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15話 学校登校日

 次の日の朝。目覚ましのアラームに起こされた私は、あくびをしながらベッドから起き上がった。


「……あっ、今日は通学の日だった」


 私は私服に手を伸ばしかけた所で学校の事を思い出すと、ハンガーに掛けていたセーラー服を手に取り、急いで着替えた。


「よし、次は……」


 私は勉強机の上に置いていた折り紙製の紙手裏剣を1つ手に取り、壁に向かって水平に飛ばした。


(風を操る感覚で……)


 飛ぶ紙手裏剣に風が吹くよう意識を向けると、風を纏った紙手裏剣がくるくると回ったまま宙で停止した。


「よし、いい感じ……」


 紙手裏剣は風を受けながら飛び続ける。私は更に風を操作して紙手裏剣を私の手元に移動させた。


(これを暇な時に常にやって、風を操る力を養う……)


 この紙手裏剣を飛ばす行為は、昨日カゲリに教えられた風操作の練習方法の1つだ。


 術を掛けやすい不思議な折り紙で紙飛行機や紙風船を折り、それを床に落とさないよう風を操って浮かべる。まるで魔法使いの修行みたいで凄く楽しいが、少しでも気を抜くと手裏剣はあっという間に床に落ちてしまう。


(落とさないように、常に風を意識して……)


 私は紙手裏剣を安定させると、部屋の扉を開けて慎重に台所へと移動した。


「シラちゃんおはよ」


「カゲリさんおはようございま……あっ」


 台所に立つカゲリに挨拶を返した所で、宙に浮いていた紙手裏剣が床にポトリと落ちてしまった。


「殺虫剤喰らったハエみたいに落ちたね」


「もう少し綺麗なものに例えてくれません?」


 私は床に落ちた紙手裏剣をそっと拾い上げた。


「シラちゃん朝から風操る練習してるのいいね。関心関心」


「ですが、少しでも意識が逸れるとあっという間に落ちてしまって……」


「最初は誰でもそうだよ。毎日練習すれば上手に動かせるようになるよ、がんばれ」


「頑張ります。さて、とりあえず朝食にしましょう。今日の朝食のリクエストはトーストにスクランブルエッグとベーコンでしたね」


「うん」


 私は気持ちを切り替えて早速調理を始めた。その間カゲリは、側で食器を用意したりトースターでトーストを焼いたりと、色々と私のサポートをしてくれた。


 その間も風を操作しようと試みたが、少し意識がブレる度に紙手裏剣は下へ落ちてしまった。



 やがて朝食が完成し、いつも通りに朝食を食べ始める。食事中は流石に風操作の練習はしない。


「……カゲリさん。これから行く暗がり学校って、本当に人間が行っても大丈夫なんですよね?」


「大丈夫大丈夫。昨日電話した時についでに聞いたけど、昔と比べて今の暗がり学校は物凄く治安良くなったってさ」


「良かった……あの、昔の暗がり学校ってどれくらい治安悪かったんですか?」


「視線が合ったり少しでもぶつかったりしたら殴り合いが始まる世界だったよ。負傷者は当たり前、弱いと生きてられない弱肉強食の世界だったよ」


「よくそれで学校として機能してましたね」


 昔よりはましになってるのであれば、とりあえずは命の心配をする必要は無いだろう。


「ごちそうさまでした。さて、支度を済ませたら一緒に学校に行きますか」


「はい」


 朝食を終え、身支度を整えた私はカゲリと一緒に家を出た。真っ暗で静かな通学路を2人で歩く。


「緊張する……」


「大丈夫大丈夫、もしいじめがあったらわたしが何とかするから」


「カゲリさん……」


「絶対にわたしに報告してね。間違っても相手をリンチしたら駄目だよ」


「何で私が勝つ事前提で話進めてるんですか?」


 そもそも私は生涯で一度も暴力を振るった事は無い。


「あっ、学校着いたよ」


 そんな事を話している内に目的地である暗がり学校に到着した。


 見た目は普通の学校で、それなりに大きくて綺麗だった。


「学校の建物、もっと汚いの想像してたでしょ」


「……………………流石にそんな失礼な事考えませんって」


「どうでもいいけど沈黙長いね」


 正直言うと、大きなお化け屋敷みたいなものを想像してた。

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