6/7
分からず
温もりが、手を覆う。
手のひらから伝わるそれは、自身の行動に驚いたように離れた。
「……ごめん」
「嫌じゃない。嫌じゃないです」
だって、と小さく笑みを零した。
「懐かしい気がするんです。おかしいですよね、名前だって知らないのに。でも、安心するんです。――あの」
青年と視線を合わせると、悲しげに微笑んだ。まるで自分はもうすぐ死ぬのだと言わんばかりに。
「ずっと、ここにいてくれませんか。もちろん、あなたがほかの国へ行くというのなら止めません」
青年は、それを承諾した。
彼にその時のことを訊くと、儚げな彼女を放っておくことができなかった、そう語ってくれている。
後々考えると遠まわしに好意を伝えていたのかもしれない。だが、現段階ではその気持ちすらも分からずにいたのだ。今では笑い話だとも、彼は話してくれた。
あともう少しだけ、我の話を聞いてもらいたい。




