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始まりと出会い


混沌の中にあった物

だけども誰も見つけれはしない

混沌の中にあった話だったもの

けれども今は誰も知りはしない

そんな話を伝えるために私は話すだろう

そう

これはただ

あったかもしれない昔話


◇◇◇


こども「おばあちゃん!おはなしきかせてよ!まえはなしてくれたやつもういっかい!」


おばあちゃん「聞きたいのならば、話してあげる、だけど自分の子供、孫以外に話さないようにしなさい、用心なさい、どこで誰が聞いているかわからないのだから…」


こども「やった!ぜったいないしょにするね!」


おばあちゃん「ええ、話さないで?外にもれないように、秘密を秘密のままにするために…」


こども「はやく!」


おばあちゃん「そうね、昔々の話よ…おばあちゃんも生まれていないような昔…」


◇◇◇


あるところに、レルナーンという名前の組織がありました。

その組織は、とても悪いことを繰り返していました。

どんな悪いことをしたか?

それも後で話してあげましょう…

でもこれは、レルナーンが悪い組織でなくなるために犠牲にした、少年と少女の話ですから…

そう、レルナーンには一人の少年がいました。

その少年は、レルナーンで育ったと思えないほど、まともでした。

それはレルナーンでは、異常と言えることでした。

だから少年は、レルナーンに馴染むために、まともじゃないふりをしていたのでした…


◇◇◇


酒場でガヤガヤと騒ぐ荒くれ者たち…

だが場違いなほど細身の少年がカウンターに座っていた…


ザルリオン「おう!どうしたんだ、ゼナ、しけた顔して!」


ゼナ「ごめんね?僕はこの顔が普通の顔なんだよ、しけた顔してて悪かったね、ザルリオン」


ゼナは皮肉げにそう返したが、何時も通りではあるからか、ザルリオンが気にした様子はなかった。


ザルリオン「そうかっかすんなよ、いい情報持ってきたんだぞ?」


ゼナ「良い情報?…」


ゼナはその言葉に疑う表情をする。


ザルリオン「そんなに疑うような顔すんなよ〜」


ゼナ「はぁ、計四十回…言った情報が良い情報だったことなんて、一度もなかったけど?」


ザルリオン「今度こそほんとだぞ!なんと女の情報だ!」


ゼナは女の情報と聞くと、目の色を変える。


ゼナ「じゃあ聞いてあげる、いい情報だったら報酬を上げる、良くなくても10リーン、どう?」


(リーンとは、この世界の通貨で、1リーン約百円ぐらいの価値)


ザルリオン「それなら話すぜ!」


ザルリオンはそういうと、小声で話し始めた…


ザルリオン「実はな、この近くに美女が来てるらしいんだ、お前と同じで、15歳らしい、だからどうかと思ったんだが、どうだ?」


ゼナ「わかった、20リーンね」


ザルリオン「ちっ、しけてんなぁ」


ゼナ「妥当じゃない?最近は不景気だしね」


ゼナはぶっきらぼうに言いつつもゼナはすでに別のことを考えていた。

どうしたらその少女が危険な目に合わないかと考えていたのだった…


◇◇◇

ルーンの馬車


ルーンはゼナ達が話していた第十六王女であったが彼女は微妙な立ち位置だ。

王女にしては立ち位置が低く、また、王位継承権がぎりぎりあるので狙われている。

今のルーンは王女だから護衛は連れているが、レルナーンの縄張りを通るにしては少なすぎた。

ルーンは侍女に向かって呟く…


ルーン「はぁ……やはり私はレルナーンに攫われるためにここに来たのですね…」


侍女「いえ、違います…………と言えないのが悲しいですね…」


侍女は辛そうな表情で俯くと言う。


ルーン「巻き込んでしまってごめんなさい」


ルーンは申し訳なさそうな顔をしていた。


侍女「そんなことないです、ルーン王女は素敵な人ですから、一緒に居れて嬉しいです」


侍女は泣きそうな表情で笑いながら言うのだった。

だが馬車に何かがあたった…薄汚れた服を着た少年…ゼナである。


ルーン「なんでしょう?見てきて頂戴」


ゼナはものすごいスピードで護衛の人たちの隙間を縫うように進む…

ゼナは馬車の中に乗る高貴そうな雰囲気の少女…ルーンを見つけると歌うように言う。


「レルナーンに見つからない道を教えてあげよう…まず最初、笛の音が鳴る方に行けばいい…その後進むは琴の音色…間違えるな、琴の音色だ、音は少しすれば消えていく、そうしたら月を見たあと反対側へ行けばいい、そしたら道が見えてくる、その道を振り返らずに行かなければならない、なぜなら振り返ると妖精が連れ去ってしまうから、お姫さま、死にたくないなら従いな、今日だけの秘密にしとけ?」


