一問一答と二者択一と面白くない物語
集中力:★
論破度:★★★★
ネガ度:★★★
与えられた試練に挑む。与えられた難問に真剣に頭を悩ませる。人並みに教育を受けて学校でテストを受けたことのある現代人は誰しもが経験していることだろう。
「涙の魔法」のSSにて、主要人物三人が与えられた質問に次々と回答していくバトンに挑戦する、というネタを投稿した。連載モノではどうやらほぼ必須らしいキャラ紹介を特別設けていないこの作品において、自キャラにバトンをやらせるという創作好きにありがちな手法を初めて取り入れてみたが、案外気に入っている。基本プロフィールやら裏設定やらを三人がフリートークを交えつつ勝手に自己紹介してくれるのは楽しい上に楽だと思った。
その「涙の魔法」の本編の連日投稿を終え、後はほぼ筆が進んでいない最終章を書き上げるしかなくなってから何日か経過した。伏線まとめだのプロットだの真面目に創作に打ち込んでいるようでいて、諸々の事情でなかなか身が入らないでいる。
既存の外伝もお見せできるところまですべて出してしまい、もはや時間稼ぎの外伝ネタを新たに書いて投稿するか、投稿の手を休めて本格的に最終章に集中するかだ。時間稼ぎの必要性など皆無であることぐらい重々承知しているが、妙な部分でこだわりたがる性質の私は連続記録を絶やすことを惜しんでしまっている。とんだ悪癖である。
今回のこの記事も、時間稼ぎのための記事だ。対して面白味のないネタをまとめてしまいたくなったものだから、まとまった文章を書いてとりあえず何かを達成した優越感を糧に、また本編に意識を戻そうと思ってはいる。
面白そうだと思ってしまったのは、ずばり「面白くない物語の作り方」というブログ記事をたまたま見かけた事による。
別にきちんとした評価を得られなくて結構。元から自己満足のために書いたんだから。そんなツンデレめいた発言をそこかしこでしつつも、日に日に思い入れが増していくこの「涙の魔法」という物語を、どうせなら面白い作品と思ってもらいたいのが正直なところ。
そんなことを思っている時に見つけたこのブログ記事内に「面白くない物語の指標」というチェック項目があった。何の気なしに自分の作品に当てはまる項目はあるか読み進め、途中でふと思いつく。
よし。せっかくバトンネタ仕上げたばかりだし、バトンっぽい感じで回答を詳細にまとめてみよう、と。
何がせっかくなのかは自分でもわかっていないのだが、そんなこんなで「涙の魔法」という物語が果たして面白いのか面白くないのか、私なりに解析してみた結果は以下の通りとなった。
※注意※本編のネタバレ有り。あらかじめラストシーンまでご一読いただくことをお薦めします。
・オープニングに躍動感がない・・・×?
プロローグがオープニングに該当するとして、躍動感か…全力疾走している豊島くらいかな。読み手に与える感情の躍動感という意味では、どうしてこうなった感を感じていただける表現が出来たつもりではいる。
・ 物語に敵(対立軸)がいない・・・×
これはもう野田。むしろ女の敵。
・ 敵の動機がテキトーすぎる・・・×
自分から離婚しておいて、やっぱり菜々が諦めきれなくて復縁を迫ろうとした。無茶苦茶な発想ではあるが、野田なりに真剣に悩み抜いて決断したことであり、決してテキトーな動機とは言えない。
・ 敵が怖くない・・・○
茂松曰くただのクソガキだし。怖くする必要もこの際なかったので。人並みの常識を持っているのか怪しいという意味では、ある意味怖いと…言えないか。
・ 敵が憎たらしくない・・・×
憎たらしいことこの上なし。
・ 主人公に目的がない・・・×
豊島か茂松、どちらかが自分に好意を持って欲しい。あるいはどちらかを本気で好きになりたい。不純な動機ではあるが、菜々にはちゃんと目的を持たせている。
・ 主人公に義務がない・・・×
恋愛ストーリーの主役として素敵な恋愛を成就させること、は大前提の義務だと思う。でも菜々にはそれ以上の大きな義務があるかな。生きる事への意志を固める義務。それにたまたま色恋が絡んだだけであって、豊島や茂松といった頼りになる存在がいなくても違うきっかけで菜々が強い心を持てていたら、物語は始まりもしなかった。
・ 犠牲者がいない・・・×
三角関係を経て最終的に本当の恋人に選ばれなかった方もしくは自分から身を引いた方を犠牲者、と呼ぶのも酷すぎる気はするが。そういった意味では、四人全員が犠牲者になった経験有りなんだよな。菜々→野田→豊島→茂松の順で。
・ 深甚な被害が発生しない・・・×
心境的被害は四人それぞれ甚大ではないかと。
・ 登場人物の役割がはっきりしない・・・×
主要三人や野田と、それ以外のキャラの扱いに差がありすぎたと感じてはいるが。
・ 興味をそそる謎がない・・・×?
謎は割と多彩に詰め込んだつもりでも、興味をそそられるか客観的な判断は出来かねる。
・ 伏線が敷かれていない・・・×
菜々のネット彼氏。菜々が泣けなくなった理由。Lizの発言。随所に散りばめたつもりではいる。そして主題である「涙の魔法」が何を意味するのかは、ラストシーンまで進んだもののまだきちんと種明かしはしていない。最終章で明らかに。
・ 歓びやときめきの描写がない・・・×
これも客観的にどうとられるのだろうか。登場人物がそういった感情を抱いた描写ならある。菜々が茂松の好きなところを豊島に明かしたシーンは、まさにそれだろう。
・ 主人公に深刻な危機が訪れない・・・×
まさに人生終わりそうなところです。
・ 解決すべき問題が曖昧である・・・×?
