20話 七不思議異空間にて
「異次元……?」
「七不思議の噂が生み出した異次元だよ。これ以上被害者を出さない為に、この子の友達を助けてきて」
カゲリは真剣な表情で私達を見つめる。
(七不思議の噂が生み出した異次元……明らかに危ない所だ……)
だが、カゲリが倒れた人に寄り添い、私達を異次元に向かわせるという事は、異次元よりもこの倒れた人の方が遥かに危ない可能性がある。
倒れた人は白目を剥いたまま硬直している。このまま放置したら確実に危ないだろう。
「……分かった。私、あの襖の向こうに行ってくるね!」
「えっ!?夢居さん危ないよ!何かあったらどうするの!?此処は僕だけで行くから夢居さんは待ってて!!」
「シラちゃんありがとう。利子川くん、シラちゃんなら大丈夫だよ。その辺の人間より遥かに強いから」
「でも……!」
「利子川くん。今はこの子の為にも早く異次元に行ってあげて。シラちゃん」
「……分かりました。では、被害者を助け出したらすぐに戻ります!」
「うん、頑張って。私じゃ助ける事は出来ないから……」
どうやらカゲリでは被害者を救出する事は出来ないらしい。それなら代わりに私が頑張るしかない。
「カゲリさん行ってきます!利子川さん、行こ!」
「分かった!」
私と利子川は急いで襖を開け、向こう側に見える異次元へと飛び込んだのだった。
「すごく不気味……」
襖の向こうは、ボロボロになった校舎の中だった。
「何処に被害者の友達が居るんだろう……」
何となく嫌な気配が流れているのは分かるが、今の私には何処に誰が居るのか目星がつかない。
「……みんな屋上に居るよ」
「えっ!?利子川さん分かるの!?」
「うん。僕、人間が何処に居るのか感覚で分かるんだ」
「そんな特技があったんだ……」
死神を目指しているからこそ出来る技なのだろうか。
「でもこれならすぐに助けに行く事が出来るよ!凄いね!」
「話は後だよ!夢居さん、僕について来て!」
「分かった!」
私は紙手裏剣を構えながら、走り出した利子川の後を追った。
(カゲリさんの話からして、相手は恐らく七不思議の妖怪……人間の私に何とか出来るのかな……)
もし相手に敵わなかったとしても、せめて被害者だけでも救出して此処から脱出する。だが、屋上に一直線に向かえば出会う七不思議はごく一部だけだろう。
「私、先に行くね!」
「えっ!?ちょっと!?」
紅ン暴から教わった身体強化を駆使して利子川よりも素早く走り、1番先に屋上へと到着した。
「助けに来ました!」
私は扉を開けて屋上に乗り込んだ。
屋上には人間2名と、明らかに七不思議っぽい怪異7名が向かい合って立っていた。
「学校七不思議が一箇所に集まってる!?」
七不思議は普通、七不思議に関連する場所に居るのが普通ではないのだろうか。
「しかも七不思議と人間が対立してる……!?」
被害者の友人と思われる人間が、七不思議を前に戦闘体勢を取っていた。
「夢居さん足速いよ……ええっ何この状況!?」
後から来た利子川も驚いていた。まさか七不思議と被害者が面と向かって対立しているとは思わなかったのだろう。
「大変だよ利子川さん!人間が七不思議に……えーと、人間と七不思議が……あれ、これどうなってるんだろう……」
「そもそもこれは一体何をしてるんだろう……?」
私と利子川は困惑しながら前方で対立している人間と七不思議を見つめた。
「あの山彦が倒された……!あの子もアタシ程じゃないけど中々の実力者だってのに……!」
「雑音先輩……やっぱり此処に喧嘩売ったのは間違いだったんじゃ……」
「うるさいよ打縁!くそっ!まだ相手は7つもいるのに!」
派手なメイクをしたショートの女子と、これまた派手なメイクと派手な髪型の後輩っぽい女子が大声で会話している。
『アッハハハハ!』
七不思議側にいる小学生っぽい女の子は、ケラケラ笑いながら目の前の人間達を眺めている。
『無駄無駄!そもそもあんたみたいな奴らが「七不思議デスマッチ』に参加しようだなんて、それこそが大きな間違いだったのよ!』
「七不思議……デスマッチ?」
私と利子川は首を傾げた。




