきたと言っても良いと思う。

 ズルズルとお昼のキツネうどんをすすっていると、玄関の方から何やらかしましい声が聞こえた。

「はーっ、ようやくこの鬱陶しい腕輪から開放されるっす!」

「だが、思っていたよりも早かったな」

「そうっすか?」

「うむ。私はもう少し時間がかかるものだと思っていたからな」

「おれもです」

 あれ……?

「ハルちゃんにいずみちゃん、それにくれないくんではないないですか。どうしたのですか?」

「あ、ミノリさん!」

「何故かは分かりませんが、午後の授業が急遽休みになったので」

「あれ? 中高等部もですか?」

「む? と言うことは大学もか?」

 その他にも、ワイワイと次々に行燈館の面子が帰宅してくる。

 昼間からここまで賑わうとは珍しい。

「その上、今夜は外に出るなと釘も刺され――」

 と。

 ハルとイズミの動きが止まった。そしてその視線は私へと集中し、

「「……………………」」

 パタパタと二人は自分の部屋に向かって駆け出した。

「……?」

 どうしたんだろう、二人とも。

 私が首を傾げていると、二人はすぐに戻ってきた。

「ビャクちゃんビャクちゃん! これで髪を結んでみるっす!」

「ついでにお化粧もどうだ? 素材はいいから薄く軽くで良いと思うのだが」

 手には、髪留めが二つと小さな化粧箱が。

「泉ちゃん……」

「ハルさん……」

「「グッジョブです!」」

「「いやあ……」」

「「……………………」」

 盛り上がる女子四人に対し、ヨシキとクレナイは居心地の悪そうに大広間から出て行った。

 かくして。

「どう……かな」

「「「「……っ!!」」」」

 イズミの髪留めで髪を二つに結わえ、ハルの施してくれた化粧姿で四人の前に出る。

「はあ……あき子さん、私、死んでもいいです」

「待ってください管理人さん! 気持ちはわたくしも同じですが、早まってはいけません!」

「うわあ……綺麗っす……。それに可愛いっす……」

「うむ……。まさか、ここまでとは……」

 恍惚とした表情を浮かべる四人。先ほどから手がイヤーな動きをしているのが気になるが、ともかくとして。

「あの、さ。さすがに恥ずかしくなってきたんだけど……?」

 さっきから大広間の前を通る人たちが足を止めてこちらを見ているのが分かる。しかも男女問わず、何かしらの熱っぽい視線まで送ってきているのだ。

 着替えていい? と訊ねると四人は、

「まだもう少し待ってください!」

「写真! 写真!」

「ああっ。ボクのケータイ、画質悪いっす……!」

「待っていろ! 今すぐデジカメを持ってくる!」

 と、バタバタとし始めた。

 何かもーせわしないと言うか、ここまで喜ばれたら簡単に着替えるわけにもいかない。

 ハルが持ってきた写真機かめらを皮切りに、撮影会が始まってしまった。しかも明らかに無関係だった外野までもが各々の写真機を手に撮影していた。

 こそばゆいんだけど……。

「あーもーっ! 本当に可愛らしいです! ビャクちゃん、私の妹になりませんか!?」

「え?」

 何やらミノリが取り乱し始めた。

「妹?」

「そうです! ビャクちゃんがユーくんと結婚してしまえば、晴れてビャクちゃんは私の義妹です!」

「……っ!?」

 ユタカと……?

 けっこ……!?