結局のところ菜々は豊島と茂松どっちと真剣に付き合いたいのか。これを問題とすればいいのだろうか。
・ 出来事が拡散するだけで収束しない・・・×?
一つ一つ収束させている、はず。
・ 逆転がない・・・×
本命はもう茂松一択だろ、という流れからの別の人物の可能性が急浮上、の流れは逆転と呼んでいいだろうか。
・ ツイストがない・・・×?
つまり、ひねりということだろうか。ひねりを利かせた文面に仕上げました、なんて自信を持って言えるわけでもないし。展開的にも一筋縄ではいかない流れで書いたつもりではあるが、どうだろう。
・ 主人公が反転攻勢に出ない・・・×
第五章で野田に追い詰められて卒倒するも、意識が戻ってから思う存分彼を罵倒した菜々は、反転攻勢に出ることが出来たと言えるだろう。恋愛事情に関しては、豊島と茂松に対して攻勢一方だった気がしないでもないが。
・ タイムリミットがない・・・×
菜々が終わりを決断してしまうまで。歌い終わってしまうまで。それまでに何としてでも彼女を見つけ出さねばと急いだ豊島は、タイムリミットを抱えていたと言える。
・ ハラハラさせる場面がない・・・×
前述の部分がそれに該当するだろう。そしてラストシーンの締めくくり。果たして菜々はどうなってしまったのか。読み手には少しでもハラハラしていただけていると思いたい。
・ 誰も謎解きをしない・・・×
豊島も茂松も真剣に相談しあって、菜々に関する謎を解き明かそうとしている。
・ 伏線が回収されない・・・×?
これはまだ最終章が完成していない以上、すべて回収しきれていると断言できない。だが回収するつもりで今まさにラストシーンまでを必死に読み返して、散らかしっぱなしの伏線をまとめ終えたつもりではいる。
・ 解決すべき問題がグダグダ・・・×?
個人的にはグダグダにしたつもりはないが、読み手にそう思われてしまっているかもという予想は否めない。
・ 問題解決の切り札がない・・・×
ある。伏線は敷いてあるし、最終章で確実にそれを使って回収する予定。
・ 犠牲的な精神の発露がない・・・×
これはもう菜々そのもの。自己犠牲の塊である。
・ カタルシスがない・・・×
カタルシスとは何か。解釈を間違えていたら申し訳ないが、要するに「悲劇がもたらした感情によって、抑圧された別の感情を浄化・解放すること」らしい。
離婚という悲劇を体験した菜々が、抑えていた豊島や茂松に対する感情を解放させた。こういうことだろうか。
・ 主役の内面が変化しない・・・×
豊島達と同じ職場にいた頃と比べて性格が明るくなった。茂松一辺倒だった恋心が豊島にも揺らぐようになった。この辺りが該当すると思うが。茂松への未練を断ち切れなかった菜々は、野田に対しては心変わりできずじまいだったが、今回の豊島に対しては…とまで、ここで断言するべきではないので控える。
・ 結末が予定調和すぎてバレバレ・・・○
まだ結末をお見せしていないが、明らかに予定調和ではないかと思っている。だがこればっかりは、最初から決めていた内容の結末なので、どうすることも出来ない。
・ 心を震わせるような感動がない・・・?
これはもう、読み手の受け取り方次第だ。そして最終章の出来栄え次第だ。頑張るしかない。
どう考えてもそれは違う、明らかに見当違いな解釈、と言われるほどではない…はず。
どうであれ、10個以上の項目に該当した場合、その物語は面白くないと言えるそうだ。確実に該当するのは2個。不明瞭な部分も含めると…え?ちょうど10?…だ、そうだ。
結論「個人的力作である「涙の魔法」は、物語的に面白くない」
モチベーションアップを兼ねた時間稼ぎのつもりが、見事にモチベーションを下げられる結果となった。
と言っても、本当に下がったわけではない。不確定要素もあるし。むしろ反応の無さから考えて当然だろうと客観的に見て思う。逆にどれにも当てはまらない完璧に面白い物語だったとしたら、それこそ自信喪失していたかもしれない。だったらなんで評価つかねーんだよ意味わかんねーよ、と。
上がりも下がりもしないモチベーションの中、この記事の締めを考えているうちに同時進行させていた外伝が1ページ仕上がった。これで明日も投稿できるぞ。ようやく上がったモチベーションで、まとめ。
この記事を書きながら気まぐれに外伝を進めたり、またこの記事に戻ったり、やる気も意識も移ろいがちな私は、オリジナルの長編小説をまともに完結させた経験がない。長続きしないのだ。だがどうやら大して面白くないらしい「涙の魔法」は、最終章の出来栄え次第ですっかりつまらなくなってしまったらどうしよう、などと肩肘張って最終章の推敲に頭を悩ませる必要はなさそうだ。
シリーズの外伝を投稿しようが、予告無しにツナメパンを投稿しようが、全く関係ないR15短編の単発投稿を考えたりしようが、面白くない長編小説の続きを心待ちにしている人は、たぶんいない。
参考サイト↓
http://www.0874296.com/skillup/storytec
自分の記事にあまりリンクを貼りたくないので、リンク形式にせずURLだけのご紹介という無作法お許しください。
サイト内容は全く問題ございません。むしろかなり勉強になる記事ばかりです。かなりお薦めです。