第一章 第三部〜友達〜
彼と個性的な友達との通話中、1人が忽然と消えた···?
彼は、スマホの液晶画面を見つめていた。数少ない友達とのグループ通話画面だ。
夜霧 零華「それでね、すると描かれた魔法陣から悪魔が生まれたのよ!」
大仙寺 史子「私の情報網を駆使して彼の居場所を特定してやりましたわ!」
古賀 政一「さて、次は古代核戦争とマハーバータラにおけるブラフマーストラの使用についてだが(以下略)」
···類は友を呼ぶとでもいうのだろうか。彼の友達はみな個性的な人だ。
五十嵐 涼「·········焼き払うぞ」
グループの名前を"変人たち"にでも変えてやろうかと思いながら液晶画面にフリック操作をする彼であった。
その後も(成り立っていない)他愛ない会話が続いた。そして、いきなり"それ"は起きた。
大仙寺 史子「そうしたら彼がにげだ」
誤爆かと思えば、訂正が無い。まあ、特に気にすることもないだろうと時間が過ぎた。だが、やがてみんな心配になってきた様だ。なにしろ先程まで10行オーバーの"彼"への思いを1分に一回ペースで打っていた大仙寺があの言葉を境にパタリと黙りこくってしまったのだ。
五十嵐 涼「ちょっと見に行ってくるか?」
彼は一応大仙寺の家の付近へと歩んでいった。普段人探しでもするなら誰かさんの情報網で調べあげるものだが今回の捜し物は大仙寺本人だ。
とまあ、歩いている内に大仙寺の家···いや、お屋敷へと辿り着いた。いつ見ても仮想現実に迷い込んだのではと見間違うような家だ。チャイムを鳴らす。重厚な音が響き、これまた仮想現実の世界に迷い込んだようなメイドが出てきた。
「どうなされましたか?」
「大仙寺は?」
「史子様ですか?先程SPの方々に乗せてもらって何処かへ向かったようでしたが。」
「···そうでしたか。」
「では、おやすみなさい」
お屋敷を後にした彼は、謎の不安感に襲われていた。どうせ黒服がいっしょに居るんだったら気にすることなどないと思うが、一応徹底的に探すことにした。
「ヴィジョン。」
できればこんなストーカーまがいの力は使いたくなかったのだが。と呟き、大仙寺を探す。
「見えた·········!?」
見えた場所は、廃墟と化した倉庫だった。実は大仙寺は大の怖がりであることを今年の夏に知った。そんな大仙寺が廃倉庫なんかに向かうはずがない。
「ヘイスト。」
目にも止まらぬ早さで彼は廃倉庫へと駆けた。
最後まで読んでくださってありがとうございます!
今回は数少ない(笑)友達を出演させました!はてさて、大仙寺は無事なのか···?
ところで、少し"力"や人物も少し増えたので、次話の前に登場人物と力一覧を挟もうと思います。