24話 代償の石像
利子川は見事、人面犬に勝利した。
『……皆んな、ごめん』
人面犬は顔のみという、実に貧相な格好で七不思議の群れの中に戻った。
『無様だね、人面犬』
『ったく、もっと頑張りなさいよ……相打ちするくらいの度胸は見せて欲しかったわ』
七不思議達はそんな人面犬に追い討ちを掛けるかのように厳しい言葉を浴びせる。
「皆んな、手助けしてくれてありがとう!」
一方、利子川は私達の方を振り向いて笑顔でお礼を言った。
「利子川!あんた最高だよ!まさかそんな武器を隠し持っていたとはね!」
「物凄くカッコ良かったっす!!」
「利子川さんお疲れ様!大活躍だったね!」
雑音と打縁は利子川をべた褒めする。私も利子川を労う。
「えへへ……皆んなありがとう!七不思議、次の戦いも僕が行くよ!」
利子川は改めてお礼を述べると、次の戦いも自分が出ると宣言して大鎌を構えた。
『次の相手は俺だ……』
すると、七不思議側から筋肉質な中年男性の姿をした大きな石像が姿を現した。
『2番目の七不思議、『代償の石像』が相手をしよう……』
人面犬よりも遥かに強そうな、2メートル程はありそうな石像が利子川の前に立ちはだかった。
『では……三回戦目の開幕だ!!』
そう言うと石像は床を力強く蹴り、利子川目掛けて全速力で走ってきた。あんな巨体がぶつかったら大変な事になりそうだ。
(ただ強そうなだけじゃない……あの石像、物凄く嫌な予感がする……)
「利子川さん相手に気を付けて!何か妙だよ!」
「分かったよ夢居さん、気を付けるよ!」
私は石像から嫌な予感を察知し、利子川に忠告をした。利子川は元気よく忠告に応えた。
「……?あんた達まさか、この学校の七不思議の詳しい内容を知らないのかい?」
私達の話を聞いていた雑音が妙な顔をし、七不思議の内容について尋ねてきた。
「あっ、はい。知らないです……」
「何っ!それはまずいよ!」
「えっ?」
私の言葉を聞いた雑音は焦り、急いで利子川の方を向いた。
「また突進……ワンパターンだね」
一方、利子川は大鎌を構えて石像を待ち構えていた。
「利子川!その像に攻撃するのはやめときな!!」
すると雑音が突然大声を上げ、攻撃を止めるよう指示した。
「!?」
利子川は石像がぶつかる寸前に体制を変え、何とか石像の突進を避けた。
「雑音さん、どうしたんですか!?」
「利子川!あれは七不思議の1つ『代償の石像』だよ!あの石像に攻撃をすると、石像じゃなくて攻撃した側が倍のダメージを喰らうんだよ!」
「もし腕を攻撃したら腕が、もし足を攻撃したら足を大怪我してしまうんすよ!」
「ええっ!?」
雑音と打縁からのまさかの説明に利子川は大声で驚いた。
『その通り……俺に攻撃したら、石像の修復の代償をお前の身体で払って貰う……』
「そんな……!」
まさかあんな石像にそんな力があったとは。このままでは相手に攻撃出来ない。
『そのまま何も出来ずにくたばれぇ!!』
石像は再び利子川に向かって突進する。
「うわーっ!どうしよう!」
利子川は困惑し、辺りをキョロキョロと見回している。
「うわーっ!!うわーっ!!う………………」
慌てふためいていた利子川が突然静かになった。
「うわっ!急に大人しくなった!?」
「電池切れたオモチャみたいだね」
利子川は無言のままじっと床を見つめている。
『潔く諦めたか……なら、俺もお前に応えて一撃で葬ってやろう……!』
石像は更に加速して利子川に向かって走る。
「なんとかなれっ!」
石像が利子川にぶつかる寸前、利子川は目の前の床に向かって鎌をひと振りした。
(ま、まさか……)
『フハハ!何処に攻撃している!そんな下らない真似をっ!?』
石像が利子川の前で足を踏み込んだ瞬間、床が思い切り沈下した。
『あっ……』
『が あ あ ぁ ぁ ぁ ! ? ! ?」
石像が立っている床に完全に穴が空き、石像は悲鳴を上げながら下へと落下してしまった。
『石像!?』
七不思議達は焦り、空いた穴から石像を探す。
『…………』
石像は見るも無惨な姿になっていた。身体は粉々になり、パーツは部屋中に散らばっている。
「助かった……相手が重そうだったから試しに床に攻撃してみたんだ。いやー上手くいってよかった」
「そうか!あの石像に直接攻撃せず、自滅させれば利子川は代償を支払わずに済むって事だね!」
『お、鬼……!?』
『この悪魔がぁ……!!』
『アイツ粉々になったんだぞ!?何でお前達はそんな笑顔でいられるんだよ!?』
笑顔で顔を拭う利子川、笑顔で解説する雑音。残った七不思議達は利子川達を信じられないものを見る目で睨みつけていた。
「何はともあれ、これで2勝目だね!」
「この調子で勝ちまくるっす!」
『に、人間めぇ……!』
利子川は見事2連勝、七不思議の残りはあと5体だ。
3回戦目 利子川VS石像
勝者・利子川




