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25話 思わぬ弱点

 この後も利子川が先頭に立ち、戦いを続けた。


『次は私だ!』


 4回戦目の七不思議、『異様な鏡』が現れた。


 宙に浮かぶ不気味な鏡には黒い布が掛けられている。


「利子川!そいつの鏡に顔を映したら駄目だよ!」


『フフフ……もう遅いよ!私はね、鏡に映した相手を複製して意のままに操る事が出来るのさ!』


 鏡は布を謎の力で外した。


『さあ!君を複製させてもらうよ!!』


 鏡は真正面から走ってくる利子川に全身を向けた。



『……って、鏡に映ってなーい!?!?』



 どうやら利子川は鏡に映らないタイプの人外だったようだ。


『おい鏡!そもそもお前が複製出来るのは人間だけだろ!』


『しまったー!!こんな事なら余裕ぶっこいてないで外野の奴らを映しに行けば良かったー!!』


 私は事前に雑音の話を聞いていたので、鏡に映らないよう事前に顔を隠していた。


「失礼します」


『あっ……』


 利子川はそのまま鏡を真っ二つにして、あっという間に戦いは終了した。



『次の俺は一筋縄では行かないぜ!』


 5回戦目の『踊る人体模型』との戦い。だが……


『参りました……』


 彼はただ動くだけで、特に何の力も持ち合わせていなかったらしい。利子川の手であっという間にバラバラにされた人体模型は呆気なく負けを認めた。



『そ、そんな馬鹿な……!?』


 そして6回戦目の『動く肖像画』。利子川は彼のポルターガイストをものともせず簡単に倒し、ついに相手の七不思議は残り2体となった。



「こっちは4人、相手はあと2人……これなら勝てるよ!」


『ど、どうしよう……!』


『そんな……!私達だけなんて、こんなの何かの間違いよ!』


 七不思議デスマッチなので相手を倒し切るまで戦いは続く。あと2回勝てばこちらの勝利だ。


「残る相手は『花子さん』と『存在しない女教師』……どちらも人間には脅威だけど、利子川ならきっと勝てるよ!!」


「助かったっす!!」


「あ、あと2勝だね……!」


 大喜びする雑音と打縁。だが、利子川は何故か浮かない顔をしている。


「……利子川さん、どうしたの?具合悪い?」


 私は具合の悪そうな利子川にそっと声を掛けた。



「…………すいません、僕はもう無理みたいです」



 「「えええーーーっ!?!?!?」」


 利子川の突然のギブアップにコエクラブの2人は大声を上げた。


「利子川さん、急にどうしたの?!……って、あれ?鎌は?」


 利子川の所持する大鎌の鎌の部分が消えていた。よく見ると利子川の武器を持つ手がガタガタと震えている。


「ごめん!僕……人型や人間に近い相手を切る事が出来ないんだ……!あの2人と戦うと思うと、足も動かなくて……」


「そうだったんだ……」


「最後まで戦うつもりだったんだけど……体が動かない……!」


「利子川さん無理しないで!」


 死神を目指すからこそ起こる弊害なのか、彼の性質なのかは分からない。だが、こうなった彼を無理矢理戦わせてもきっと碌な結果が出ないだろう。


「……分かった!利子川、今までよく頑張ったね!後はゆっくり休んでな!」


「利子川くんは立派っす!此処まで頑張った利子川くんを責める人は誰も居ないから、そのまま休むといいっす!」


「そうだよ、利子川さんは5体も倒したんだよ!十分頑張ったよ!」


 此処まで頑張ってくれた利子川にこれ以上負担を掛けるわけにはいかない。私達は棄権した利子川をとにかく労った。


「皆んなありがとう……ごめんね……」


 利子川は謝りながら応援側に戻った。



『よっしゃ!あの利子川が戦いから外れたよ!これは大チャンス!』


『負けた訳じゃ無いから利子川の魂だけは取らないであげる!よーし、人間だけなら私達で勝てるわ!!』


 一方。七不思議側は、棄権した利子川を見て歓声の声を上げた。


『次はどの人間が来るのかな〜?』


 相手は完全に人間を見下している様子で、ふざけながら私達をじろじろと見つめている。


「くっ……!利子川が消えた途端に舐めた態度を……!よし、次はあたし……!」


「私が行く!」


 相手のふざけた態度にキレそうな雑音を差し置いて、次は私が出る事にした。


「夢居!?」


「雑音さんごめんなさい!でも、私が先に出れば応援で雑音さんの力も借りれるから、私が出た方が得策だと思ったんです!」


「あ、それもそうだね……よし分かった!夢居、一発ぶちかましてきな!!」


「私の代わりにガツンとやっちゃってほしいっす!」


「分かりました!!全力で行ってきます!!」


 雑音と打縁の2人から声援を送られた私は元気よく返事をした。


「夢居さん、本当は僕が守らないといけないのに……こんな事させて本当にごめん……」


 利子川は人間の私を戦わせてしまう罪悪感からか、涙目になっていた。


「大丈夫だよ利子川さん!後は私が倒せば全部終わるんだからさ!利子川さんは悪くないから、無理に自分を責めないでね」


 私は弱気になる利子川を励ました。


「夢居さんありがとう……僕、此処をこっそり抜け出してカゲリさん呼んで来るよ。だから、僕らが到着するまで……」


「あー、それなら大丈夫かな。カゲリさんはもうこの場に居るから……」


「えっ?」


「だから多分、何が起こってもきっと大丈夫だよ!じゃ、行ってくるね!」


「あっ!夢居さん!」


 私は利子川を励ましてから離れて前に出た。


『次は私!』


 対して七不思議側からは花子さんが出た。


『ふーん、これまた弱そうなのが来たね。まともに戦えるの?』


 相手は私をジロジロ見つめ、つまらなそうにそう呟いた。正直言うと、こちらを見た目だけで過小評価してくれるのは物凄くありがたい。


「だ、ダメかもしれない……」


 此処は弱気になったふりをしながら構えた。此処は作戦の為にとにかく相手よりも下のフリをしておこう。


『今になって怖気付いた?大丈夫大丈夫、弱い相手にはちゃんと手加減してあげるから!じゃ、試合開始!!』

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