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新人冒険者と銀級・金級冒険者達(4)



 草原地帯にはゴブリンが過去に巣穴として使っていた洞穴や洞窟、廃村などがあるが全ての場所を回って来たがそれらしき拠点は見当たらなかった。

 その為に森に調査にいっているヴィクトル達と合流するべく森の入り口に辿り着いたのだが・・・

 

「体力ネェな。それでも金級冒険者かよ?ランタとルータは思ってた以上に体力あるな」

「脳筋と一緒にしないでくれる!?乙女にあんな広い草原地帯を全部見回りされて更には森に入るとか馬鹿なの!?」

「サバシアも心配だけどさ。アルテナはもうちょっと体力着けよ?流石にそれは冒険者としてちょっと・・・」

「そうだぞ?十代の頃はこれが『当たり前』だった。今は日にち毎に森と草原の巡回してるだけなんだぞ?ちょっと休憩したら行くぞ?」

「それはジークさんが異常ですよ?普通は無理です」

 

 そうはいっても当時はエルデン王国に複数のダンジョンの発見でこう言った見回りをする冒険者パーティが不足する事態になり、俺一人でエルデン王国周辺の巡回調査をすることもあった。

 

 この辺りの魔物や魔獣については国では誰よりも詳しい。

 地面に座り込んだアルテナに水を差し出して辺りを警戒している木の上から緑色のリスが肩に乗ってきた。あ、コイツいつものリスだわ。

 

「お前がこんな手前側に来るなんて珍しいな?どうした? 俺に会いに来たのか?」

「ちょっ!? そ、それ『エメラルド・カーバンクル』じゃない!?」

「本物初めて見た。実在したんだ・・・」


  コイツただの緑色のリスじゃ無いんだ。森に入って休憩してた時にナッツ類渡したら懐いただけなんだけどな。確か胸ポケットにナッツの袋があったはずだ。

 

「お目当てはこれだろ~?イナサさん特性ナッツ!旨いもんな~ほれ食え」

「あんたもしかしてこのエメラルド・カーバンクルに餌付けしてるの?」

「大体森の調査で休憩してるといつも現れるぞ?ナッツ目当てでな。討伐依頼でないし、敵意もないからな」

「その子魔物使い(テイマー)の中でも上位でテイムしたい魔獣なのよ?」

「コイツがか? なら、ナッツの袋渡すから上げてみろ。ただのリスだぞ?」

 

 アルテナとルータにナッツの入った袋を投げ渡すとリスはそちらに行き、アルテナの膝の上に乗ると何時もの様に腹を見せて両手を広げておねだりのポーズをする。

 仕込んだ事はないが、どうにも撫でられたりすると餌がもらえると思ってるらしい。

 

 「ああ、可愛い可愛い可愛い可愛い」

 「意外にモフモフしてる・・・」

 「おーい、そろそろ行くぞー?またな」

  「キュ?キュキュキュ!!」

 

 何時もならナッツやって立ち上がると木に登ったり茂みに走るが珍しく身体に登ってきた。頭にしがみつくと何かを伝えようと必死に頭を叩いてきた。

 

「森に何かあったんだな? フォレスト・フォックスリンやクリスタルホーン・ディアーの気配も感じないしアイツら逃げやがったな? いや、俺に押し付けた感じだな」

「フォレストフォックスリンとクリスタルホーン・ディアーって伝説の魔獣の?えっ、この森にいるの・・・?」

「つーか、森の魔物や魔獣はアイツらが統率取ってて俺は見回りするだけでよかったんだが、アイツらが『危機感』を感じて逃げ出したとなるとちょっとやべぇかもな・・・」

「えっ?魔獣が他の魔物や魔獣を統率するんですか?」

 

正確にいえば強い魔物や魔獣が一匹や群れで縄張りを持っている。そこからピラミッド式に統率が取れることで安定する。フォックスフォックスリンもクリスタルホーン・ディアーは人を稀に助ける『聖獣』とも一部では言われてる。

 

まぁ、個人的にはペット感覚なのだが、アイツらが逃げ出すって相当強い魔物か魔獣がいるのは確定だな。

 

「早いところヴィクトル達と合流するぞ?リスがこの調子なら森で当たりだろう。ゴブリン達のボスはこの森の統率者よりも強い魔物か魔獣だ。油断するなよ?」

「もうちょっといい名前着けて上げられないの?リスは可哀想よ!」

「・・・キュイとか?」

「鳴き声のままですね」

 

 即興で着けたわりにはマシな方だろう。こっちとしては森の奥から感じる禍々しい魔力が気になって仕方ない。 サバシアも魔力感知能力に優れているし、おそらくは気づいているだろう。

 暫くあるしてあるとヴィクトル達が茂みに隠れているのを発見した。近づくとヴィクトルが申し訳なさそうに声を掛けてきた。

 

「おお、ジーク。悪い。巣穴は見つけたんだが、殲滅は無理そうだ。ドラゴニュートがいたんだ」

「しかも最悪だよ。そのドラゴニュート、魔剣を持ってたんだよ・・・」

「ドラゴニュートが外に?けど、ダンジョンでしか発見例は無いわよ?」

「いや、いるにはいるがわざわざドラゴンの住み処から出てきたってより追い出されたって奴だろうな」

「ああ、多分魔剣のせいだ。こっちにきてくれ」

 

 ヴィクトルに案内された場所は森が開けた場所であり、多くの魔物や魔獣が住み処にしている場所の一つであった。

 

  そこに多くの魔物や魔獣の死体が大量に放置されていたのだ。全身を切り裂かれた無惨な姿でだ。

 

「こりゃ、持ってる魔剣は『呪いの魔剣』で確定だな。しかも達が悪いタイプの生き血を吸うマジックイーターか?」

「な、なんでわかるんですか?」

「見ろ。辺りに血が全くないだろう?俺達人間もだが、魔物や魔獣も体内に大なり小なり魔力を含んだ血が通ってるんだ。普通、こんなに切り込んだらもっと血の臭いで充満する筈だ。のわりに死体が綺麗すぎる」

「どうするよ? このままだと王国に向かってくる可能性もあるぞ?」

 

 ヴィクトルのいう通りだ。おそらくはここら辺の魔物や魔獣を切り込んだら間違いなく人がいる場所にくるだろう。

 

 ここは早急にギルドに連絡をいれた方が良い。

 

だが、ここから冒険者ギルドまでは距離が有りすぎるし、一度全員で戻るのが得策だろう。

 

 そういえば、リスが俺に助けを求めてきた事を考えると・・・いや、まさかな? 嘘であって欲しいけどこの感じはそうだよな。


・・・・

 

「ヴィクトル!アルテナ!お前らは仲間と新人急いで森を抜けろ!!罠だ!! 先に戻ってギルドにいけ!!」

「ちょ!?行きなり何いってるの!?」

「森に入った時から狙われてたんだよ。俺達全員な。だろ?ドラゴニュート 」

 

 空を見上げると、二足歩の爬虫類型のドラゴン種であるドラゴニュートが翼を拡げていた。


 こりゃ、少し骨が折れるなと背中から大剣を引き抜き構えた。


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