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第一章昇天する前と後
第一章 昇天する前と後
プロローグ
暗く冷たい闇の中、俺は歩く。
何度も何度もつまずき、床に這いつくばりながらも、歩き続ける。
叫んでも、何も返事がない。
歩いても歩いても闇しかない。
・・・どれくらい歩いただろうか。遠くにこの闇の世界を眩しいほどに照らす一筋の光と、闇よりも深い濃い黒色をしたまどろみが見えた。
近づくと、光からは白と人々の笑顔と美しい羽衣をまとった人間が見える。それは「希望」に満ちているように見えた。
まどろみからは、赤と人々のうめき声とぼろぼろの服を着た人間が見える。それは「絶望」に満ちているように見えた。
しばらく眺めていると、急に体に力が入らなくなった。そしてなぜか、足で体のバランスが取れなくなってしまっている。恐る恐る足の方に目を向けると、やはりついていなかった。
そう、足が地についていなかったのだ。そこで、俺は気づいた。宙に浮いていると。必死にもがこうとするが、脱力感に襲われ、何もできない。そして、そのままふわふわと浮いていき、意識もだんだん薄くなる。
・・・・・・そして俺は光に包まれた。