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ジークとイオナと魔物使い(3)



 ステアを一目惚れしたといっている白狐の美女はこの辺りの魔物や魔獣とは違い東の国の『妖怪』という種類だろう。

 

元々、エルデン王国は南の国として栄えてきた辺りで西の国である【南雲(なぐも)】という国との貿易交流があった。エルデン王国も南雲も【勇者】に関連する国であるのだ。

 

 まぁ、南雲では妖魔王と対峙した勇者『が』魔王に一目惚れして押し倒されてから人間を襲わなくなり、妖怪と人間が平和に暮らす国になった為に貿易商人も多い。

 

 この白狐も人に化けられる事から大妖怪だろ。


こちらでいう神獣クラスである筈だ。妖怪は気に入った人間と一緒を添い遂げるといい気に入られれば強大な力を得ることができると聴く。

 

「白狐よ。ステアの使い魔になるって事はそういう事だよな(・・・・・・・・)?」

「ジークさん、それってどういう意味ですか?」

「妖怪を使い魔にするって事は『実質婚姻関係』って事だぞ?」

『好みの子しか妾は使い魔として添い遂げるつもりはないぞ?』

「まあ、テイムが最終的に上手く行かなかったら犬耳・猫耳の『戦闘型娼婦』の獣人を購入する事を薦めてたからな」


この国の娼婦は普通の娼婦とは違って商人が経営するものではなく、冒険者ギルドが管轄である。


娼婦といっても人間よりも獣人のが多いし、男もいる。


理由は獣人は15歳から『発情期』が訪れると男を襲ってしまう事件が多発した為に儲けられた。男よりも女の獣人は性欲が強いためにそういった措置が取られている。


元々、獣人は戦闘能力が産まれもって高い為にある程度訓練と実戦経験ある獣人を『戦闘型娼婦』といい長旅の護衛として雇える。


基本的には大金をもってる商人がよく使うが獣人好きな貴族にも人気でもある。普通の冒険者パーティを雇うよりもこちらのが色々と特だからだ。


依頼主の護衛と夜の営みを兼用する為に料金はかなり高額であるが獣人は並みの冒険者よりも戦闘能力は高い為にかなり人気はある。


その上長旅で愛着が沸く商人もいるために購入してそのまま結婚することも珍しくはない。


逆に男性の獣人は女商人やそういった趣味の貴婦人にも人気が高い。冒険者ギルドが管理しているために避妊魔法や性病対策は万全である為に常連客もいるぐらいだ。


基本的には獣人は長生きで子どもの成長も早い為に不足する事はない。


「ど、どのみちってそれってステア君は」

「イオナさんの前ではいいたくねぇけど『男の子』から『男』になれって事ですね」

『因みに妾はそれとは別に名前も欲しいのぉ。そうすれぱ妾はお主の『だけ』のモノじゃよ?」

「ぼ、僕だけのモノ・・・」


年頃の男の子には刺激が強すぎる乳に美貌をもっている白狐を見て生唾を呑むステア。白狐はステアに誘惑する為に姿を変えた。元の白狐の姿を巨大化させたり普通の狐のサイズになったりそのまま獣に近い獣人になったりして見せる。


強さを見れば魔力だけでもフォードら神獣と大差は無い。ステアの女の好みさえ合えば夫婦(パートナー)としてもいいかも知れないし、キュイとも良好な関係に見える。


後は『あのゴーレム』がステアを認めるかどうかだ。


◇◆◇◆


泉の畔には小さな家。かつて岩の魔女が暮らしていた場所。その側には巨大な大木があり、その下に岩の魔女の墓がある。

その墓石に花を添えている2メートルある巨人。


岩の魔女が造り出したゴーレムの中で唯一の人型であり、魔女が亡くなった後もこうして墓の手入れをしている。


すると、こちらに気がつき視線を向けてきた。


「よぅ、ドラム。元気にしてたか?」

『ジークか?久しぶりだな。何か食ってくか?』

「今日はツレいるからな。ドラム、コイツの『使い魔』ならねぇか?」

『使い魔として?』


ドラムは元々戦争を終わらせる為に造られたゴーレムとは違い感情のあるゴーレムとして造られた。前の主を失ってから永い年月をここで過ごしている。

すると、白狐はドラムの横を通り抜けると、巨大な大木に手を触れた。すると、大木が動き始めた。


『コイツに護らせればよい。フォレスト・ガーディアンじゃ。妾もこの少年の使い魔になる。お主とて人間に使える方がええじゃろ?』

『けど、それだと魔女様が寂しくなる』

「えっと、僕はダンジョンとか興味ないからたまにここに戻ってこよ? 人の街にも入れるし、お供え物を買って持ってきてあげよう?今まで街にこれなかったんだよね?」

『・・・人の街にか。わかった。使い魔になる条件はこのパーティの『奉仕』だ。家事は任せて欲しい』


ドラムは元々岩の魔女の世話係として産まれた。その為に『主になる人物に奉仕する』事をやりがいと思っている。ステアはドラムの申し出を了承しテイムが完了した。


すると、白狐がステアを背後から抱き締めた。肩に乗っていたキュイも何かを察したのかドラムの肩に移動した。


『後は妾だけじゃな~ さて、男になる準備は出来たか?』

「えっと、こ、ここでですか?」

『家のベットを使って良い。我々は泉で『ゆっくり』しているから気にするな』

「ど、ドラム!?そういう気遣いもするの!?」

「じ、ジーク?止めないの・・・?」

「いや、それが向こうの契約のルールなんで仕方ないンですよ。ステアも同意の上なら俺に止める権利はないので。少し休んでいきましょう」


ドラムの案内で泉の畔の近くに腰を下ろしてステアと白狐の営みが終わるまでのんびりすることにした。キュイは袋からナッツを頬張ると胡座を掻いたドラムの上に乗り寝てしまった。


イオナさんはチラチラと家を見ていたが離れている為に声は聴こえない。まぁ、女性の人には悪いことをしたな。


「イオナさんその、すんません。少し気を使えればよかったんですが・・・」

「良いのよ。今更じゃない? ジークはステア君の為を思ってでしょ?」

「キュイとドラム。それにあの白狐がいれば金級。上手く行けば白銀級だって行けますよ。ランタ達とパーティ組ませてもいいでしょうし、少なくとも俺は銀級のまま、街を護りますよ?」

「色々な所からお誘いあるんでしょ? 良いの?全部断って」


俺の中ではイオナさんを護る事が最優先であり、いち早く問題に解決できる場所が銀級冒険者なのだ。

騎士団は王族直属で街から遠いし、ダンジョン都市とは違いイオナさんが暮らす街には腕に自信のある冒険者は皆無だ。


「少なくとも地位には屈しませんよ。権力者相手に喧嘩売るバカなんて俺ぐらいでしょ? なら、俺は庶民の英雄のまま護りますよ」

「ねぇ、もしもの話よ? ウチがジークの事を・・・」

「えっ・・・?」

『終わったぞ!妾の名は『ハクア』となった!身体の愛称も良かった・・・ん?』

『ハクア良かったな。けど、イオナがジークに・・・』

「ど、ドラム?言わなくていいわ!ジークも忘れて!!?」


イオナさんに押しきられてしまって何を言いたかったのか聴きなかった。意外にもステアが元気そうだったが、ハクアは物足りなさそうにも見えた。

ステアの使い魔も揃ったのでエルデン王国に向けて帰路に着いた。道中、何度か何を言おうとしたのか訊ねたがイオナさんは顔を赤めて答えてはくれなかった。








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