本部サンクチュアリ
俺「うわ〜、でっか」
本部サンクチュアリに到着してまず俺が目にしたものは重厚なる黒色の外見とその手前にある大きな門、そしてその両端にある銅像。
何故かその銅像から視線を感じるが表現の仕方が分からないために多少の気持ち悪さを感じていた。
するとこちらへ手を振りながら駆けてくる人物がいた。
女「あぁ!皆さんようこそお越しくださいまし、
ギャャャャャャャ!」
兵城・松田「またか、はぁ」
深くため息をする2人を他所に咄嗟に声が出てしまった。
俺「えっ?だ、大丈夫ですか?!」
松田「んまぁ、大丈夫だろっ、いっつもこれはこんな感じだからな、」
「まぁ、俺が言うのもあれだが色々と抜けてるんだ」
と少し同情の顔を見せながら松田は言った。
鳥乃「え、えっとはい!大丈夫です!ようこそいらっしゃいました。私の名前は鳥乃 美羽と申します。ここでは
案内人兼皆さんのヘルスケアをしております。」
「分からないことがあったらなんでも聞いて下さい!」
俺「え、は、はい」
我々が本部への門を潜ろうとした時、叫び声が聞こえてきた
女「キャャャ」
チンピラ「おらぁ!どけぇ!おい、兵城って男はどいつだ!」
髪は金髪で顔にはピアス、どっからどう見ても
チンピラのような男が叫びながら刃渡り20はありそうなドスを振り回してこちらへ向かってくる。
チンピラ「お!見つけたぜぇぇ!兵城!さっさと死ねよぉぉなぁァ!俺もなぁお前らと同じような力を持ってるんだぜぇ!」
俺はここで初めて能力者同士の戦いを見た。
しかしそれは見たと言っていいのか分からないほど
あっさりしていた。
チンピラ「聞いて驚け!俺のもっている歴人はなぁ
宮本 武蔵だ!」
俺「?!」
俺は驚きが隠せなかった。宮本武蔵と言えば教科書には必ずと言っていいほど名前が書かれている超有名人
対して兵城さんのマジノは基本習うことは無い人物。
しかし張本人の兵城さんは全く動じている様子はなかった。
兵城「中澤、よーく見とけ。これが能力者の戦いだ」
兵城は銃を構えた。そして引き金を引いた。
チンピラ「そんなもん叩き切ってやるよォ!」
バタっ…………チンピラが倒れた。
兵城「中澤見てたか?いくら能力を持ってようが中身は人だ。死ぬ時は死ぬ。あいつは過信したまま鍛錬をせず驕った。だから死んだ」
「言っておくがわしは今、能力は使ってないぞ。
ただ我々の祖先が作り出した銃の引き金を引いただけだ。」
俺は思った。もし今このチンピラがいなければ俺は
己を選ばれた人間だと思い自身に酔いしれていたかもしれない、と
兵城が、チンピラの近くへ歩いて行った。
兵城「あんたも運が悪かったな……こんなことに使われて……」
兵城がチンピラの隣に行き何か小声で言っていたが
俺には聞き取れなかった。
ただ少し憐れむような顔の兵城さん顔がチラッと見えただけだった。
そして
俺は今、鳥乃から施設案内を受けている最中だった。
鳥乃「はいっ!ということで中澤さんの部屋はここです!あと1時間したらまたお話があるので中央司令室に来ていただき、中澤さんの歴人は誰なのかを調べさせていただきますっ!」
俺「あの……れきびと?ってなんですか?」
鳥乃「あぁ!私とした事が肝心なことを話してなかったですね!」
鳥乃の話によるとその、歴人というものは、先程のような各個人が宿している偉人、英傑などを指しているとの事だった。
例えば、もう既に知っている通り 玄野 兵城さんは
『アンドレ・マジノ 』という歴人。
その親友の、松田 英気さんは『オットー・フォン・ビスマルク 』と言う人物だそうだ。
色々と聞いていたが一つ質問をする度に鳥乃の
頭がパンクするのを見て後で兵城さんに聞こう
と思い、もう質問はありませんと言おうとしたとき
鳥乃「あっ!そういえば私の歴人は言ってなかったですね!私の歴人は『卑弥呼 』っていいます。知ってるかな?」
俺「卑弥呼?!」
さすがに日本人なら耳に覚えがある名前だろう。
しかしなぜ卑弥呼がこの鳥乃を選んだのかが
私には分からなかった。
この疑問はとりあえず後の集会で色々と聞いてみようと思い、とりあえず今は横になろうと思う俺だった。