「お、落ち着いてください管理人さん!」

「そうっすよ! ビャクちゃんはボクの妹っす!」

「……泉が姉か……?」

 若干一名、ミノリ以上に取り乱している人物がいた。

 ついでに言うなら、イズミは私の姉にはどうしたって見えないと思う。背とかもちっちゃいし。

「それに、この国の法律だと十八歳以下は結婚できないのだろう? ユー介はまだ十五歳だ」

「ハルさん……? 突っ込むべきところはそこではないと思うのですが……」

 妙にずれた発言をするハル。どうやら一見冷静に見えるが、ただ冷静な振りをしているだけのようである。

 まあ、周囲が取り乱したおかげで、私は一周回って落ち着いていられたけど。

 ……そう言えば。

「ユタカと言えば、帰ってこないね」

「あ。そう言えばそうですね」

 周囲を見渡すミノリ。

 どこかへと退散していったヨシキとクレナイを除く行燈館の面子が、写真機かめら片手に昼間からほぼ勢ぞろいしている。しかしユタカの姿は見えない。

「……………………」

 見て、ほしかったかも……。

 この格好、結構可愛いんだし。

「……せっかくユーくんの趣味に合わせて、ビャクちゃんをメイドさんの格好にしたのに、もったいないです」

「……え? 管理人さん、ユタさんはそういう趣味なんですか……?」

「……そうなんっすよ。しかも隠しているつもりかも知れないんすけど、ツインテール萌えっす」

「……ただの銃マニアかと思ったら、そんな一面があったとは……」

「……?」

 何やらよく分からない会話が聞こえてきた気がする。

「えと、よく分からないけど、ユタカに用があるの?」

「え、あ、はい。そんなところです」

「じゃあ私が迎えに行ってくるわ」

 正直、今すぐにこの大広間から退散しないと、色々と大変なことになりそうだった。

 色々とは、まあ、色々と。

「行ってきます!」

「あ、はい。行ってらっしゃい」

 ミノリに質問する隙も与えず、私は玄関に向かって走り出した。


「……ま、別にいいです。触ったり抱きついたりはできませんでしたが、目の保養にはなりました」

「あの、管理人さん……?」

「はい?」

「いいんすか?」

「え、何がですか?」

「あの娘、メイド服で出て行ってしまったぞ?」

「……あ」



       *  *  *



「う~ん……」

 失敗した。着替えてくるんだった。

 月波学園の校門まで辿り着いたが、道中すれ違った人たちの視線が妙に気になった。

 以前の『ごすろり』の時もそうだったけど、この格好は現代では奇異な服装らしい。何度も変な目で見られれば、さすがに気付く。

 可愛いんだけどなー。

 校門を潜ると、妙に人影が少ないのが気になった。そう言えば午後からお休みって言っていたっけ。昨日もユタカを迎えに来たが、その時とはかなり違う風景に見える。

「……あれ?」

 そんな中。

 明らかに異質な外見の少女が向こうから歩いてきた。

 今の私以上に、全身にフリフリが施された黒い服装。手に白いウサギの人形を抱きかかえている。

「あれえ。ビャクちゃんじゃない。『久しぶりだな!』」

「イヴじゃない。それにルーインも」

「へえ。いいじゃない、そのメイド服。似合ってるわ」

「そ、そうかな」

 以前、私に『ごすろり』を一着くれたご本人だった。

 周囲の視線が心なしか倍に増える中、ウサギのルーインにもちゃんと挨拶を返す。

「どうしたの? 今日は午後休だから、ユッキュンはもう帰ったんじゃないかな?」

「ううん。まだ帰ってきてないから、来てみたんだけど」

「んん? そうなの? おっかしいなあ。さっき校門に向かって歩いてくのを見たよ?」

「え、そうなの?」

「ええ。忘れ物でもして戻ったのかなあ?」

「どっちに行ったか分かる?」

「んー……。『タカなら、確か第一校舎の方に行った気がするぜ? オレは見てた。』あ、そうなのお?」

「どっち?」

「あそこ。あの一番大きい建物よお」

 イヴとルーインが指差す方には、確かに一際大きな建物があった。五階建てくらいか?

