怠惰と期待と二人の先輩
誰得度:★★★★★
乙女度:★★★
期待度:★
書きたい時に書く。書かなきゃいけないものに対するモチベーションが足りない時に書く。いいものを書くためにあえて書く。それがツナメパンの存在意義。
テンションがおかしいが、小説が進まない時にはこちらに逃げ込みますよという話だ。終わる気がしない宿題に嫌々取りかかるよりゲームしたいアニメ見たいとやりたいことへ逃げ込む性分は、いい歳になっても変わらないようだ。自分で決めた投稿ペースにそろそろ抜けページのシーンが見えてきて焦りを感じ始めている自分は、夏休みも終わりが見えてきて間に合いそうにない宿題の量に焦り始めていたあの頃からなんら成長していない。
とはいえ、プロットは完成したのだ。驕りに過ぎないのだが、余裕が出来たと捉えて今回はこちらでまたくだらない話を呟こうかと思う。まとめてよいものかだいぶ悩んだネタではあるが、また小説に関わる小ネタを投下していこうかと。
「涙の魔法」の登場人物のモデルになった方々について。実在の人物から設定を拝借している以上、直接その人達のことに触れるべきではないと避けるつもりでいたのだが、どうしても書きたくなったので書いてみる。実に堪え性がない自覚はある。
菜々が私自身であることはどうでもいい。離婚してすぐに別の人を好きになったという設定だけ反映されていればいいので、私の面影を極力投影させず主人公らしくとかなり美化した人物であるということだけご理解いただければそれでいい。野田は触れない。ただの元夫だ。小説の野田は実物よりよっぽど美化させておいた。
豊島と茂松。彼ら二人について語れたら、それで満足である。私が以前勤めていた職場の、仲の良かった先輩。小説のようにプライベートでカラオケに行ったりするほどの仲ではなかったが、仕事の休憩中や仕事絡みの飲み会なんかでは、彼らと濃密なオタクトークをしたものである。アニメや漫画の貸し借りなんかをしていたこともあった。
ややこしくなると思うが、モデルの方を敬称で豊島さん茂松さん、小説の彼らの方を敬称略で豊島茂松と、ほんの少し差別化して書き起こしてみようと思う。
初めに豊島さんについて。彼と顔を合わせる頻度は比較的多い。会おうと思えば週一で会える。パチンコ屋で。彼とはスロット仲間なのだ。いわゆる萌えスロばかりを好む人で、硬派なものや主流の機種はあまり打ちたがらない。
スロットがうまい方かというと、恐らく違う。5円スロットで負けてばかりいる。どうやったら勝てんだろなーなんて私に愚痴ることがある。まずは機種選択に勝てそうな台を候補に入れることと一台に絞って全ツッパする打ち方を変えるべきと私は彼に再三言ってるが、彼の打ち方はブレない。ブレずに負けている。
ホールで姿を見かけると、お互いに声は掛け合う。今日の調子はどうかと軽く言葉を交わして、それぞれの打ちたい台を打つ。隣同士で打つこともあるが、基本的にはお互い自分の打ちたいものを優先する。それで少し離れた場所で打っていても、どちらかが珍しい演出を出したりすると声を掛けに言って見せびらかしたりもする。時々彼はコーヒーを奢ってくれる。優しい先輩だ。
そんな豊島さんは、私の飲み仲間でカラオケ仲間でもある。スロットほど頻繁ではないが、お互いの収支の差が大きく開いたりすると、儲かっている方が奢るという約束で二人で遊ぶことがある。それなりに真面目な立ち回りをする私の方が収支で勝つことが多いので、私が奢ることが多い。だが義理堅い彼は、奢られてばかりでは申し訳ないと収支に関係なく誘ってくれることもある。いい先輩だ。
私の唯一の休日である土曜日の過ごし方は、家で物書きに興じるか彼に会いにパチンコ屋に行くかの二択だ。彼は必ずと言っていいほど、いつものホールでいつもの台を打ちながら、不調な流れに時折首を傾げたりしてくわえ煙草でスロットに興じている。不調な彼をからかい、逆に珍しく好調の時もからかったりするのが、私の楽しみの一つなのだ。
