途中のヒトゴロシ
お母さん「そろそろ続きを教えてもいい頃ね、あなたも大きくなったもの」
少年「続き?なんのこと?」
お母さん「あなたが昔お祖母ちゃんに聞いてた話の続きのことよ」
少年「おばあちゃんは続きは無いって言ってたし、それに…
おばあちゃんは死んじゃったのに
どうしてお母さんは知ってるの?」
お母さん「あのね、私はおばあちゃんに聞いていたのよ…
話し方は人によるから、少し変わってしまっても許してね
それじゃあ、私の話をよく聞いて…」
◇◇◇
まずはじめに、王女様…ルーンは、盗賊の少年…ゼナを従者にしたらしいわ。
それはもう、とても仲が良かったそうよ。
本当の友人ようだったらしいわ。
だけど、そんな生活は長くは続かなかったの…
◇◇◇
ゼナ「ルーン様は?」
侍女「良くはなっていません」
ゼナ「僕…僕がちゃんと守れなかったから…」
侍女「そんなことはありません、ゼナ様は良くやってくださいました」
ナグナ「そうかな?僕は君がレルナーンを抜けたせいだと思うけど?」
音も気配もなく現れた青年は突然そういうとナイフをゼナに向かって振る。
ゼナ「っく…ナグナ…」
ナグナ「平和ボケして腕が鈍ったんじゃない?」
ゼナ「そんなわけない、鍛錬はしてる」
ナグナ「じゃあ、感が鈍ったのかな?」
そうつぶやく…いつの間にかゼナの後ろに移動しまたナイフを振る
ゼナはギリギリで防ぐ…
ナグナ「あーあ…前は君、これぐらい余裕で防げたのになぁ…」
ゼナ「ッ…確かに、僕は弱くなったかもしれない…だけど…」
ゼナはニコリと笑うと走り出す
◇◇◇
ルーン「あら、お客様が来たみたいね…」
ザルリオン「なんだよ、ゼナはこういう女が好みなのか?」
ルーン「ザルリオン、貴方を待っていたわ」
ザルリオン「?…待ってたってどういうことだよ?」
ルーン?「あれ?気づかないの?」
ルーンは来ていた服を投げつけナイフをザルリオンの心臓に突き刺すと笑う
ザルリオン「……!…まさか、ゼナ!?」
ゼナ「そうだよ?君と僕、結構長い付き合いだったと思うんだけどなー?」
ザルリオン「だ、ますなん…ひ…きょ…」
ゼナ「卑怯だって?あは、君らがそういうのか…面白い冗談だよね」
ザルリオンの瞳から命の光が消え、ゼナは部屋を魔法を使い片付けると
顔を伏せつぶやく
ゼナ「ああ、また人を殺しちゃった…」
◇◇◇
ゼナの格好をしたルーンは自分の部屋に向かって走る
ゼナ?「ふふ、僕が簡単に捕まるわけ無いじゃん、逃げ切ってあげるよ」
ナグナ「お前、足も遅くなったか?」
ゼナの格好をしたルーンは部屋につくと思いっきり扉を開けた
ルーン「早く敵を殺して」
ゼナ「承知いたしました」
ゼナは一瞬でナグナを切り去り、ルーンに言う
ゼナ「お怪我はございませんか?」
ルーン「怪我はしてないわ、あなたの稽古のおかげよ」
それを聞きゼナはふわり笑い、言った
ゼナ「それは良かったよ」
ルーン「レルナーンのメンバーの話をゼナに聞いておいてよかったわ…
とても役に立ったのよ」
ゼナ「僕の演技に役立てたの?まぁ、使いどころがあってよかった」
ルーン「ええ、あなたにはとても助けられてるわ」
セナ「………そ…かぁ…よかったね…」
ゼナは歪んだ笑みを顔に載せると苦しげに言った
それを見たルーンは戸惑いを隠せずに思わず
ルーン「どうしたの?」
ゼナ「あのね…また人を殺しちゃったんだ悪い人なのかもしれないけど…」
辛そうに言うゼナを見てまた、ルーンは後悔する…
私だって殺しました。
生きるためでした。
襲われて、私を殺そうとしたお姉様たちの刺客でした。
だから、罪悪感なんてものは一欠片も感じることができませんでした。
ゼナは自分を殺そうとした人たちを殺したことにも罪悪感を思ってるのですね。
ねぇ、私っておかしいですか?
あなたは優しすぎます。
もっと自分を大事にしてください。
私は、ゼナの優しさが好きです。
でも、自分をないがしろにして他人を優しくするのはやめてください。
大好きな、ゼナへ
ひとを、殺したことを、伝えられなかったこと…
それは、ずっとルーンの中にあったから
ルーン「私はあなたのおかげで助かったのだから気にやまないでね」
ゼナ「そういうこと言ってくれてありがとう、ルーン」
◇◇◇
お母さん「さ、そろそろ寝ましょうね」
少年「えー続き気になるよぉ」
お母さん「もう遅いから…おやすみなさい…」
少年「はーい…また聞かせてね…」
お母さん「いいわよ、また次の機会にでも話してあげるわ」