 意識を集中させてみると、建物の裏の方からユタカらしき気配が伝わってきた。

「ありがとう! 行ってみるね」

「ユッキュンの場所、分かるの?」

「まあ、何となく」

「あらあ。それは愛し合っているがゆえに?」

「ち、違うわよ! 私はユタカに憑いてるから、繋がりは離れてても分かるだけよ!」

「それはつまり、恋人同士は離れててもお互いを感じれる――」

「違う! あと匂い! 私これでも鼻は利くのよ!」

「あ。ビャクちゃん、ひょっとしてユッキュンの洗濯物をクンカクンカして覚え――」

「うがああああっ!! じゃあねっ! 教えてくれてありがとうっ!!」

「じゃあねえ。後でそのメイド服、アタシにも着せてねえ」

 暢気に手を振るイヴを残し、私はさっさとその場を後にした。これ以上話しているとまた何を言われるか分かったものじゃない。

 すかーとの裾を掴んで、なるべく早く走れるようにする。

 だが、さっさとユタカの元に辿り着きたいのに、まだ校内に残っていたらしい行燈館の顔見知り何度か捕まり、思うように進めない。

 えーい……まどろっこしい……。

「……そうだ!」

 いいことを思いついた。

 人間はこういう時、初心に帰るって言うんだっけ。

 私は近くの茂みに潜り込み、手ごろな大きさの葉っぱを探した。



       *  *  *



「変化」

 見つけた葉っぱを頭の上に乗せ、座禅を組む。

「狐七化け狸八化け貂九化け、ってね。私たち狐と狸、鼬は化けるのが得意なんだよね。今こうして人間の姿を取っているのも、一種の変化の術なわけだし」

 でもまあ、本来なら耳と尻尾も完璧に引っ込めれるんだけど。それにちゃんと力が戻っていたら、変化に葉っぱを使わなくても簡単に変化できるんだけどなー。

 ……早く力を取り戻さないと。煩わしくて仕方がない。

「さて……」

 でも今回は比較的簡単なはず。

 何て言ったって、人から獣の形に戻るだけなんだから。

「んー、っと」

 私は座禅を組んだ肢に力をこめる。

 いっせーの、でっ!

 ポンッ、と。

 足と腰の反動だけで宙返りをする。すると途端に一瞬にして全身を煙が包み込み、その煙が晴れる頃には私の姿は変わっていた。

『ん。こんな感じかな?』

 あ、少し毛並みが乱れてる。最近この姿に戻ってなかったから、毛繕いが疎かになっていたからなー。

 自慢の尻尾の毛を舌で舐め、毛並みを整える。ついでに腰と前脚の毛も舐め揃えておく。

『よし、こんなものか!』

 さあいざ、改めて出発!

 ……しようと思ったら。

「あ、見て見て!」

「うわあっ、可愛い!」

「犬かな?」

「どっちかって言うと狐じゃない? しかも真っ白な!」

「裏山から降りてきたのかな? キレー」

「尻尾モフモフだあっ」

『……………………』

 女三人集まれば姦しいと言うが……。

「「「抱っこさせて~~~~~っ!!」」」

『ひいぃっ!?』

「あ、逃げた!」

「待ってっ! その尻尾触らせてっ!」

「出来れば耳も!」

 また何でこんなことになるのよ!?

 捕まって撫で回されそうになるところを間一髪、腕からすり抜けて走り出す。

 は、早くここから逃げないと(色々と)危ない気がする……!

 四肢に全力を込めて走る。さすがに人の形を取っていた時よりも速度は格段に上で、追いかけていた女子複数名を振り切ることはできた。

『はあ……はあ……。もう、何なのかしら……』

 どうにもこの学園に通っている女子には変なのが多い気がする。

 気がすると言うか、多い。学園に迷い込んできた狐を見つけて、いきなり抱きつこうとするとか、理解できない……。

 と言うか、ハルたちの話だと午後はお休みのはずなのに、何でまだ学園内をウロウロしてるのよ。

 周囲を見渡し、人気がないことを確かめて隠れていた茂みから出る。

 適当に走ってしまったため、ここがどこか微妙に分からない。さっきイヴが示してくれた大きな建物は少し遠くに見えているし、その辺りからユタカの気配もしているので迷うことはないだろうけど。

 また変なのに見つからないよう、注意しながら茂みに隠れつつ移動する。

『あ……』

 そして気配を頼りに、ようやくユタカを発見。

 だけど。

『あれ……? あいつって……』

 ユタカは建物の裏で誰かと話をしていた。相手は、異様なほど全身黒ずくめの長身の男だった。確か、ユタカが射撃場にいた時に話しかけてきた……えっと、ハクロ、だったかな?

