第一章 第四部〜戦闘〜
大仙寺史子のいるらしき廃倉庫へとやってきた彼。そこで待ち受けていた敵とは···
着いた先の廃倉庫には、大仙寺史子と黒服が居た。どうやら麻縄を巻かれているようだ。まだバレてはいない。少し様子を見ることにした。
「私にこんな事をしてただで済むとお思いですの!?」
「ふん。この状況じゃ御自慢の財力は発揮できないなぁ?」
「·········」
「ほおら、これ見える?これね、超危険な劇薬なんだよ。」
「これを使えば自我なんて一瞬でパリーン。」
彼は、その言葉を聞き、確信した。そして、何かが、彼の中で、切れた。
大きな扉を開け放ち、中に居る敵のボスらしき人物に歩み寄った。王者の様な風格を漂わせて。
「ああ?黒服···ではないな?見たところ子供じゃねーか。正義感に身を投げ打つなんて随分と綺麗事な一生だなあ?」
「ああ···子供だ。"忌むべき力"を持ったなあ!」
「かかれ。容赦はいらん。」
30人程だろうか。一斉にこちらへ向かってきた。
「ボイド・シュート・プロテクト。」
そう言い放った後、手を凪いだ方向に黒色の盾を生み出した。その盾に敵は吸い込まれて行き、30人程の大軍は一瞬で姿を消した。ボスは呆然としていたが、すぐに続け!と号令を出した。今度は総勢120名がこちらへ走り来る。が、
「···これからは一緒にいちゃダメだ。テレポーテーション。」
虹色に眩く瞬く魔法弾は大仙寺史子と黒服に命中し、その刹那、大仙寺たちの姿は消えた。そして···
「術式・バーンド。」
彼を中心に、廃倉庫一帯が大爆発を起こした。視界を遮る黒煙が立ち上る。
それを疑問の中少し離れた場所に転送された大仙寺たちは見ていた。
「あそこには涼が居たはずだわ···。まさか···!?」
「史子様、落ち着いてくださいませ!」
やがて、黒煙の中から、手を払いながらある人物が出てきた。――――――――――――――――――――五十嵐涼だ。
史子は涼に駆け寄り、抱き締めた。
「〜〜〜〜〜!」
「抱きつくな、服が煤で汚れるぞ。」
「どうでもいい···」
「···邪魔だ。察せ。」
「う···」
その後史子たちは親達に迎えられ、家へと帰った。
それを見届け、彼も家へと帰った。親も、兄も弟も姉も妹も居ない···静かで、寂しい家へと。彼は、生まれた時から身寄りのない、孤児なのだ。
〜家にて〜
彼は液晶画面を眺めていた。数少ない友達との、チャット画面だ。
と思えば、どうやら音声通話に移行していたようだ。
夜霧 零華「でね、ここで髪の毛を混ぜると人造人間ができるのよ!」
大仙寺 史子「ということで彼のためにトイプードルを買ってあげたわ!600万円よ!」
古賀 政一「というわけでシュレーディンガーの猫は量子力学の発展に役立ったのだ。」
·········音声通話に移行して、より騒がしく、そして相変わらず話の噛み合わない彼らであった。
最後まで読んでくださってありがとうございます!
今回は"初めて"のバトル回ですね。え?第一部のバトル?あんなもんバトルじゃないですよw主人公が気ままに倒しただけです。
さて、今回の敵は第一部で出てきた"暴力団"のつもりなんですが、劇薬まで持ち出して、もはやマフィアですね。それにしても、大仙寺史子を拉致した理由とは···?>>本当に「暴力団」から「マフィア」に変更いたしました。