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23話 人面犬大惨事

「『食ーえっ!!食ーえっ!!』」


『や、やめろっ……!!』


 雑音は人面犬に暗示を掛け続ける。食えコールにより人面犬は玉葱に齧りつこうと大口を開け、人面犬は玉葱を食べたくない一心からその暗示に必死になって抗おうとしている。


「よし、私達も雑音先輩と一緒に利子川くんを手助けするっす!!」


「分かった!」


 打縁の提案に賛同し、私も食えコールに参加する事にした。



「「「『食ーえっ!!食ーえっ!!』」」」



「ぐおおおおっ!?!?」


 私達が加勢したお陰なのか食えコールがさらに力強くなり、人面犬が更に玉葱に対して前のめりになった。人面犬の顔から脂汗が流れ落ちる。


「玉葱に齧り付きそうっす!」


「よし!もう少しで人面犬を倒せそうだよ!!」


 訳の分からない戦いだが、相手には十分過ぎる程に効果があるようだ。


『人間達、それ以上はやめなさい!』


『そうだそうだ!無理矢理食わすのは最低だ!いじめだ!』


『最低だー!』


 七不思議達は怒りの抗議を私達にぶつける。


「うるせーーーっ!!そもそもあんた達七不思議が何の罪もない人間をいじめたのが発端だよ!!」


「そうっす!七不思議は、七不思議が暮らす学校の近くを通り掛かったってだけの人ですらイタズラで呪ったり魂取ったりしたじゃないすか!こっちは知ってんすよ!!」


「さ、最低過ぎる……」


 どうやら七不思議は今まで好き勝手に暴れまくっていたようだ。



『ぐっ……!だっ、だからって犬に玉葱食わすのは……』


「そうだよ!そんな事したらワンちゃんの部分が可哀想だよ!」


 そんな人面犬を擁護する七不思議達のそばにカゲリの姿が現れた。


「ええっ!?何故そんな所に!?」


 しかもカゲリは人面犬を擁護している。何故敵に塩を送るような真似をしているのだろうか。


「ワンちゃんは何の罪も無いよ!だから……」


『えっ?』


 カゲリは人面犬に近寄り、人面犬をそっと持ち上げた。


「えいっ!!」



 カゲリは人面犬を強く引っ張り、人間と犬の部分で綺麗に切り離してしまった。



「うわああああああ!?!?」


 人面犬が人間の頭部と犬の身体で別れてしまった。私は思わず叫び声を上げた。


「さ、今のうちにどっか行って!」


 カゲリは犬の身体を離し、屋上の扉から逃がしてしまった。犬の身体は元気よく屋上から走り去った。


『えっ何何!?俺どうなってんの!?』


 頭部のみの人面犬は何が起きたか分からず必死になって辺りを見回そうとする。


 因みに犯人であるカゲリの姿は既に何処にも見当たらなかった。もしかしてカゲリは、私達をこっそり手助けしてくれたのだろうか。


『人面犬!貴方、頭だけになっているわよ!』


『人面犬の身体がどっか行っちゃったよ!!』


 そもそも七不思議の内容的にあの姿は大丈夫なのだろうか。


『うわーっ!?俺の身体が!!ふ、ふざけやがって……!だが、これならもう玉葱も怖かねぇな……』



 人間の頭部のみとなった元人面犬は、謎のオーラを纏いながら宙に浮かび上がった。だが、身体が無いから本来の力が出ないのか、何だか弱そうに見える。


 更に先程の玉葱との格闘により、だいぶ疲れが溜まっているようだ。



『はぁ……はぁ……だが、ガキ1人どうって事ねぇ!このままぶっ倒してやる!!』



 人面犬は物凄い形相で大口を開け、利子川に物凄い速さで接近した。


「……分かりました。じゃあ僕も全力で行きます」


 そう言うと利子川は長い棒を構えた。


『あ?そんな棒で何が……』


 人面犬は構わず利子川に飛び掛かった。



 利子川が持つ長い棒の端から鎌が伸びた。



 利子川が綺麗な姿勢で鎌を振ると、高速の鎌は的確に人面犬の顔を捉えた。


『ぐおっ!?』


 人面犬は地面にぶつかる形で鎌をかわした。だが避けきれなかったのか、顔にそこそこの切り傷がついてしまった。切り傷から謎の光が漏れている。


『なっ……なんだそれは!?』


「大鎌。冥界は時折妙な物が出るから、いつも武器を持ち歩いているんだ」


 利子川はいつになく真剣な面持ちで人面犬を睨む。普段の優しい利子川と雰囲気が全然違った。



「さっきのは素振り。次は本気で行くよ」



 利子川は本気だ。鎌を軽く振り回してから構え、人面犬を睨みつけた。



『利子川様、申し訳ございませんでした』



 利子川の殺気に耐えられなくなったのか、すっかり萎縮した人面犬は利子川の前で顔面を地面に擦り付けながら謝罪した。


『俺の負けを認めますので、どうか命だけは勘弁してください……』


「それはつまり……あたし達の勝利って事だね!」


「やったー!1勝したっすー!!」


 玉葱を食べるかどうかで試合が随分と伸びたが、最終的に利子川が活躍した事により、ついに人間側が勝利を収めたのだった。


 2回戦目 利子川VS人面犬


 勝者・利子川

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