 悪いとは思いつつも、こっそり近付いて聞き耳を立てる。

 あのハクロと言う男……人間にしては異常な力をその内から感じる。

 ユタカも彼の前では緊張しているし、少し気になった。

「――ってなわけで、だ」

 ハクロガ妙に大仰な口調で話している。

「お前には『穂波』として、是非とも『伍角天石』の一角を担ってもらいたい」

「……はあ。大体の事情は分かりました」

「おお、そうか」

「ですが正直、あずさがあなたと和解したことの方が驚きですね。悪魔がどうこうよりも」

 ……悪魔?

 ハクロはなおも大仰な動作で続ける。

「和解っつっても、あいつは隙あらば俺の寝首をかこうと虎視眈々だがな」

「まあ、あなたたちが手を取り合って仲良しこよし、って言うのは、今となっては想像できませんが」

「……だな」

 一瞬だけ、二人を取り巻く空気が緩んだ。

 いや、緩んだと言うよりも、気まずくなった、と言った方が正しいかもしれない。

「つーわけで、決戦は今夜だ。今から支度を整えておけ」

「……今日、いきなり午後休になったのは、あなたが原因ですか」

「まあな」

 飄々と頷くハクロ。だけどユタカはどこか気まずそうに顔を顰めた。

「ですが残念ながら、今夜は参戦できませんね」

「……あ?」

 一瞬にしてハクロの声音が険悪になる。

 その迫力に、私もビクッと体が反応してしまった。

 やはり、只者じゃない……!

「理由を……聞こうか」

「もちろんです」

 静かに頷くユタカ。

「理由、と言うか……羽黒はくろさんが狙っているその悪魔と、最近多発している黒炎の犯人は同一人物。ここまでは何となく分かりました」

「おう」

 え……。

 黒炎の犯人が、悪魔……?

 つまり、私の魂と記憶を奪ったのは――

「それはつまり――僕個人的な標的とも同一人物と言うことになりますね」

「んん? どう言うことだ」

「覚えていますか? あの射撃場で見た、白狐の女の子」

 ん? 私?

 改めてユタカの声に耳を傾ける。

「おう。覚えてるぞ。お前の恋人だっけ?」

「……あの娘は、その悪魔に魂と記憶を奪われています」

「ほう」

 静かに、ハクロは頷く。

 やっぱり、私の思い違いじゃなかった。

 ようやく……私の記憶の手がかりの情報が、入った……!

「しかもあの娘は、ホムラ様の血縁でして」

「……そりゃあ、命知らずな……」

 そこで初めて、ハクロはゾッとしたように青ざめる。

 あ、こいつは姉様のマジギレを知っている……。昔何をしたんだか……。

「それで、僕はその悪魔から彼女の魂と記憶を取り戻さなければならないんです。ですから、『伍角天石』の要になることはできません。今夜その悪魔を炙り出すのであれば、僕は個人的に悪魔を相手相手取る必要があるんで」

「ふむ……」

 唸りながらユタカを見るハクロ。そして不意に「なぜだ?」と問いかけた。

「え?」

「何でその白狐にこだわる? あのおっかねえ女狐に命じられたのなら分からんでもないが……。何なら、俺が悪魔から魂と記憶を代わりに奪い返してきてもいいぞ」

「ありがとうございます。……でも、これは僕がやると決めたんです」

 毎朝、とユタカは続ける。

「あの娘、ビャクちゃんって言うんですけど、毎朝、していることがあるんです」

「毎朝?」

「はい。……自問自答、です」

『……っ』

 み、見られてた……!?

 うわあっ、ま、まさか最後の独り言まで聞いてないでしょうねっ!?

 どうすればユタカの記憶を消し去ることができるかと画策する中、当の本人は落ち着いて私が聞いているとも知らずに言葉を続ける。

「自問自答?」

「はい。記憶がないのが不安だからかは分かりませんが……毎朝、自分は何者なのか、とか問いかけてるんです。いえ、それだけならいいんです。でも――」

 一瞬、言葉を詰まらせる。

 それでもユタカは続けた。

「でも、『分からない』って……ない記憶に関する質問に『分からない』って答える時……彼女、声が震えるんです」

 え……?

