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始まり


 この世界には、魔法と錬金術の2つの力が存在している。

 魔法を扱う者は「魔法師」、錬金術を扱う者は「錬金術師」と呼ばれる。この2つの術師たちは、互いの術を競い、そして高め合う存在であった。しかし、ある大きな戦争でこの関係が崩れ去った。世界を代表する2つの帝国の戦争において、両国は即戦力となる魔法を支持したのだ。

 以来、国は魔法のみを支援するようになり、魔法の技術は大いに発展していった。反対に、錬金術は衰退の一途を辿っていった。

 そして、いつしか錬金術師たちは魔法師たちを羨み妬むようになった。そんな錬金術師たちを、魔法師たちは疎み嫌うようになった。


 それから1000年。

 世界は変わらず、陽を浴びる魔法の陰に、錬金術が存在している。



アスティリーナ・A・アンティクル著

『国史』序章より



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