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10話 犯人の正体

「人体模型を動かし、児童にボールをぶつけ、あの石膏像を動かしていた全ての犯人は髭葉だ!」


「ええっ!?」


 私を抱えて走る紅ン暴から突然犯人を告げられ、思わず大声を上げて驚いてしまった。


「先程石膏像を掴んだ瞬間、奴から明らかに道具では無い、生きた人間の記憶が伝わってきた……」


「生きた人間の……記憶?もしかしてあの石膏像、中に人間が入ってたんですか?」



「そうだ。あの石膏像の中に、この学校の先生が入っていたんだ」



「えっ…………?」


 不審な石膏像だとは思っていたが、まさか先生が中に入っていたとは思わなかった。


「奴から読み込んだ記憶が正しければ、あれは石膏像の形をした着ぐるみ。髭葉が特注で作らせたものらしい……」


「な、なんでそんな事……」


「よく分からん。だが、髭葉は過去の不倫の話で先生を脅して石膏像の着ぐるみを着せ、そのまま他の先生を殴らせた。更に、見えない所からバスケットボールを飛ばして児童の顔にわざとぶつけたり、人体模型に簡単な細工をして腕が動くようにしていた。髭葉は作られた怪奇現象に怯える児童の様子を、陰で眺め嘲笑っていた……」


「酷い……」


 まさか怪奇現象で無く、全て人の手で行われていたとは思わなかった。とんでもない奴だ。


「ワシが碌に動けん真っ昼間にそんな仕掛けを施していたとは……くそっ!妙な噂ばかり流れてるにも関わらず、怪しい気が一切察知できなかったのは全て人力だったからか……!」


 そんな事を言っている間に紅ン暴は学校を出て体育倉庫に移動、紅ン暴は謎の力で倉庫の鍵を開けて倉庫内に入り込んだ。


「此処ならひとまず大丈夫だろう……」


 紅ン暴は私をそっと下ろし、少し離れた所にあった跳び箱の上に座り込んだ。


「……夢居、お前は髭葉を最初から疑っていたが……最初から髭葉が犯人だと分かっていたのか?」


「えっと……確かあの時、警備員の「未成年っぽい女の子が学校に向かっていくのを見たって通報があった」って発言が少し引っかかったんです」


「ああ、確かに最初にそんな事言ってたな」


「で、夜間に未成年の人を見かけたら真っ先に警察に通報しますよね?でもその人は警察じゃなくて、わざわざ学校の警備の人に通報したんです。これ、少し不自然ですよね?」


「……確かに、普通なら警察に通報した方が安心感がある。通報者が警備員と相当親密な関係だったらまだ可能性はあるかも知れんが……」


「そうです。そもそも私は、カゲリさんと一緒に異界から直接学校に来たんです。だから人に見られたとは考えられなくて……なので私はあの人が少し不審に見えてたんです。だからと言って、最初から彼本人が犯人だとは流石に思ってなかったですね……」


「成る程……」


 赤ん坊は私の考えに納得している様子だ。


「それにしても、何故髭葉はあんな真似を……悪戯にしては度が過ぎている……」


「愉快犯だね。彼は人が驚きうろたえる姿を見るのが何よりも大好きだったみたい。特に未成年が怖がる姿を見るのがね」


「あっ、カゲリさん!」


 紅ン暴と会話をしていると、どこからともなくカゲリが私達の前に姿を現した。


「あの人、学校中に監視カメラ設置して児童が怖がる様子を眺めたり、更に学校に肝試しで入って来る子にも悪戯を仕掛けようと、真夜中に学校に人が来るのをずっと待ってたみたい。相当やばいと思うよ」


「げっ……最低……」


 どうやら最初に校舎から感じた視線の正体は、髭葉が設置した監視カメラだったらしい。


(今回の相当、相当やばいやつだ……)


「さて、事件の犯人が分かった所で……そろそろ反撃といきますか」


「反撃?もしかしてあの警備員に何かするんですか?」


「あったりまえじゃん。そもそもそういう依頼で来たわけだしさ。わたしと紅ン暴さんであの警備員が2度と悪さしないよう、徹底的に追い詰めるんだよ」


 カゲリは宙に向かってシャドーボクシングをしている。


「カゲリさんと紅ン暴さんの2人で追い詰める、って……確か警備員は2人が見えてないんですよね?相手は見た目からして成人男性ですし、どう頑張っても私だけでは太刀打ち出来ないかと……そこはどうするんですか?」


「警備員に姿を見せる事も出来るし、相手を懲らしめる事も出来るよ。それにはシラちゃんの協力が何よりも必要なんだけどね……シラちゃん、協力してくれる?」


「…………やられっぱなしも癪ですし、勿論私も協力しますよ、私は具体的に何をすればいいんですか?」


「恐怖だ。底知れぬ恐怖を与えて場の主導権を握り、相手にワシらの能力がより通じやすくなるようにする」


「恐怖……」


「うん。相手が怖がればわたし達の力はもっと強くなるから。とりあえず警備員が此処に来るまでに、相手をどんな風に脅かすかを3人で考えよっか」


「分かりました」


「そうだな……そう言えば髭葉は昔、ワシの噂を確かめる為に学校に忍び込んだ事があってな……」


「それ使えそうだね」


 私達3人は体育倉庫の中で輪になって座り、とにかく案を出し合った。


 途中、カゲリが警備員をわざと校内に迷わせて時間を伸ばしてくれたお陰で、演技の練習する時間までしっかり取れた。

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