1催眠 なんでこんなことに
この作品は今日中に全て投稿し終わる予定です。
「ほら。なめて」
「私のに挿れて」
「私にかけて!」
「……はい」
周りからされる命令。それに僕は淡々と応えていく。
ボクの周りには生まれたままの姿の女の人たちが集まっている。ボクの方も同じように一糸まとわない姿。ボクは皆の要求に応えながら、なんでこんなことになったのかと自問自答した。
「あぁ~。洗脳アプリ、マジ最高!」
「好きなようにして貰えるなんて、最高しゅぎましゅ……あぁぁ////もっと激しく叩いてくだしゃい!!」
「そうよねぇ。良いわよねぇ。見つけた私に感謝してよ?」
会話に少し出てきた催眠アプリ。これが、ボクがこんな多くの人たちの相手をしている理由。
ボクは最初にこのアプリに出会ったときのことを思い出した、
「……ふぁ~」
5月上旬。引っ越してきたこの土地にも慣れてきて、一人暮らしにも慣れてきて、通い始めた大学にも慣れてきて。のんきにあくびなんかもできるようになったこの時期。
周囲には大学に来たくなくなったり家に帰りたくなったりする5月病の子達も多いけど、ボクはどちらかと言えば良い気持ち。
その日もゆったりと朝を過ごして、収集所にゴミを出しに行った。その途中、
「あら。外川君。おはよう」
「……おは」
僕は1人の女の人に出会った年上だけど、僕はそういうのは気にせずに挨拶をする。
ボク、外川殊を外川君と呼んで来たその人は芦田四阿。同じマンションに住んでて、朝によく会う人。本人が言うには自営業でネットで沢山稼いでいるらしい。……因みにボクは自宅警備員だと思ってる。一人暮らしっぽいから、すねかじりとでも言うのかな?
まあ、わざわざそんなことを口に出すつもりはないけど。
「外川君は大学どう?」
エレベーターに2人で乗って、会話は続く。ボク自身はあんまり話さないけど、おしゃべりするのは嫌いじゃない。むしろ好きだと思う。……ちなみにこれを友達に伝えたらとても驚かれる。
で、質問されたわけだけど、聞かれたのは大学のこと。そんなに何かしているわけでもないし、
「……びみょー」
「そう。微妙なのね。彼女さんとか作らないの?」
「……べつに」
彼女、のとこでアシダン(脳内で呼んでいるあだ名。芦田四阿のこと)の声色が微妙に変わった。もしかしたらヒッキーですねかじりな生活してるから、色恋は自分で言っておきながら地雷だったのかもしれない。勝手に自分で言って勝手に自爆したのかな?
「そっか。彼女いないんだ……ねぇ。外川君」
「……ん?」
ボクは呼びかけられて、アシダンの方を向く、するとスマホを見せられて
……何々?洗脳アプリ?何だろうこれ?
って、思ってたら、アシダンの部屋がある階層になって、チンッ!と音が。そして、それと共にエレベーターの扉が開いて、
「外川君。私の部屋に来て」
アシダンからそんな言葉が。僕が行く予定の大学の講義までまだ時間はあるし、特に行っても問題はないと思う。
だから、
「……ん」
僕は頷いた。頷いてしまった。
ここから間違いが、誤解が生まれてしまったんだと思う。
「ほら。ここが私の部屋よ。入って」
「……ん」
僕はアシダンに従って部屋に入る。アシダンの部屋は思っていたよりは綺麗だった。ちょっと驚き。
ヒッキーのすねかじりって汚部屋なイメージなんだよね。どうしてだろう?
「ちょっと待ってて」
「……ん」
待っているように指示されたのでその場で待機。……せめて椅子に座らせてくれても良いと思うんだけどね。なんでわざわざ立ったまま待機させられたんだろう。
座ってていいよなんて言ってくれなかったし。
「……あっ。立ったまま待ってたの?ってことは、やっぱり指示に従うだけってことなのかしら?」
帰ってきたアシダンはそんなことをブツブツと呟く。僕にはよく分からないことを言ってるね。何が言いたいんだろう?
なんて思いながらその顔を見てると、
「あっ。もうちょっと試してみないといけないわよね。質問にえてくれるかしら?外川君の好きな食べ物は何?」
なぜか質問が始まった。どこかの会話が下手な人みたいな質問になってる。
「……ハンバグ」
とはいえ僕も会話は下手くそだから人のことを言えないけどね。基本的に1単語しか言わないし。
「ハンバグ?……ああ。ハンバーグね。じゃあ、次に好きな……」
その後、暫く僕への質問は続いた。何の意味があるのかよく分からないなって思いながらも、僕はその質問に答えていく。
そして数分後、
「うぅ~ん。沢山お話しできたわ。話し下手な外川君でもここまで話をしてくれるなんて、やっぱり催眠アプリは本物だったのね」
なんて呟いた。
催眠アプリって言うものが本物であるって確信したみたいだけど、何か引っかかるね。確か、僕がエレベーターで見せられたのも催眠アプリって名前だったはず。
……何だろう。とても嫌な予感がする。
「じゃあ、外川君……」
僕の脳が激しく警鐘を慣す中、アシダンは近づいてくる、そして、下の服に体をかけて、
「なめてくれるかしら?」
下半身を露出させ、そんな要求をしてきた。
な、なぜこんなことに!!!!??????