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ダンジョン飯屋、配信始めます  作者: 雨宮 徹


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3/5

二匹組の来店者

 今日の客はスケルトンとスライムだった。


「って、スケルトン、お前飯食うのか!?」


 スケルトンは骨だらけのモンスターだ。当然、胃袋はない。どうするの、これ。


「ワレは、付き添いナリ。スライムが食べる」


 ああ、そういうことね。通訳役ってわけだ。


 茜は、カメラを回しながら、「ウケる」と一言。




「スライム、何食うの?」

「投げ銭の準備OK」

「スケルトンの食事シーン見たかったわ」




 コメント欄は、大いに盛り上がっていた。


 茜は、スケルトンのお腹をドアップで映している。


 こいつ、視聴者のウケを分かってるな。


「スライム、何が食いたいのだ?」


 スケルトンの問いに、ポヨンと跳ねる。跳ねながらぐるりと一周する。


 なんか、水まんじゅうみたいで、うまそうだ。


 スケルトンはうなずくと、「ビールを希望だ」と通訳。


「え、ビール?」


 まあ、希望通りのものを出すしかない。


 ジョッキにビールを注ぐと、スライムの前に置く。


 ってか、こいつ、どうやって飲むの? 手、ないぞ。


 すると、スケルトンが手に取り、スライムの口に持っていく。


 スケルトン、スライムに対して献身的だな。こいつら、めちゃくちゃ仲いいな。


 スライムがビールを飲むと、体が黄金色になった。




「何これ」

「俺も飲んだら、黄色くなるのか?」

「スライム亜種誕生ワロタ」




 まあ、コメント欄も盛り上がっているし、いいか。投げ銭、サイコー。


 スライムが口をパクパクしたかと思うと、ぷるんと音を立てて分裂した。


「分裂!?」


 まさかの展開に開いた口が塞がらない。


「スライム、追加のビール希望してる」


 スケルトンはサラリと言う。


「えーと、もう飲んだのでは……?」


 スケルトンは首を振ると、「モット飲んで、黄色になりたいとイッテイル」と謎の発言。


「コイツ、黄色になりたい。仲間と違うコト、自慢したい」


 このスライム、マウント取りたいんかい!


 まあ、希望なら出すしかない。


 追加のジョッキをカウンターに置く。


 スライムは、スケルトンの助けを借りて一気飲みする。


「プハー」


 まるで人間みたいな反応だ。


「スライム、オッサンっぽくて幻滅した」と茜。


 カメラは、二匹のスライムをドアップで映している。どちらも、きれいな黄色に変わっている。


 っていうか、二匹も黄色のスライムいたら、珍しさが半減しないか? 他人事だが、スライムの群れでの扱いが心配になる。


 そんなことを考えていると、次の客が来た。


 それは、ドラゴンだった。子供の。


「え、ドラゴン……?」


「これ、ヤバくない? 私たち黒焦げにされない?」


 さすがの茜も、事態を重く受け止めているらしい。


「ス、スケルトン、通訳頼むわ」


 ドラゴンがしゃべれるとは思えない。


「ヨシ、分かった。コイツ、ウマイモノ希望してる」


 いや、ざっくりすぎんだろ!


 ドラゴンといえば、炎を吐くことしか知らない。たぶん、辛いの出せば満足するだろ。


「じゃあ、カレー出すわ」


 ここ最近、ゴブリンが常連なので、カレーのストックは十分だ。ゴブリンは「甘い」と言っていた。ドラゴンが同じ味覚かは分からない。だが、激辛でもいけそうな気はする。


「はいよ、カレーだ。口に合うといいんだが……」


 というか、口に合わなければ間違いなく死ぬ。


 ドラゴンもまた、スケルトンに「あーん」をしてもらって、カレーを食す。




「ドラゴン、かわいいな」

「貴重なシーン、切り抜き完了」

「草」




 さて、反応は……?


 ドラゴンは、一口食べると食堂の外に出る。そして、口から炎を撒き散らす。


「ドラゴン、辛いとイッテイル」とスケルトン。


「ええー、激辛苦手なのか!?」


 予想外すぎる。


「ドラゴン、ホノオ吐いてるのは攻撃じゃない。辛いから、クチからホノオを出している」


 スケルトン、通訳助かる。ってか、辛いと口から炎が出るって、漫画の世界だけじゃないのか!


「まあ、そういうこともあるさ」


 無難な言葉を返す。


 いやー、食堂の外で炎を吐く常識あって助かったわ。マジで。


「コイツ、明日も来るとイッテいる。次は、アマイの希望らしいぞ」


 二日連続でドラゴンかよ。っていうか、甘いの希望とかお子ちゃまかよ!


「分かった、明日も待ってるぞ」


 スケルトンが通訳すると、ドラゴンは嬉しそうに首を縦に振った。辛さのあまり、涙を流しながら。


 モンスターばかり相手してると、ストレスで禿げそうだわ。


 この日の投げ銭は、いつも以上の金額だったのに気づいたのは、モンスターが帰った後だった。

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