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現実の裏には魔法がある  作者: ロタ
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15話『 魔法を学ぶ場 ② 』


自己紹介を終え、哲先生に言われた通り、俺は指定された席に向かって歩く。

席は3列に並んでいて、手前の列と俺が座る真ん中の列だけが埋まっている。

俺はその中で一番左の真ん中席に座った。


前の席には、中華風の制服に身を包んだ女の子。左には、少し離れた席に座っている不気味な魔力を放つ美少年。そして、左斜め前には凛が座っている。

そして、一番遠くの席には、魔力を放つ刀を持つ男が座っている。

哲先生が立ち上がり、みんなも自己紹介をするように言った。

「それじゃあ、自己紹介をお願いするよ。」 


最初に、あの不気味な魔力を纏った美少年が立ち上がり、静かに一言告げた。


「こんにちは、僕は千堂歩(せんどうあゆむ)。よろしくね。」

その声は穏やかで、少し控えめな印象を与える。しかし、どこか自分に自信を持っているような、落ち着いた雰囲気が漂っていた。


次に、中華風の制服を着た女の子が立ち上がり、すぐに言った。

「私は南條茜(なんじょうあかね)。」

一言で済ませる感じだが、その堂々とした態度に思わず目を引かれた。


最後に、魔力を放つ刀を持った男が立ち上がり、低い声で言った。

「俺は雁田元(がんだはじめ)だ。」

一言で終わる自己紹介だったけど、どこか謎めいた雰囲気を感じさせる。

みんなが名前を言っただけで、特に盛り上がりもなく、少し静かな空気が流れる。


真は改めて、

「改めてよろしくね。」

と言うと、皆が軽く頷き、再び静けさが戻った。


その後、哲先生が言った。

「じゃあ、まずはホームルームから始めるよ。」


数分後、時計が見て取れる時間になり、ようやく休み時間が訪れた。


「真くん、もし分からないことがあったら、何でも言ってね。」凛が声をかけてきた。


「うん、ありがとう。」真が返事をすると、凛は続けた。

「それから、ロッカーに教科書も入ってるから、そこから取ってきなよ。」

「分かった、ありがとう。」


そう言って、俺は教科書を取るためにロッカーへ向かう。


休み時間が終わり、授業が始まった。


ちなみに、学園の授業は基本的に教科ごとに担当が変わるわけではない。魔術の歴史など、筆記に関するようなことなら誰でも教科書通りにやれば教えられるから、特に筆記の授業では担任がそのまま授業を進めるらしい。普通の高校とは違って、魔術学の授業は全てが魔術に関連しているから、教科という枠組みはあまり存在しない。実技の授業になると、魔術の系統ごとに専門の教師が担当するって話だ。


