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病の正体

 足の傷におびただしい数のハエが群がり蠢いているのには、さすがに呑気な私もびっくりしました。

 しかし、いくら手で追い払っても、飛び立ったハエ達はすぐに私の傷に舞い戻ってきます。

 すごく気持ち悪いです。


「センパイ、それヤバいよ。すぐ医者を呼ぶから部屋で寝といて」


 ・・・・


 私は部屋のベッドに素っ裸で寝かされていました。

 デワが呼んでくれた医師が私の身体を診察しています。

 隣に美人の看護師さんが居るので、全裸はちょっと恥ずかしいです。


 足の傷だけでなく、インドゥルワでは脚部だけにあった化膿した吹き出物は、すでに胸部や腕にまで広がっています。

 私はどうやら全身が腐りかけているようです。

 ・・・深刻な病気なんだろうか?


「トミーさん、これは足の傷に入った菌が飛び火してますね。体中に広がっているこれ、おそらく蚊に刺された後が化膿しているんですよ」

 医師が言います。


「抵抗力が落ちているんですね。小さな傷が治らずに化膿しています。たとえばこれ、腕のこの部分は普段なら気づかない程度の軽い擦り傷が化膿したものですよ」


「いったい僕の身体はどうなっているのでしょう?治る病気なんですか?」


 医師は笑顔を見せました。


「心配ないです。傷は抗生物質で簡単に治せるでしょう。しかし抵抗力が落ちている理由は」

 ・・・理由は?


「栄養失調ですね」

 ・・・栄養失調??


「しかし先生、僕は毎日かなり食べてますよ。それで栄養失調っておかしくないですか?」


「トミーさん、思い出してみてください。ここ1週間ほどの間、何を食べてました?」


 何をと言われれば、私はサトミと2週間以上インドゥルワに居たので、宿の食事を毎日食べていました。

 宿の一家はベジタリアンで毎日野菜のカレーでしたが、奥さんの料理の腕が最高でこれが美味しくて、他所で食べる気がしなかったのです。


 医師が話を続けます。

「食べていたのはベジタリアンフードで、トミーさんダルカレーが嫌いじゃないですか?」


 まさにその通り。野菜のカレーはどれも最高に美味しかったのですが、ダル豆のカレーは癖があるのでいつも残していました。


 ・・・ああ、なるほど!!


 スリランカのカレーは基本、一品につき具はひとつです。

 キャベツのカレーならキャベツだけ、ナスのカレーならナスだけ、ニンニクのカレーならニンニクだけ。


 上記のカレー3種とライスを食べたとしたら、すごく満腹感はあります。

 しかし、何を食べたかと言えばキャベツとナスとニンニクと米だけ。

 肉を含まない食事ではダル豆のカレーでタンパク質を補わなければならない。

 それを食べない私は2週間にわたり、まったくタンパク質を摂取していなかったのです。


「とりあえず栄養剤と抗生物質を出しておきます。ゆっくり休養して栄養のあるものを食べてください」


 ・・・休養と栄養か・・・スリランカじゃもう無理だ。

 サトミが来るまでにはまだかなり間があるけど、一足先にバンコクに戻ろう。


 私はそう決心しました。

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