この世界
一話ごとが短いです。
できればそこには目をつぶってやってください。
この世界は、不思議だ。
どこもかしこも緑が溢れ、活気に溢れ、――そして笑顔に溢れている。
互いに支え合い、共に生きようとする姿はここ以外にどこで見れようか。ごくごく一部だけだろう。
この世界が平和を保っていられる。
それはすべて、現女王様が成せたことだ。
我は、そのことについてここに記しておきたいと思う。
我の記憶が薄れぬ内に。
誰かに忘れ去られぬ内に。
この小さな小さな話が、未来永劫語り継がれることを願って。
ここに、記そうと思う。
まず、女王の成り立ちの話をする。
今の女王が生まれたのは、ちょうど厄災が重なっていた年だった。
母親、つまり先代の女王は生んでからすぐ亡き人へ、父親も女王様が七歳の頃病気で亡くなった。
ひとりぼっちになった女王様は、しかしわずか七歳という幼さながら人々の前に立った。子供でありながらも、人々はそれを気にする様子もなく、当時から容赦なく問題を押し付けた。「子供も大人も関係ない。王とはそういうものだ」という歪んだ理屈と共に。
まだ幼き女王様は、泣き言一つ言わずに黙々と仕事をこなした。その完璧さには子供らしさなど微塵も存在せず、不満の声も最小限であった。
そのために、人々は忘れてしまっていたのだ。まだ女王様が、無力な子供だということを。




