2催眠 本番まで
「なめてくれるかしら?」
下半身を露出させ、そう要求してくるアシダン。ボクは困惑しならも、さっきアシダンが呟いていたことを思い出す。
『うぅ~ん。沢山お話しできたわ。話し下手な外川君でもここまで話をしてくれるなんて、やっぱり催眠アプリは本物だったのね』
こう言っていた。
やっぱり気になるのは催眠アプリだよね。催眠アプリって言えばR18な内容の話でよく出てくるけど、それをボクはエレベーターで見せられた。つまりアシダンは、僕がその催眠アプリって言うものの影響で催眠にかかってるって思い込んでるわけだよね?
しかもその理由が、ボクが話をたくさんしたから。
話するの嫌いじゃ無いけど、アシダンには誤解されちゃってたのかぁ。……その所為でこんなことになるなんて。
「ほ、ほら。早くなめて」
少し焦ったように言うアシダン。焦りは言葉だけでなく体の方にも現われていて、どこがとは言わないけどヒクヒクしている。
ボクがここで取れる行動は2つ。
1つは、本当のことを教えてしまうということ。つまり、催眠は掛かっていないと伝えてしまう。
ただ、この場合アシダンには凄い恥をかかせることになるね。しかも、ボクたちの関係はギクシャクすると思う。
となると、
ペロッ
「あっ。そこなめるの!?」
ボクに取れるのはもう1つの選択肢。何も知らないアフリをして、とりあえず催眠にかかったことにするって言うこと。きっとアシダンはボクを使って催眠アプリが本物かどうか確かめたかったんだと思うんだよ。だから、ここさえ乗り切れば後はアシダンは好きな人にでも使って、好きなようにするはず。ボクももう巻き込まれない!……と思う。
……いや。待って。アシダンってヒッキーの自宅警備員っぽいから、まず好きな人がいるかどうかも怪しいよね。……ボク、大丈夫かな?もうなめ始めちゃったから後には退けないと思うんだけど。
ペロペロ。
「い、いや。指じゃ無くて、こっちをなめて欲しいんだけど?」
ボクは望みをかけて、ずっとなめてと言われたときに使っていた指をなめていた。せめてここまで正気に戻ってくれれば良いと思ったからね。
でも、ダメっぽい。
「え?ひゃ!?そ、そこでもない!」
ボクは指から舌を離して、適当なところをなめて時間を稼ぐ。この間に頭を冷やして正気に戻って欲しいんだけどなぁ。
なんて思ってたのに、
「ここよ!」
「んぐっ!?」
僕は頭を捕まれ、強制的にそこにキスをさせられる。更にその状態で、
「ほら。そこをなめて」
なんて命令されてしまった。
こうなったら諦めるしか無い。ボクはアシダンを傷つけないため、大人しくそこをなめることにした……ん。しょっぱい。べつにお風呂に入ってきたばかりとかじゃないんだろうから、普通にこういうところは汚い感じになってると思うんだよね。毛もざらざらしてて、……なんか舌触りが気持ち悪いなぁ。
「んっ//いいっ//そこぉ//」
ボクは微妙な気分だけど、アシダンは体をよじらせて楽しそう。ボクはその体を熱くさせていくアシダンを見ながらひたすらなめ続けて、
「あっ//もう/あぁぁぁぁ//////」
ブシャッ!
顔にかかる液体。アンモニア臭のする液体では無く、また別の匂いがする。これでなめるのは終わっても良いかなって思ったんだけど、まだ終わっていいっていわれてないんだよね。催眠アプリがどうこうって話だったから、ボクは指示に従い続けないといけないはず。
ボクは顔に着いた液体にちょっと煩わしさは感じながらも、舌を動かし続ける。液体は変な味がするけど、特に気にせずなめ続けた。
「ん//んん~~~~////」
その後、3回くらい液体をかけられた後、
「はぁ~。外川君にやって貰えるなんて最高……本番は、また今度に取っておきましょう」
不吉なことをアシダンが言い出した。
だって、本番だよ!?しかも、今度とか行ってるよ!?確実に次があるじゃん!!ボクの淡い希望が打ち砕かれたんだけど!?
ボクは頭の中で頭を抱える。
「じゃあ、行って良いわよ。……っと、その前に一応ここでやったことの記憶は忘れてね。そして、この部屋から出てエレベータに乗ったら催眠が解けるようにして」」
「……はい」
ボクは頷いて速やかに部屋を出る。それから部屋に帰ってシャワーを浴びて大学に向かった。
この日以降もアシダンには定期的に呼び出されて、催眠にしたがってるフリをさせられた。……まさか本番までさせられるとは思わなかったよ。
でも、それでもそこまで大したことでは無い。ボクの生活が少しだけ忙しくなっただけ。ボクとアシダン以外に変化は無い。そう思ってたんだけど、
「んっ//んっ//んん~~~~////」
いつものように行為に及ぶボクたち。だったんだけど、その様子を観察する少女が1人。
「……へぇ。本当に効果があるんですね」
「そうなんだよぉ。凄いでしょ?……緋ちゃんもやってみる?」
「い、良いんですか?……じゃあ、お兄ちゃん、私を開発して下さい」
そう言って下半身を露出させる少女。あろうことか、ボクの周りでは催眠アプリなんて言うものを信じてしまった人が2人になってしまった。
…………どうしてこうなったんだろう。
ボクは肩を落としながら、今日もまた催眠をかけられたフリをし続ける。
「催眠アプリを使われて毎日相手をさせられているが、実はアプリが偽物なんて言えない」《完》
この作品は一旦ここで終了です!
この作品の他にも同じような短さの作品を投稿しているので、作者のページから「長編化予備群」のシリーズを覗いて頂ければ!!
人気があった作品は長編化します。勿論この作品も……チラチラッ(ブックマークや☆をつけて頂ければ、続きが書かれるかも……