平等
「命って平等なんだってよ」
そう呟きながらスーツ姿の男は、かごの中に入った三匹のインコの前に三つの小さな皿を置く。
「俺はどうも信じられないんだよなぁ」
男は餌の小麦を均等にさらに盛った。
「いっぱい食べろよ」
男はかごを閉めると、そのままソファーに座りテレビをつけ、炭酸の強いビールを飲み始めた。
「ん…あぁ、もうこんな時間かぁ」
連日の仕事に疲労困憊していた男は酒が入ると、すぐに眠ってしまったようだ。
眠っている内に乾燥した喉を炭酸の抜けたビールで潤した男は、ふと、餌をあげた鳥たちの方へ目をやった。
「はぁ」
カゴの中には男が餌を盛った皿が3つある。
その中の一つに盛った餌は異常なほどに減っており、他の二つは二羽がそれぞれ食べているのにもかかわらず、男が盛った時と変わらぬ量だった。
「酒がうめぇや」
その後男が餌を追加で盛ることはなかった。