↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おいでませ神様のつくるミニチュア空間へ~息吹戸瑠璃が遺したもの~  作者: 森羅秋
第一章 馴染むところから始めます
40/461

第40話 異能にまつわる談話

 津賀留《つがる》は不安そうに息吹戸《いぶきど》を見つめたあと、人物像を説明するため間を開けた。


 第一印象は大事だ。

 しかし、良いように説明しようと考えても、悪口のような感想を抱く。


 優秀なのは間違いないが、性格が少々難あり。

 そして息吹戸《いぶきど》と大変仲が悪かった。


 とはいえ、決定したことなのでこのまま黙っているわけにもいかず、津賀留《つがる》は覚悟を決める。


「東護龍弥《とうごとうや》さんです。討伐対策部の第一課のエースで……その、強い人です」


 反応怖くて言葉を濁すと、息吹戸《いぶきど》が「東護龍弥《とうごとうや》さん?」と復唱した。


 誰だっけと言わんばかりに頭に疑問符を浮かべて腕を組む。


 それをみた津賀留《つがる》は、眉間に手を当てて呻いた。


「お忘れですか?」


 良いような悪いような判断ができない、という気持ちが含まれているのを感じて、息吹戸《いぶきど》は苦笑いを浮かべて頷いた。


「うん。誰?」


 これはマズイと津賀留《つがる》が声を大にする。


「東護《とうご》さんは一課の職員でかなり目立つ方です。兎に角イケメンで顔だけはいいので女性にとても人気です。でもこう言っては身も蓋もないですが、性格がちょっと難ありでして、女性に対しては少ないんですがその、気に入らない人によく手をあげるというか。ええと」


 勢いついて悪口になってしまったと気づき、津賀留《つがる》は表現を変えた。


「自分にも他人にも厳しい方です。自分と同じレベルでないと許せないというか。意見の相違を認めないというか……」


「津賀留《つがる》ちゃんは虐められてるの?」


「いいえ滅相もない! 寧ろ守られています。申し訳ないくらいに!」


 津賀留《つがる》が歯切れの悪さを前面に出したので、心配になり尋ねると、慌てて否定された。


 それならいいけど、と息吹戸《いぶきど》が呟く。


「私ではなく、息吹戸《いぶきど》さんへの風当たりが吹雪の暴風です!? いえ、お互いが嫌い合っているのでどっもどっちで……はっ!?」


 言い過ぎたと、津賀留《つがる》はパッと口を手で押さえた。


 叩かれることを身構えたが、


「そーなの? 分かった」


 息吹戸《いぶきど》はなにもしてこない。


 そればかりかあっさりと頷かれてしまったので、津賀留《つがる》は返答に困った。


(津賀留《つがる》の様子から推測するに、いざこざや衝突する程度はありそうだな)


 無視すると決めたところで、津賀留《つがる》がゆっくりと手を下ろした。


 他に何あるかと聞くと、

 

「ええと。それで……東護《とうご》さんは和魂《にぎみだま》を扱います。最も得意なのは水神の力と聞いています」


 和魂《にぎみだま》についての説明出てきた。


「なんと!?」


 息吹戸《いぶきど》はヲタ心をくすぐられ気持ち前のめりになる。


 津賀留《つがる》は吃驚して背中をそらせた。


 一般常識にこれほどまで興味を向けられるとは、予想外であった。


「水神ってことは、神霊《しんれい》を扱える人ってことか! 凄いねこの世界! 能力も神聖な感じがする!」


 神の子孫なので『神の御魂《みたま》・神の能力』を使えるとのだと瞬時に理解する。


「なら、荒魂《あらみたま》を扱える人もいるってことだね」


「あ、はい。玉谷《たまや》部長が荒魂《あらみたま》と和魂《にぎみたま》の両方と神獣を扱える方です」


「わぁ。魔術系召喚士みたい。部長かっこいいね!」


 若い頃はさぞかし活躍したんだろうなぁと想像して頬を染めると、津賀留《つがる》は「?」と首を傾げた。


「ええと。そう、ですね。荒魂《あらみたま》と和魂《にぎみたま》は両方使える方もいれば、どっちかに特出してたりと様々ですが。カミナシ所属の方、八割強は備わっている一般的な能力です」


「式神とかも使える人いる?」


「呪具《じゅぐ》を専門に扱う方ですね。勿論いらっしゃいますよ」


「そっかー。式神は呪具《じゅぐ》扱いになるんだ」


「式神は創られた生命体です。それを何代も使役されていたり、その都度作りだしたりと様々です。神獣を模して式神にしている方もいるそうですよ」


「神獣ってどんな生き物?」


「菩総日《ぼそうにち》神様から承った神聖な獣です。私はそのあたりは詳しくありませんので、オフィスに置かれている本を読むことをお勧めします。お時間があるときに目を通してみて下さい」


「うん、わかった」


 息吹戸《いぶきど》はお茶を飲み、はぁっとため息を吐く。

 端的に聞いてみても、覚える事は沢山在りそうだ。


(でもまぁ、ヲタ心刺さりまくって凄く楽しい)


 津賀留《つがる》はお弁当を食べ終え、お茶をゆっくり飲みはじめた。


 息吹戸《いぶきど》が「片づけていい?」と空の弁当箱を示す。

 津賀留《つがる》は頷きながら、一緒の袋に入れて口を縛った。


「あ。そうだ。私はどんな能力使ってたの?」


「息吹戸《いぶきど》さんは、主に和魂《にぎみたま》でしょうか。別属性を同時に何体も出現させていました」


「よくある使い方なの?」


 津賀留《つがる》は慌てたように首を左右に振る。


「とんでもない!? 同時に出現させるなんてよほどのキャパシティと精神力がなければ扱えません! そして無理をする分、寿命も縮みます」


「寿命ねぇ。そんなことよりも任務達成を選ぶタイプなんだ」


「そんなことって!? あ。いえ。その通りだと思います。無計画で動くことありませんが、いざ行動を起こすと敵を倒すことを第一に考えていたようですから」

  

(なんか。そこら辺のこだわりちょっとだけ似てる。私もミッション成功させるためなら無茶しちゃうし)


 初めて親近感が湧いた瞬間だった。

 

「ありがと。じゃぁ最後に。津賀留《つがる》ちゃんはどんな力があるの?」


 津賀留《つがる》は「ええと、私は……」と少し言い淀んでから、首を左右に振った。


「私は、戦闘に不向きな力です。能力は『底力』です」


 聞き慣れない言葉に息吹戸《いぶきど》が首を傾げると、津賀留《つがる》は少し恥ずかしそうに視線をそらした。


「平たくいえば、仲間の身体的能力及び潜在能力を、二倍から三倍に飛躍させる力です」


 津賀留《つがる》は仲間と認識している者たちの潜在能力を、ノーリスクで大幅に上昇することが出来る。


 彼女が意識している間は効力が続き、更に、疲労蓄積も少ないという。


「え! すごいじゃん! 傍に居るだけでパワーアップするってことだよね!」


 目を輝かせて褒める息吹戸《いぶきど》に、津賀留《つがる》は何とも言えない表情を浮かべた。


読んで頂き有難うございました。

更新は日曜日と水曜日の週二回です。

面白いなと思いましたら、また読みに来てください。

お話が気に入りましたら、何かで反応して頂けると創作の励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。