そんな歌のようなセリフのような、よくわからない物を、ゼナはルーンにだけ聞こえる声で歌った。

ゼナはそれだけ言うもルーンにニヤリと笑いかけ、すぐに馬車から離れて行った。

ルーンはハッとした表情をすると、窓から顔を出して指示を出す。


ルーン「!……馬車を笛の音が鳴る方にいかせてちょうだい!」


御者「わ、わかりました!」


ルーンは耳を澄ませ、琴の音を探した。

聞き取るとすぐさま顔を上げ、指示を出す。


ルーン「次はあっちよ!」


御者「はい!」


琴の音が聞こえなくなり、ルーンはもう一度指示を出す。


ルーン「みんな、月を見て頂戴!」


皆「はい」


ルーン「道があるわ、進ませて…あと、後ろを見てはだめよ?」


皆「わ、わかりました…」


馬車を進ませると目的地へ着く。

ルーンは用事を済ませると、停めてもらえることなり、ルーンが用意された部屋で寛いでいると窓に何かが当たる音がする。

ルーンが窓を見るとさっき秘密の道を教えてくれた少年…ゼナがいた。

感謝を伝えようとルーンが窓を開けるとゼナはポツリと呟いた。


ゼナ「あのさ、変な形で伝えてごめんね。十六番目の王女サマは賢いって聞いたから大丈夫かなって思って…」


ゼナはしょぼんとした表情で幼い少年らしく言う。

ルーンはその普通の少年のような言動に違和感を覚えつつも言った。


ルーン「あなたの行動に感謝こそすれ、わかりにくいことに文句なんて言わないわ」


ゼナ「ほんと?良かったぁ…」


まるで花をちらしているように見えるぐらいほのぼのとした雰囲気のゼナは、ルーンの緊張を解した。

ゼナはそうだ!と言わんばかりの表情をすると…


ゼナ「自己紹介しない?」


ルーン「ええ…いいわよ…?」


ゼナ「ほんと?やった!僕の名前はゼナ!王女サマの名前は?」


ルーン「私はルーンフェラよ長いからルーンって呼んでくれるかしら」


ゼナ「うん!ルーン、よろしくね!」


ルーン「あなたはなんで私を助けてくれたの?」


ゼナ「それは…」


ルーンは報酬をもらうためだと、そう言うのだと思っていた。

けれど予想に反しゼナはニコリと笑い。


ゼナ「僕は生みの親が居なくてさ…レルナーンの拠点の前に落ちてたんだって、でも多分僕の親はレルナーンに殺されたんだろうなって思う」


言いながらゼナはだんだん暗い表情になっていく、ルーンが聞かなければと後悔し始めるとゼナはやっぱり気の抜けるような笑顔で言う。


ゼナ「だから…苦しむ人が減ればいいなって思ったんだよ」


ルーンは自分の醜さに顔をしかめそうになった、やはり自分は優しくなとなれないのだと…


ゼナ「どうしたの?」


ルーンは自分のことを心配そうに見つめるゼナを見やり、言う。


ルーン「ねぇ、私の従者にならない?」


戦闘力が高いのなら私の護衛になるし、優しさに漬け込み、自分に情をを持たせればまた助けてくれるかもなど思う…

ルーンはやはり自分は醜いのだと思うが、自分はこういう人間なのだと割り切る。


ゼナ「………それ…本気で言ってるの?」


ルーン「そうよ?それがどうかしたの?」


ゼナ「僕はレルナーン出身だよ?乱暴してくるかもとか思わない?」


ルーン「助けてくれた人にそんな疑いはかけられないもの」


ゼナ「そっかぁ…ありがとう、なら少しだけ護衛をしてあげる」


ルーン「ありがとう、あなたみたいに腕の立つ人がいれば心強いわ」


ゼナ「よろしくね!」


ルーン「ええ、よろしく」


◇◇◇


おばあちゃん「もう遅いし、寝なさい…また明日聞かせてあげよう」


こども「おばあちゃん、まだねむくないよ…ZZZzzz」


おばあちゃん「今日はお休み…また次話すときがあれば話してあげる」


こども「すー…すー…」


また会いましょう?


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