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一難去って・・・

「ぷわーー。。初日からひどい目にあったなあ。。」

 数十分後、道場に逃げ帰った私達3人は床にへたりこんだまま、試し割りに使ったスイカをかじるうちにようやく落ち着きを取り戻していました。

 道場にスイカ袋を置いて試し割りで割ったスイカを食べるなんて、普通では許されませんが今回ばかりは大目に見ていただきたい。


 デワはさっきから何か考え事をしているようです。

「あのう・・・先生。。」

 そのデワにボウイが声をかけます。デワはそれをうっとおしがります。

「うるさいな!ちょっと考え事してるんだよ。黙ってろ・・・・なあ、センパイ。今のフランス人、オレどこかで見覚えがあるんだよね」

「フーン。。デワが奴を知っていると?僕は**寺の空手合宿で奴が組手しているのを見たけど、それをデワも見たのかな?」

「いや、そんなんじゃなくて・・・あ、もしかして!センパイ、ちょっと待っててください」

 言うなりデワは道場を飛び出して行きました。


 2~3分もしないうちにデワが手に雑誌のようなものを持って道場に飛び込んできます。

「センパイ、これこれ!」

 デワが手にしていたのはアメリカの武道専門誌”Black Belt”でした。

「ここだよ。この記事を見て」

「おおっ・・・これは。。」


 デワが指差した記事の写真には確かにさきほどのニコラが写っていました。

 白い道着に黒帯を締め、颯爽と立っている。

「センパイ、こいつすごいよ。全仏選手権で三位だって。モンスターだって書いてある。反則を取られて優勝を逃したけど、実力は十分チャンピオンクラスだとか・・・世界を狙える逸材とか・・」

「あのう・・・先生、センパイ・・・ちょっと」

「ボウイ、悪いが後にしてくれ。今重大なミーティングなんだ。しかしデワ、それはいつの記事だ?」

「去年の今頃ですよ。しかしなんでこんなすごいやつがスリランカなんかにいるんだろ?」

「本当になあ・・・あいつコロンボで教えてるとか言ってたけど。あ、見ろよこの写真。すごい回し蹴りだ。自分の頭の上を蹴ってるのに、完全に真横から蹴りが入ってるね。いい蹴りだなあ・・しかしこんな高さに頭がついてる奴なんかいないから、宝の持ち腐れだけどね」

「わはは・・・本当だセンパイ、こいつ身長2m3cmだって。体重110kg。キリンの顔面でも蹴ってるんじゃないですか」

「ぷはははは・・・スリランカにはキリンはいないからなあ・・・ゾウとでも戦えばいいのにね。まあしかし・・」


「・・今回はなんとか上手く逃げたけどさあ・・・デモンストレーションやって生徒を集めれば、やがてここも知られちゃうし、早めに手を打っといたほうがいいな。あんなバケモノと勝負してたら命が持たないよ。そうだ!**寺のカッサバ先生に頼んで、奴の師匠筋に手を回してもらおう」

「なんだセンパイ。カッサバ先生と親しいんですか?それなら話が早い。あの先生はかなり空手界では顔が広いそうだから、何とかなりますよ」

「そのかわりデワ。ちゃんとお布施をはずまなきゃダメだよ。坊さんを動かすにもオアシは必要なんだから」

「場合が場合だけに仕方がない。今後も似たようなトラブルは有り得ますから、早速センパイ、明日にでも」

「そうだね。奴がここに気がついて現れてからじゃ面倒だ。明日行ってこよう」


「先生、センパイ!」またボウイが口を挟みます。

「なんだよ、さっきから煩いなあ」

「まあデワ。いいじゃん、こっちの話は大体済んだし。なんだボウイ?」

「オレ・・・渡しちゃったっすよ」

「え?何を?誰に?」

「いや・・・だから・・・公園でデモやっているときに、集まった人たちに道場のカードを配ってたじゃないですか。そのときに渡しちゃってますよ。あのノッポのフランス人にも・・・」


 ・・・・・え?


 デワがボウイを怒鳴りつけます。

「バ、バカヤロー!お前、なんであんな野朗に・・・何で早く言わないんだよ!」

「いや・・・先生。だからさっきから言おうとしてたのに」

「デワ、それどころじゃないぞ!あいつ来るよ。靴を見つけたらすぐここに。すぐに入り口のガードマンに言いつけて来い!身長2mのフランス人を絶対に入れるなって!!」

「オス!すぐに・・・・うわあ!!」


 遅かった・・・

 道場の出入り口いっぱいに立ちふさがるのは、顔を赤鬼のように紅潮させた巨人、ニコラでした。

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