表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

126/139

36-4 女神遊戯

 女神の地位を簒奪し我らの世界(ツァウベル)を手中に収めたもう一人の女神。


 かつては慈愛に満ちた神だったらしいが愛情と憎悪は表裏一体。深い愛情であればあるほど憎悪もまた深くなる。一度でもその軸がブレて疑念を抱いてしまうと、その揺らぎはもう止まることはない。いとも簡単にコインのようにひっくり返る。


 初めて管理を任された世界で、人間達は信仰が故に暴走し殺戮を繰り返した。

 女神様が異教徒の血を欲していると、勝手に解釈して破壊の限りを尽くした。

 環境汚染が広まり地上で暮らせなくなっても彼らは行動を続けた。最後には人類は全滅し荒涼とした大地のみが残った。

 

 その光景を一部始終視ていた女神は心を壊してしまう。そうしなければ彼女はきっと耐えられなかったのだろう。そうして彼女は人間を慈しむ存在から、ゲームのコマとして認識するようになる。

 どれほど愛情を注ごうが勝手に動くのであれば、最初からそんな感情を抱く必要などない。これはただのゲーム、彼らは自分を楽しませるだけのコマにすぎない。

 その思想を肯定するかのように、次に任された世界では万事上手いこと管理できた。陣営を二つに分けて争わせる陣取り合戦。ルールは簡単、総大将を退場させるか、全滅させた陣営の勝利となる。

 その後世界がどうなろうかなど1ミリも興味がない、彼女にとってはあくまでただのゲームなのだから。クリアしたら次のゲームを遊ぶだけだ。


 遊び半分で女神は次々と世界を蹂躙して回った。だが、彼女の心が癒えることはなかった。それどころか回数を重ねるにつれて過激なものへと変転していく。

 その暴走を見かねた神々により、女神は人類が存在しない世界の管理を任じられる。暫くはそこで大人しくしていた女神だったが、ついに限界を迎える。


 女神は禁忌を冒す。


 他の神が管轄している世界を乗っ取るという暴挙に出た。その標的となったのが眼前で酔っぱらっている彼女が管理していた世界ツァウベルだ。

 奪い取られたのなら奪い返せばいい。事はそんな簡単な話ではない。あまりにも実力差がありすぎるのだ。そのうえ地位も奪われてしまったことで、さらに弱体化しており背伸びしても逆立ちしても到底敵わない。他の神に助力を願おうにも良い返事はもらえない。神同士の争いに部外者が参加するのはご法度。ルールとして厳しく定められている。


 さらに女神は禁忌を冒した。


 他世界の人間の魂を強奪し転生させた。邪神などと他の神から疎まれる神ですら、その手段だけは用いることがなかった。世界の理から逸脱する危険極まりない行為。

 だが、残念なことに現状においては好都合なものだった。被害を受けたということは、その世界を管理する神は部外者ではなくなる。

 神の助力を得た酔っぱらい(女神)魔王()の魂を呼び寄せた。その目的は、魔王を転生させること。だが、それはツァウベルを取り返す足掛かりとするためではない。かの女神が次に標的(ターゲット)とした世界を救うためだ。


 こうして魔王は助っ人として天津谷詩織(あまつだにしおり)に転生することになる。

最後まで読んでくれてありがとうございます。


面白いな続きが気になるなと思っていただけましたら、是非ともブックマーク、評価、いいねの方よろしくお願いします。作者の励みになります。

特に★★★★★とかついた日には作者のやる気が天元突破します。


他にも色々と書いておりますので、もしよろしければそちらも一読していただけますと幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