次に茂松さんについて。彼と茂松は、まるで似通った部分がない。明るい性格と、裏設定ではあるがメガネキャラであることくらいしか共通項はない。煙草も吸わないし。小説では軽薄そうな感じというか子供っぽい感じを強調しているつもりだが、実物はいたって誠実で大人びた人だ。
むしろ共通項が多いのは、どちらかというと実物の豊島さんの方だ。実力派アニソンシンガーに傾倒している点。自分の考えをストレートに表現できる点。登場人物のキャラ付けは、豊島は実物の豊島さんが私の相談相手だったという設定を反映し、茂松は実物の豊島さんの個性を反映しよう、といった感じで設定したのだ。実にややこしい説明しかできなくて申し訳ない。
実物の茂松さんは、とにかく謎が多い人なのだ。私が同じ職場にいた頃も、社内の誰もが彼の本質を垣間見ることが出来ず、どの口からも「不思議な人」という評価で表されるような謎キャラだった。特段、奇人変人と言った特殊なタイプというわけでもない。いたって振る舞いはごく普通なのだが、本心が見えない、いつも何を考えているのかよく読み取ることが出来ない、不思議なオーラの持ち主。私は彼を妖精か何かだとすら思っている。
私が退職して以来、茂松さんとは会っていない。連絡も取り合っていない。豊島さんから時々彼の話を聞ける機会はあるのだが、今では二人とも勤務地が離れてしまっているらしく、彼ら二人が顔を合わせる機会も減っているらしい。
詳細な解説は需要すらないと思うが、簡単にまとめると以下の通りである。
*小説の豊島について
・個性→一部、実物の豊島さんと同じ。おもにいじられキャラな点以外はオリジナル。
・立ち位置→実物の豊島さんに則っている。
*小説の茂松について
・個性→実物の豊島さんに限りなく近い。明るさは実物の茂松さん寄り。
・立ち位置→実物の茂松さんに則っている。
…本当に誰得だよ、こんな情報。
ここで気付いていただきたいのは、茂松の立ち位置についてと、ツナメパンの最初のページの内容のことである。
ツナギの彼によく似た先輩というのは、この茂松さんのことである。告白をしてフラれたという話は、ここでも小説でも事実そのままを書き起こしている。
ツナメパンではもう一度会いたいなどと乙女な表現を用いたが、実を言うと会える可能性はゼロではなくなったのだ。もしかすると、また会えるかもしれないという希望が見えてきたのだ。
ささやかな私のそんな希望を叶えてくれるかもしれないのは、何を隠そう豊島さんの存在である。スロットの話題で彼とLINEをしていた際、何かの流れで「今度飲む時は茂松さん誘ってくださいよ」と私は冗談めかして彼に頼んだのだ。前述の通り顔を合わせる機会が減ったからと断りを入れながらも、それでも豊島さんは「話す機会があったら誘ってみる」と引き受けてくれたのだ。
私が何故、他にもいる仲の良かった先輩達のことを差し置いて、茂松さん一人を指名したのか。豊島さんは私にそのことを言及したりせず、何の疑問も口にすることはなかった。
その理由はおそらく、小説と同様に私は豊島さんに対して、茂松さんのことで恋愛相談に乗ってもらっていたからだと思われる。
もう一度茂松さんに会えたら、連絡を取り合えるようになったら、私はツナギの彼から想いが離れてしまうのだろうか。
いつ来てくれるかわからないツナギの彼と同様、必ずまた会えるとまだ約束されていない以上、それを鮮明に想像することは出来ない。
これだけ小説との繋がりを明らかにし、今でも交流があると明かした、豊島さんの方はどうなんだ。そうお思いになった方もいるかもしれない。
小説を書くきっかけを生んだのは、豊島さんだ。きっかけとなった出来事と、彼と体験したいくつかの出来事と、茂松さんのことを入れたら、小説が一つ書けそうだと思ったのだ。
それ以上は、何も言うまい。