06-2 男女比率
小並感でまったりのんびりと過ごしたことで、状況整理ができる程度にはリフレッシュできた。
「相も変わらずあいつは中心にいたな。それに……」
級友を確認するために教室を見回して気づいたのは、女子女子女子と男子が明らかに少なかった。
元の世界に比べても女子の割合が5割ほど高い、男女比率としては3対7ぐらいか。
生徒だけかと思ったが、どうやらそういうわけでもないようで、教師もその枠に漏れず女性の方が多く採用されていた。
学園に女性が多い理由もそこにあった。
この世界には御伽適応者と呼ばれる特殊な人達がいる。
ダンジョンがこの地に顕現したのを境に突如として不思議な力に目覚めた人々。
彼らは手から火を放ち氷を生み出し、雷を自在に操るといった人ならざる能力を扱う。
男性よりも女性の方が覚醒する確率が高く、行使できる能力もまた女性の方が強力。また飛躍的に成長するのは13歳から18歳の間といわれている。
御伽適応者を効率よく育てるための施設こそが星影学園。有望な人材が増えるにつれて自然と女性の方が多くなった。
言及はされていないが、能力を使い過ぎると精神が疲弊するとも書かれていたので、彼らが扱う力は技能や呪文という認識で間違いないだろう。
ダンジョンが存在するからもしやとは思ったが、まさか本当に学園関係者全員が俺と同じ能力保持者とは。
そんな彼らの役目はというとダンジョン攻略と、そこで手に入る素材と未知なる戦利品の収集。
名目上は一応この2点となっているが、ここ10年攻略は進展しておらず、現在はダンジョン探索して素材を拾い集めて帰還する。採集クエストみたいなことをしているらしい。
「ガンガン行こうぜ。よりも、いのち大事にってとこか。そっちのがいいに決まっているけど、ちょっと味気なくないか……」
殺伐とした環境に身を置きすぎたせいか、ついつい思考がそっち側にいってしまう。
未知なる戦利品とは、ダンジョン内で入手できる武具の総称。異世界ではドロップ品やら拾い物とかで、特にこれといった名称はついていなかった。
異世界では冒険者なり立ての人達に無償で支給されるような武具が、現代技術では再現不可能だとかで、こちらでは目が飛び出る様な値段で取引される。
そのためこちらの世界でも武具を探しにダンジョンに潜る人達が結構いるらしい。
そこで重要となるのが手帳にしれっと挟んであった迷宮入場許可書だ。
御伽適応者で一定の基準以上であれば誰でも発行してもらえる。
学園の生徒は自動で発行される、学費が全額無償だったのはそういう裏があったというわけだ。
学園経営は慈善事業じゃないということだ、それでも俺としては大歓迎ではあるが。
生徒は無料で保険にも加入できるし何かあってもこれで安心。まあ何かあった時は大抵、死亡保険金が支払われていそうだが、生徒に限りその可能性は限りなくゼロだ。
そんな状況に陥るよりも先に引率の教師が止めに入ってくれる。野良の場合は知らん……。
「明日はクラス全員でダンジョンか、武具をいくつか拾って終わりかねー。まあそれでも数パーセントは、小遣いとしてもらえるっぽいし……あっ」
小遣いというワードを発したことで、超絶便利な技能があったのを思い出した。
異世界で一番使用したといっても過言ではないのだが、今の今まで完全に記憶から抹消していた。
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