27話 騒音デスボイス
花子さんと謎の女性教師の2人を倒した事で七不思議側は全滅。七不思議デスマッチは人間側の勝利で幕を閉じたのだった。
「さて……私達が勝ったんだから、約束通りに皆んなを元に戻して貰うよ!」
『……さあ、全部綺麗に戻せるかしら』
女性教師はこの期に及んで地味に無駄な抵抗をしている。
「雑音先輩の言う通りにするっす!元に戻さないと……」
『も、戻さないと……?』
「思いっきり傷口エグるっす!!」
そう叫ぶと打縁は七不思議に向かって大きく口を開いた。
「(皆んな、耳塞いで床に伏せな!)」
「えっ?」
「わっ、分かりました!」
雑音が慌てて私達に指示を出した。雑音の力のお陰もあってか、私と利子川は即座に指示通りに動く事が出来た。
『 『ウ゛ ォ゛ オ゛ オ゛ オ゛ オ゛オ゛! ! !』 』
私達が床に伏せた瞬間、打縁の口から凄まじい破裂音が響き渡った。
「うわっ!?」
「凄い音……!」
私と雑音は必死に攻撃を耐える中、利子川だけは割と余裕そうに打縁を見つめている。
「あれは打縁の必殺技『デスボイス』、物凄い爆音で相手を攻撃する技だよ!……って、何で利子川は平気そうなんだい?」
「僕、爆音くらいなら特に……」
「あんた凄いね…… でも向こうは大変な事になってるみたいだね。あんた達、あれを見てみな」
「アレ?」
私と利子川は雑音が指差した先にいる七不思議を見た。
『ぎゃああああ!!』
『苦しい〜〜〜!!』
『やめて止めてやめて止めて!!』
『なんて音だぁぁあああ!!』
何と怪異や妖怪のたぐいである七不思議達は打縁の叫びを喰らって物凄く苦しんでいた。
「ああっ!七不思議達が悲鳴を上げて苦しんでる!」
「傷を負っている相手が聞くと、傷の深さに応じて更に苦痛を与えるんだよ!どんなに声に耐性がある妖怪が相手だろうと、傷を付けさえすれば余裕で攻撃が通るようになるんだよ!」
「な、何て恐ろしい技なんだ……!」
瀕死の相手に更に酷い追い討ちをかける技……なんて恐ろしいのだろう。しかも次第に音量が上がっていく。
『も、もう駄目……』
『私も……』
傷だらけの七不思議はもがき苦しみ、次々と気絶していく。
『〜〜〜!!〜〜〜!!』
気絶寸前の女性教師が両手を振って打縁を止める。それを見た打縁はピタリと声を止めた。
『止めて止めて!!皆んな元に戻すから勘弁して!』
女性教師が空に向かって両手を掲げると、女性教師の両手から大量の魂のようなものが飛び出し、周囲に散らばっていった。
「あの女性教師は嘘をついた相手の魂を奪うんだよ。けど、これで皆んなの魂は無事に戻っただろうね!」
「山彦も元に戻った筈っす!」
雑音と打縁は大喜びだ。
「凄い……!凄いよ夢居さん!!」
そんな中、利子川は大喜びで私に駆け寄ってきた。
「あんなに強かったなんて!カゲリさんが言った通りだったね!夢居さんの事、もっと信頼すれば良かった……!」
「まあ、見せてない物を信じろって言われても中々信じられないよね」
「夢居さん……ありがとう、優しいんだね」
どうやら利子川は、先程の戦いを見て私の実力を改めて理解してくれたようだ。
「それにしても、結局最後にカゲリさんは現れなかったね……」
人面犬との戦いの最中に一旦現れたが、それ以降全く姿を見せなかった。カゲリは何処に行ったのだろう。
「わたしは此処だよ」
「あっ!カゲリさんの声だ!」
「一体何処に……?」
何処からともなく聞こえてきたカゲリの声に私と利子川は反応し、辺りを見回してカゲリを探した。
「此処だよ」
カゲリは屋上の扉から姿を現した。顔のみを扉の隙間から覗かせ、こちらを観察している。
「ん?あいつは誰だい?」
「すごい無表情の子がこっちを見てるっす……」
「雑音さん打縁さん紹介するよ!あの人はカゲリさん、私の上司であり師匠でもある人だよ!カゲリさん、こっちに来てください!」
「うん分かった」
カゲリは扉を大きく開けて屋上に姿を現した。
カゲリの顔から下が犬に変わっていた。
「人面犬だーーーっ!?!?」
「うわっ!?あれが夢居ちゃんの師匠っすか!?」
「違う違う!普段はもっと普通の人だよ!?ちょっとカゲリさん!それどうしたんですか!?」
驚く雑音達にこれ以上誤解を与えないよう訂正しつつ、急いでカゲリに近付いた。
「その犬の身体ってよく見たら人面犬の身体じゃないですか!?何故そんな事に!?」
「拾った」
カゲリは私の疑問に淡白に答えながら犬の身体からスルリと抜け出した。
「あ、普通の人に戻ったっす」
「あれが普通の姿なんだよ……」
「へぇ……あの子が七不思議をまとめて倒した夢居の上司かい!」
「何だか一筋縄ではいかないような雰囲気出てるっす!」
出だしはアレだったが、雑音達からの印象はだいぶ良いようだ。




