第二章 第三部〜決闘〜
当方インフルエンザの病魔より帰還しました!
その分少し長めにさせていただきました···m(-_-)m
対峙した影と彼。闘いが始まる···。
「ここは何処だ?」
彼は不意に眼界に現れた白銀の空間に目を見張った。
「仮想世界。俺が力"ワールド"で生み出した仮初の空間だ。現実世界でドンパチやったら二人まとめて監獄送りだぞ?」
影が答えた。俺は少年院で済むがな···と心の中で彼は呟き、また影を見た。
「······始めようか。」
影が不意に言葉を発した。そして。
「―禁忌解放―ディザスター。」
「続けて。―限度解放―アンリミッター。」
「連撃だ。『悪しきなるものの力。光に仇なす。光を封じ、闇を栄えし冷たい牢獄。ここに呼び覚ませ。』秘術・シャドウ・プリズン。」
影による怒涛の詠唱が終わり、力が流れるように発動された。影が闇色のオーラに身を包んだ様に見えた。影は"禁忌解放"その名の通り"忌むべき力"を忌むのをやめたわけだ。その力はついに箍を外し、猛り、目標を殲滅するために唸りながら翔る。彼は影の作り出した牢獄の中で微笑った。
(完全に俺の力をコピーしているってわけか?それに、あの詠唱の仕方は解放属の力。それはすべての力を強化する、まさに"忌むべき力"だ。ならば···)
「目には目を。歯には歯を!解放属で暴れるなら解放属で止める!」
「ほう?」
影が卑屈に嗤う。
「―禁忌解放―ディザスター!」
「―神獣解放―ビースト!」
「この程度!ブレイク!」
"禁忌解放"禁忌とされる力を解放し、力の暴走を許可する。これは仮想世界であるからこそ使える力だ。その影響を敢えて言葉で表現するならば···。亡びだ。
"神獣解放"神獣。その言葉通り彼は白銀の毛皮に身を包み、莫大な力を得た神獣となった。
そして、最後に変化属の力を詠唱すると、いとも簡単そうに影の牢獄を粉々に破壊した。
「そうこなくては。」
「その為の場だろう?」
両者がすべてを察したように語りかける。否。両者ともども知ったのだ。相手方の覚悟を。途端に影の声が響く。彼の咆哮。嘶き。吠え。なんと表現すべきか。彼の声が返る。
「死ねぇ!バーンドォ!」
「無駄!」
影の発した力が彼へと襲い来る。彼は慣れないはずの神獣の肉体を駆使して仮想世界を翔る。その後も何度か。影が力を発し、彼がそれを華麗に避ける。立場が逆になったりも、戻ったりも。ひたすら永く続いた一進一退の攻防戦。それを男は見ていた。液晶画面の中で。周りには幹部らしき人物が護衛か。近くについていた。そのうちの一人が言葉を発した。
「この勝負、我。オカルトたる湧き出る知性が伝えたろう。これは···」
幹部、白衣、男までもその言葉に耳を傾け、続きを待つ。ドアの横に感情を失ったように立った見張りは意に介さないようだが。
「この勝負、どちらもキングは取れまい。チェックメイトではない。ステイルメイトだ!」
場が厳かで、寂しく、不安になるような。みんなの感情の交差した静寂に包まれた。液晶画面は···
倒れたふたつの影を捉えていた。翼を背中に生やした、科学とオカルトの集合体。それと、力によりただひたすらに自らを武装し、今や原型すら留めていない、白銀の神獣を。
「生命は取れず、か···」
「抑止したら俺は勝者だったのだろうか?ならば静止しかできなかった俺は引き分けか。」
二つの影は、笑い、嗤い、嘲笑った。
最後まで読んでくださってありがとうございます!
なんとかインフルエンザを治しまして執筆致しました!ついに"忌むべき力"本領発揮!しかも一方的な力での捩じ伏せではなく、まさに『異能力バトル』ですよ···?