 そう、だったかな……?

 自分じゃ、分からない、や……。

 思い起こす。


 ――わたしの名前は?

「……分からない」


 確かに。

 言われてみれば、声が震えていたかもしれない。

 無意識のうちに、涙ぐんでいたかもしれない。

「多分、彼女は自分では気付いてないです。それが痛々しくて……。普段、元気に笑って楽しそうにお喋りしているのを見ているだけに、無性に――」

 言葉が詰まる。

「ああ、もう……」

 グシャッと、ハクロはユタカの頭に手を置いた。

「何でお前まで泣きそうになってんだよ。泣き虫ユーちゃんは健在か?」

「……その呼び方、止めてくださいよ。もう梓だってそんな風に呼ばないのに」

「おっと、ワリィワリィ」

「本当に……あなたは身内には甘い」

 ヘッと、ハクロは軽薄そうな笑みを浮かべる。

 だがその笑みは軽薄ではあったが、どこか温かだった。

「よく分かった。お前は今夜、俺に付いて悪魔退治だ。お前の分の空席は、穂にでも代わってもらうさ。必要なのは陰陽師の技術じゃなくて、八百刀流『穂波』の霊力だからな」

「……ありがとうございます。姉さんに、話をつけておきます」

「おう。頼んだぞ」

 そう言って、ハクロは踵を返した。

 あ、まずい。こっち来る……!

 慌てて、一旦その場を離れようと私も回れ右をした時。

「ユウ」

「はい」

「あの娘、守ってやれよ? ……絶対に俺のようにはなるな」

「……はい」

 そう言葉を交わし、二人はその場を離れた。

 私は、その時には走り出していた。



       *  *  *



『うぅ~……っ! ユタカあああああっ!』

「って、うわっ!?」

 あのすぐ後。

 私は再び帰路に付こうとしていた女子高生の一団に追われた。

正直、久しぶりに獣姿で爆走したので、普段使わない筋肉を少し傷めた。また明日から大人しくしていなければならないかもしれない。

 ……いや。

 さっきのユタカとハクロの話では、ひょっとしたら今夜にでも決着がつくかもしれないんだ。

 記憶と力が戻ったら……私は、どうするんだろう?

 どうしたらいいんだろう……?

 また旅に出る?

 いや、それは姉様が許さないだろう。

 では――

「え、えーと……? 白い狐……ってことは、もしかしてビャクちゃん?」

『ううぅ~、そうよっ! ユタカが帰ってこないから迎えに来ただけなのに、何か追われたりして大変な目に遭ったんだから!』

「あー……ゴメン。獣の言葉で喋られても、ウニャウニャとしか聞こえなくて、何言ってるか分かんないや」

『あ』

「でも何となくすごい文句を言われてるのだけは、分かる……」

 そう言えば今私は狐の姿に戻ってるんだった。

 一呼吸置いて冷静になる。

 冷静になって。

『……っ!?』

 現在の状況に目を向く。

 私、狐の姿。

 大きさ、犬くらい。

 人間なら簡単に抱っこできる。

 ユタカ、人間。

 私、今ユタカの腕の中。

『な、何で抱っこされてるのよっ!?』

「うわっ、な、何っ!?」

 ジタバタとするが、ユタカは私を落とさないように気遣ってかさらにギュッと抱きしめた。

 って!

『ぐ、ふ、にゅうううううっ……!?』

 鼻先がユタカの首元に近付く。それに伴い、鼻腔がユタカの匂いで一杯になって……!?

 何も考えられなくなった……。

 ピッタリとユタカと密着する。

「あー、ビックリしたー。いやいや、ビャクちゃんから飛びついてきたのに抱っこ苦手って、ワガママだなー」

『……………………』

 別にそうじゃなくって、いや、抱っこは確かに苦手だけどもっ……!

 問題はユタカが私を抱っこ、て言うか、抱きしめてるところにあって……!

