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現実の裏には魔法がある  作者: ロタ
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13話『編入準備』

真は蓮さんとの戦いを終え、帰り道の車の中でようやく肩の力を抜いた。

蓮さんとの力の差に圧倒されていたが、自分もその世界の一部にいるのだと改めて感じた。

家に戻ると、どっと疲れが押し寄せたが、凛が用意した夕食がそれを癒やしてくれる。

夕食の時間。

蓮さんの言葉を思い出した真はふと尋ねた。

「そういえば、凛。お姉さんが編入の持ち物を一緒に買ってきてって言ってたけど、何を買うの?」

「あぁ、それはね。装備とか魔道具のことだよ。」

「装備って、そんなのどこで…あっ、この前話してた『裏界』か!」

「そうそう、正解!」

凛はにっこり笑いながら答える。

「まあ、明日買いに行くからそのとき詳しく説明するよ。今日は疲れてるでしょ?早く休んで、回復しないと明日の買い物持たないよ!」


翌朝、支度を済ませた二人は家を出る。歩きながら真が尋ねた。

「今日も車で移動?」

「ううん、今日は電車だよ。」


辿り着いたのは、閑静な住宅街の小さな駅。

凛の後ろをついていくと、少し古びた建物の前に出た。

入口の扉は薄暗く、階段が地下へと続いている。真が怪訝そうに尋ねる。

「本当にこんな場所から裏界に行けるの?」

「まぁまぁ、着いてくればわかるって!」


半信半疑で階段を降りきると、目の前に魔力が滲み出ている分厚い扉が現れる。

真が圧倒されていると、凛がポケットから鍵を取り出し、扉を開けた。

開いた先は、建物の中ではなく別空間。真は目を疑いながらも、凛に手を引かれて進む。


路地裏のような場所を抜けると、異世界のような街並みが広がっていた。看板には見たことのない文字やシンボルが並んでいる。

「ここが裏界か…スゲェ…」

真が感嘆の声を漏らすと、凛が苦笑した。「ボーッとしてないで行くよ。買うもの、たくさんあるんだから!」


まず1件目の店に到着。壁に並ぶ武器の数々を見て真は興奮を隠せない。

「真くん、どんな武器を使いたい?」

「えっと…アレがいい!」


真が指差したのは杖剣だった。

剣と杖の特性を兼ね備えたこの武器は、性能的には中途半端とされるが、真の心を掴んで離さなかった。

「それ、使い勝手悪いかもだけどいいの?」

「うん、これがいい!」


凛もその熱意を感じ取り、黙って購入を決めた。杖剣には《レイガル》という名が付けられていた。


次に訪れたのは防具店。

真の戦闘スタイルを考慮し、軽装を選択することに。

店員が見繕ったのは、軽量ながら防刃と魔法耐性を備えた一式。

黒と銀を基調としたデザインで、動きやすさも考慮されている。「これなら軽いし、動きやすいね!」凛が微笑んで頷く。


最後に訪れたのは、魔道具を扱う店だった。店内は所狭しと並べられた商品で埋め尽くされており、一見してどれがどのような性能なのか全く分からない。

真は目を泳がせながら、隣を歩く凛に尋ねた。


「これ、どれが必要なものなんだ? 全然見当つかないんだけど……」


凛は商品棚を眺めながら、少し考え込む。


「そうだね、あったら便利なのはアクセサリー系の魔道具かな。持ち運びやすいし、結構応用が効くから」


「アクセサリー系って?」


真が首を傾げると、凛は自分の首元に手をやり、服の下から小さなペンダントを引っ張り出した。


「例えば、これ。私の場合は込めた魔力分に応じて、任意で発動できる結界魔法の一種が仕込まれてるの」


「結界魔法……?」


「簡単に言うと、魔法や物理攻撃を反発する力。

効果範囲は狭いし、燃費も悪いから、一回使ったらまた魔力を込めなきゃいけないからすぐには使えないけどね」


そう言って笑う凛を見ながら、真はふと凛が仮面の男と戦っている時の事を思い出した。


「あの時か……仮面の男の攻撃を弾いてたの、もしかしてその魔道具の力だったんだな」


「うん、そうだよ。よく覚えてたね。便利でしょ?」


凛は軽く笑いながら答えた。

真は思わず「すげぇ」と感嘆の声を漏らしたが、続けて問いかけた。


「でもさ、こういうのって一体どれくらい種類があるんだ? 今見ただけでも山ほどあるけど」


「種類ならとんでもなく多いよ。自分に合ったのを選ぶのが結構大事かな」


そう言いながら、凛は店主に声をかけ、いくつかの魔道具を見せてもらう。

真も隣で商品を眺めながら、凛が選ぶ様子を興味深そうに見ていた。


真は店内を歩き回りながら、棚に並ぶ無数の魔道具をじっと見つめていた。

その目には迷いが浮かんでいる。


「どれもすごそうに見えるけど、どれがいいのか全然分からないな……」


ため息交じりに呟く真を、凛はクスッと笑いながら見守っていた。


「まぁ、初めてだと迷うのも仕方ないよね。ゆっくり選んでみなよ」


そう言われた真はさらに慎重に吟味を続け、しばらくしてようやく二つの魔道具を選び取った。


「これにする。リングと……ペンダント、かな」


「おっ、決まったんだね。...うん、いい選び方だと思うよ」

凛は満足そうに頷くと、店主に購入の手続きを頼んだ。真は手のひらの上でそっとリングを転がしながら、そのシンプルなデザインに見入っていた。



買い物を終えた二人は疲れ果てて家に戻る。ソファに座り込んだ真が満足げに呟いた。

「これで準備はバッチリだな。」

凛は笑って頷く。

「うん。あとは来週まで、特訓をしっかり続けるだけだね。」


真はこれから始まる学園生活に思いを馳せながら、胸を躍らせていた。

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