表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/37

imperial command

魔族討伐より実に十数年ぶりに勅命が出される。

その報せは全世界に素早く伝達された。

その経緯を説明しておこう。

フェパイストがレディンの手により殺害された事により、テュポン戦士団はギルドからの依頼を破棄していた。

そのギルドに破棄申請をした際の理由欄にはこう記述されたいた。


-依頼破棄について理由事項-

我々テュポン戦士団はギルドより承った依頼実行中に敵対者と遭遇。

敵対者との戦闘により副団長補佐フェパイストが戦死した。

敵対者とはレディン・クレイオと思われる。

戦闘の目撃者が彼と身体的特徴が一致していると発言。

又、戦闘前の会話において自ら名乗りを挙げてはいないが、

否定は無く、肯定と思われる態度をとっていた。

この事により、我々テュポン戦士団はギルドの依頼を破棄願い、

独自でこの者を追跡、拿捕することを次なる目的とし行動する。


この内容を確認したギルドは、事実確認を急務とし、その連絡は全ての情報屋に伝達された。

そしてそれはある大国の知るところとなった。

ギルドから連絡があったその翌日に、全情報屋を対象としたミネルヴァからの勅命書が配布された。


”豪胆な野鼠”ではヘルメスがわなわなと振るえていた。

正式文章の第一報を目に通したヘルメスは激しく動揺した。

この通達文に署名されてある国名”ミネルヴァ”とは、その膨大な軍事力と優秀な人員、広大で肥沃な土地をもって現在この世界のリーダーシップを取る巨大国家である。

その国の現国王ユピテルが自ら勅命を出したのだ。

ゴーディアンやダィタンスリなどは自由都市郡と呼ばれ、何処の国にも属さない中立地帯である。

しかし、ミネルヴァに逆らうことは出来ない理由があった。

あらゆる商売に必要不可欠な物資の輸出入をミネルヴァ本国および、その属統治区から行っている為である。

ミネルヴァより、貿易禁止の発令を受けることは自由都市群にとって死を宣告されると同意義だ。

レディンは広く自由都市郡の一般市民に慕われていた。

その事は情報屋を営むヘルメスが一番解っていた。

しかし、ミネルヴァより勅命が下された今、彼を弁護する者は、一部のそれも少数の者を除いて居ないだろう。

ミネルヴァは光神への信仰が特別厚い事で有名だ。

幾つも神殿を建設し、崇め祭っている。

そんな彼らの耳にレディンの件が入ってしまった。

彼らは率先してリリスを狩っていた。

神の意志を遂行する為に如何なる尽力も惜しみない。

レディン一人に軍隊の出陣もありえるだろう。

そうなれば、いくらレディンでもどうにもならないだろう。

もはやどうにもならない事態に陥ったことを実感したヘルメスは、勅命書を握り締めただ、その場で立ち尽くすしかなかった。



/勅命通達文 始/


レディン・クレイオは人類及び神々の敵である。

この者は本来、人々を悪鬼羅刹から守護する立場のものでありながら、

神がこの世の災いの元とお告げになられたリリスを庇い、護っているという。

これは世界の秩序への許されざる反逆行為である。

更にこの者は、リリス討伐の任についていた幾人かを自身の手により殺害している。

この者を見つけ次第拘束。又、抵抗する様であれば排除せよ。

この者に情けは不要である。

我々の手で裁きの鉄槌を撃ちこむのだ。


          ミネルヴァ国王ユピテル・ミネルヴァ

/通達文 綴/


こうしてレディンの話は全情報屋を介し全世界に知られることになる。

それはレディンがライディンで防衛戦を行っている最中の出来事であった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