「あー、何があったか知らないけど、落ち着いた?」

 むしろあんたが原因だ。

 私が大人しくなったからか、ユタカはそっと地面に下ろしてくれた。

『……………………』

 別に名残惜しいとか思ってないもん……。

 私はノソノソと近くの茂みから葉っぱを一枚むしり、頭の上に乗せる。そしてそのまま宙返りの要領で一回転。

 ポンッ。

 獣の姿に戻った時と同様に、一瞬で全身が煙で覆われる。

 そしてその煙が晴れた途端。

「ぶふっ!?」

 ユタカが吹いた。

「あーもー、大変だったんだから! 迎えに来ただけなのに行燈館のみんなはワイワイ集まってくるし、逃げようと思って狐に戻ったら今度は触らせろー撫でさせろーって追い回されるし! もう散々よ!」

「いや……それより、何その格好……?」

「え?」

 私は改めて自分の服装を確かめる。

 ……うん、いつもの着流しじゃなくて、ミノリからもらった冥土服だ。ちゃんとアキコにつけてもらった髪飾りもあるし、イズミの髪留めもハルのお化粧もちゃんと元のままだ。

 ついでに、尻尾と耳もいつものように出っ放しだけど。

「何か変?」

「変、て言うか、その格好で野次馬集まるなって言う方が、無理」

「えー」

 ただ可愛いだけなのに。

 何でだろう?

「似合う?」

「この場合、似合ってるのは果たして褒められたことなんだろうか……」

「むー……」

 ちゃんと見てないくせに、何でそんなこと言うかな?

「そういう評価はちゃんと見てから言いなさいよね!」

「わーっ、わーっ! 似合ってる! 似合ってるってば!」

 グリンとそっぽを向いていたユタカの顔をこっちに向ける。するとユタカは何やら顔を赤らめながら喚き散らした。

「最初から素直に言いなさいよね」

「くっ……。差し金は誰だ……? 姉さんか……? 泉ちゃんか……? 僕の趣味を知っているとしたらあの二人だけど……」

 ブツブツと呟くユタカ。チラチラとこっちを見てはすぐに視線を外す。

 うーん、お気に召さなかったかな……?

 改めて自分の格好を見直す。が、やはり可愛らしい服装であること以外、特に何もないと思う。

「そう言えば」

 と、ユタカは急に話題を切り替えた。

「ビャクちゃん、聞いてよ!」

「え、何?」

「ビャクちゃんの魂と記憶、戻りそうだよ!」

「え、あ、うん。そ、そうなんだ!」

 ……まさか二人の会話を盗み聞きしていたとは言えまい。

 ユタカはまるで自分のことのように喜んでいる。

「よかったね、これで元に戻れるよ!」

「う、うん……! よかった……」

 よかった。

 よかったことに変わりはない。

 けど。

 魂も記憶も戻ったら、私はこれからどうするんだろう……?

「それで、さ。ビャクちゃん、今夜にでも魂と記憶を取り返そうと思うんだけど、付いて来る?」

「え?」

「正直、今のビャクちゃんを連れて行くのは不安なんだけど、でも魂とか記憶とか言われても、具体的にどんな物なのかよく分からないから、付いて来てくれた方が助かるんだ」

「……………………」

「あ、もちろん怖いなら行燈館で待機しててもいいんだけど」

「……くわよ」

「え?」

 私の声が聞こえなかったのか、ユタカは聞き返した。

「行くわよ。私の魂と記憶だもん。自分の始末は自分でつけなきゃ」

「……そうだね」

 小さく笑い、ユタカは私の髪を撫でた。

 さっきハクロにそうされたように、私の頭を撫でた。

 その手の平は思っていたよりも硬く、大きかった。

 ずっと、戦い続けてきた手だった。

「でも、ちゃんと私のこと、守ってよね」

「……仰せのままに」

 ユタカは大袈裟に頷き、手を離した。

「さ、帰ろうか」

「うん」

 私たちは並んで歩き出した。

 隣を歩くユタカの顔は、不思議と頼り甲斐があった。

 つい先日に会ったばかりなのに、信頼が置ける不思議な人間。

 そして、私にとって特別に思える人間。

 私はユタカに聞こえないような小さな声で、自問自答する。


 ――好きな人は?

 穂波裕。


 声は震えていなかった。




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