1時間目:魔法世界の歴史

最初の授業は「魔法世界の歴史」。

先生は、表では隠蔽され知る事もできない歴史や、モンスターによる被害のこと、さらには魔術の発展について話し始めた。

俺はその話に興味深く耳を傾ける。

表向きの歴史と隠された歴史、モンスターとの戦いの中で発展してきた魔術の歴史に胸が高鳴った。

「特に魔術の歴史は面白いぞ。モンスターが現れたことで新しい魔法が生まれ、その時代ごとに魔術が進化していったんだ。」哲先生は熱心に話し続ける。


授業が進んでいくうちに、魔法の発展の過程を知ることができ、歴史的な背景を深く理解できるようになった。

話している内容が、これからの学びにどう繋がるのか、少しずつ見えてきた気がした。


2時間目:魔法学

次は魔法学。魔法陣の基本的な文字や形、線の意味について学ぶ授業だ。

先生がホワイトボードに魔法陣の図を描きながら、1年生として覚えておくべき魔法陣の基本を説明してくれる。


「魔法陣を使いこなすには、まずその構成要素を理解することが大事だ。文字一つ一つの意味、線の繋がり、形によって魔力の流れが変わるんだ。」


俺は必死にメモを取りながら、先生の説明を聞く。

その難しさに少し戸惑いながらも、魔法陣を使えるようになりたいという気持ちがどんどん強くなってきた。 


3時間目:怪物学

次は怪物学。モンスターに関する学問だ。

授業では、遺跡などで出現するモンスターの生態や種類について学んだ。

実際に出会う可能性も高いモンスターだからこそ、その特徴や対処法をしっかり理解しておく必要がある。

「モンスターは階層や、遺跡ごとに違った生態がある。

北方の氷のモンスターから、南方の熱帯モンスターまでさまざまだ。遺跡で出会うモンスターには注意が必要だ。」

哲先生はモンスターの写真を見せながら解説してくれる。

その後、昼休みとなった。


昼食

昼食の時間、凛と俺は学食で一緒に食べることになった。凛がふと、

「もし良かったら、私はいつも自分でお弁当作ってたけど、真くんも学食じゃなくてお弁当にする?」

と聞いてきた。

「え?お弁当?」

「うん、以前は作ってたんだ。」

「それなら、明日からお願いしようかな。」

そう言うと、凛はにっこり笑った。


4時間目:魔法世界の世界史

午後の授業は「世界史」。

歴史的な背景を広い視野で捉え、世界各国の魔法に関連した出来事を学ぶ。

特に、昔起きた魔法が使われた戦争やその後の魔法の国際的な交渉、協定についての話が中心だった。


5時間目:魔法陣演習

次は「魔法陣演習」。

各自で魔法陣を描き、習得に勤しむ時間だ。

魔法陣を使いこなすためには、何度も練習を重ねる必要がある。

真は必死に線を引き、形を作りながら、自分なりに魔法陣を完成させていった。


6時間目:実践訓練

最後は「実践訓練」。

生徒同士で模擬戦を行ったり、また教師が相手となっての戦闘訓練だ。

これにより、実戦での魔法の使い方や、戦術を学んでいくことになる。

だが、俺はまだ他の生徒と戦う自信がなかった。すると、凛がすぐに気づいて、「真くん、他の生徒と戦うのはまだ無理だから、しばらくは私とやろう」と言ってくれた。


「任せてね。」そう言って軽く笑う凛に、俺は少し安心しながら、構えを取った。


戦うこと自体には慣れてきたけど、やっぱりまだ魔法をうまくコントロールできない。それでも、凛は優しく俺に合わせてくれて、無理なく戦えるようにしてくれる。

その後、何度かやり取りをして、結局今日も敵わなかった。

戦い終わった後、凛が「真くん、やっぱりすごい成長してるよ」と励ましてくれるけど、

俺は心の中で「やっぱり今日もダメだったかぁ」と思うばかりだった。


哲先生が「さて、今日はこれでおしまいだ」と言って、6時間目は終了した。


授業後、終礼の時間になり、哲先生がみんなに向かって話を始めた。


「さて、前にも言ったが、3ヶ月後に秋華魔道祭(しゅつかまどうさい)がある。これは我が魔法学園、そして裏界でも盛り上がるイベントのひとつだ。」


哲先生は少し手を挙げて、皆の注目を集めた後、続ける。


「そのメインイベントのひとつ、魔法学校の各生徒が代表して戦う『魔道戦』の代表者は、毎年各学年から5人が出場する。

基本的に、学校の推薦で決まるんだが、うちの学園の場合、毎年特別科の生徒から主に出場することになっている。」


哲先生が話すと、教室の中で反応を見せたのは、雁田元や千堂歩、南條茜、そして凛だ。

みんな真剣な表情で、これからの準備に意気込みを見せている。

特に雁田はやる気に満ちた顔で、手を軽く握りしめていた。


その理由は簡単だ。特別科の生徒たちは、どの学年でも魔法の使い手として非常に優れているからだ。

「もちろん、他のクラスでも実力があると見込まれた生徒には白羽の矢が立つことがあるが、基本的に実力のある生徒は特別科にいる。そのため、うちの学園は各学年の特別科の生徒が選出されることがほとんどだ。」


哲先生が軽くため息をつきながら続けた。

「今年の1年生の場合、出場する生徒は各学年5人だ。

しかし、特別科に在籍する1年生は6人だが、そのうち1人が諸事情で年内は学校に来れないらしい。となると、お前ら5人が出ることになる。」


クラスメートたちの表情が少し固まる。

出場することになったら、プレッシャーも大きいだろう。


「各々、3ヶ月間しっかり準備するように。

そして、9月には各学園の代表者を交えた交流会もあるから、その時や本番に向けてしっかり鍛錬を怠らないように。」


哲先生は最後にキリッとした目で皆に告げると、ホームルームが終了した。


俺はその話を聞きながら、秋華魔道祭のことが頭に浮かんだ。

もちろん、他の学校の生徒たちとも戦えることにテンションが上がったが、それ以上にこれからの3ヶ月がどれほど大事かを痛感した。

まだ基礎すら完全には習得していない自分にとって、この3ヶ月がどれほど重要な期間か。

急速に成長しないと、このままではどうしようもないという焦りが胸を締め付ける。

自分の力が足りないことを痛感し、これからの時間をどう使うべきか、真剣に考えなければならない。

帰りの車の中で、凛に今後の特訓や秋華魔道祭のことを聞いてみようと思った。







・千堂歩は秋華魔道祭の後に歩メインの話を書く予定


・雁田元は秋華魔道祭が始まった辺りから少しずつ真達と喋り出す予定


・南條茜も秋華魔道祭終わりから話を書くつもり、だけど一応凛の友達って事なので魔道祭でもちょくちょく絡みが増えてくるかも


・もう1人の休んでいる子も作中で3学期に入った時に登場させる予定

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