1話『非日常の境界線』
携帯のアラームが鳴り響く。
全身がギシギシと軋むように痛い。
筋肉痛とも違う、内側から焼けるような熱を伴う痛みだ。体を起こすのも一苦労。
そんな中、目の前にはとびきりの美少女がいる。
昨日までの自分なら、こんな現実を想像するどころか、ただの夢物語だと思っていただろう。
でも、目の前にあるのは現実――そして、この痛みもまた紛れもない現実だ。
「あっ、起きた? おはよう、真くん」
「あぁ……おはよう、凛。やっぱり夢オチってわけではないのな」
視界に映るのは、真っ白な肌と透き通る瞳を持つ少女、冬川凛。昨日の出会いは衝撃的だった。
普通の帰り道が、彼女の存在によって非日常へと変わってしまったのだ。
正直、彼女のことは何も知らない。
何故こんな素性も知らない子が家にいるのか――その答えは、昨日の学校帰りに遡る。
20XX年6月3日。
この日まで、俺――鷹野真は普通の高校生をやっていた。
いつも通り学校に通い、黙々と授業を受ける。友達もそれほどいない俺は、早々に帰路につき、家で漫画を読む。
特段不満はないけど、あえて言うなら少し刺激が欲しい――そんな毎日だった。今日までは。
……ん? この辺、いつもより人が少ない気がする。普段ならそこそこ賑やかな通りなのに、行き交う人の姿がほとんどない。
車も一台も通らない。でもまあ、通ってても通ってなくても関係ないし、気のせいだろう。
――いや、気のせいじゃない。
大通りで車が一台も走ってないなんて異常だ。
妙な静けさに気づいたのは、その数分後だった。
腹減ったな……コンビニでも寄ってパンでも買おうかな。
いつも通りの気分で、近くのコンビニに入る。
自動ドアが開き、コンビニ特有の入店音が響く。
何買おうかな……おにぎりとか? いや、家にお菓子もないからついでに買うか。
カゴに欲しいものを詰めてレジに向かう。
でも、そこには誰もいない。――というか、このコンビニに入ってから一度も店員を見かけてない。
「すいませーん、誰かいますかぁ?」声をかけても返事は返ってこない。
店員がいないなんてこと、普通ならありえない。でも、セルフレジがあるし、別に問題はない……はずだ。
それでも、何かがおかしい。この静けさが気味悪い。
「まあ、さっさと買って帰るか……」そう思ってコンビニを出た、その瞬間だった。
――ズガァァン!
轟音と共に地面が揺れる。雷でも落ちたのか?バッと振り返る。煙が上がっているのが見える。
「何だよ、これ……」
雷が落ちたなら空を見ればわかるはずだが、頭上は快晴だ。にも関わらず、さっきの音と揺れは確実に異常だ。
少し怖いが、何が起きたのかを確かめないと気が済まない。
煙が立ち上る方に足を向けた。
この選択が俺の人生を大きく変えるとは、思いもしなかった――。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!初めての小説活動なので、まだまだ至らない点も多いかと思いますが、少しずつ作品を向上させていきたいと思っています。
もしこの話が気に入っていただけたら、ぜひブックマークをお願いします!
これからも頑張っていきますので、応援してくれると嬉しいです!