失った日常
バシャッ!
顔に水をかけられると共に髭面の男の怒鳴り声で目が覚めた。
「おいっ!小僧!さっさと起きな。わしは子守りは
得意じゃねぇんだ」
俺は声が出なかったが素直に従った。
髭面の男「よし、わしの名前は玄野 兵城覚えとけよ」
俺「くろの……へいじょう…?」
玄野「あぁ、そうだ!間違えたらはっ倒すからな」
「まぁとりあえず大事なことを何個か話すか。
お前も知らないことだらけで混乱してると思うしな」
「まず、お前が触った石、覚えてるか?あの光ってる石?」
俺「お、覚えてます。あれはなんなんですか?」
玄野「あれはな。意志の石と言ってな。その中にはな
歴史の人物の力が入っていてな」
「分かりやすく言うとわしが持ってる力はアンドレ・マジノと言ってな、」
俺「マジノ線を作った人ですか?!」
玄野「おぉ、よく知っておったな。その力をわしは使えるんじゃよ、小僧が来た時、黒雑巾を被った男がいたじゃろ。そいつと戦っていた時もその力を使ったんだよ」
俺「ってことは俺も何か力に目覚めるって事ですか?」
玄野「まぁ、そういうことだな。何かはまだ分からんが本部に戻るか無理やり能力を使えば分かるが………
無理矢理にでも引き出すと器が出来ていないためにまたお前はおねんねする事になるぞ?」
俺「本部まで行きます…………」
「というかあの黒雑巾を被ってた人はなんなんですか?」
玄野は煙草に火をつけて珈琲を一口飲み、ゆっくりと話し始めた
玄野「あれか………あいつらは黒の骸だ。 」
俺「黒の骸……?」「なんというか少しダサいですねw」
玄野「名前はな……だが奴らは残虐にして残酷。」
「やることなすこと全てが鬼畜よ。問題なのは奴らのリーダー東陽 英機が宿している意思だ……」
俺「だ、誰なんですか?……」
俺は唾を飲み込んだ
ゆっくりと兵城が重い口を開く
「アドルフ・ヒトラーに毛沢東。そしてポル・ポトとヨシフ・スターリン……」
思わず声にならない声がでた。
歴史にそこまで詳しくなくても分かるだろう。
そこに名を連ねたもの達は残忍にして残酷、まさに
絶望だった……
少しの沈黙の後、兵城がその思く突き刺さるような空気を斬ると共に言った
玄野「まぁ、とりあえず本部に行って詳しい話を聞け。そしたらお前の宿す意志のことも分かるし、
俺はさっさと風呂入って寝たいしな」
こうして本部へと我々は動き始めた。