表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀色の月  作者: 麗夢
4/7

その笑顔に

 青年は、整った顔を苦しげに歪ませた。

「これで、わかっただろう? ――俺は」

 ポツリと語ったのは、遠い昔、親からある日突然知らされた事実。「お前の母親は、人間だ」――それから幾年、追放を受けた。いや、自ら外へ飛び出した。

 もう、自分の居場所はないと知ったあの日。

 守ってくれる人などいないと知ったあの日。

 しばらく人間のまま、各地を転々とした末辿りついたこの国。

 少女は、ギュッと目を瞑った。

「……なんとなくそうじゃないかって、思ってました。――あなたは、時々優しくなるんです。本来の竜は、あんなに優しくはなれないのでしょう? きっと、お母様は優しい方だったんですね」

「俺はただの出来損ないだ。優しくなんかない」

「そんなこと、ないですよ」

 不意に、青年の手を握った。見せつけるように上げて笑う。

「あったかい。ほら、優しいでしょ?」

 その笑顔と温もりに、青年は虚をつかれたようだった。たじろぎ顔を逸らす。

 少女は笑顔のまま首を傾げた。

「ほかのところには、行かないんですか?」

「さあ、どうだろう。ここよりいい場所があれば」

 曖昧にごまかす。少女は小さくあ、と呟いた。

「……もう、戻らないといけないみたいです」

 遠くに見える城には、ほのかに灯りがついている。

「明日、また来ていいですか?」

「うん」

「それじゃあ」

 少女はさっきと同じような笑顔を残して山を降りていく。

 青年は、心の奥でくすぶる気持ちに気づかないふりをした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