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6話 二度目の別れ


ーーーー三年前ーーーー



〜アメリカ カリフォルニア州 アレックスの家〜



あー疲れた。今日もあいつらにつれまわされて最悪だったな。


よし夜はゆっくりみんなとゲームでもやるか。


ゲーム機を起動させてオンラインのフレンドを確認する。


あれ? 今日はミカエラがオンラインじゃない。


あっそうだ家族とライブに行くとか言ってたな。今頃楽しんでるんだろうな〜


じゃあ一人でやるか。



一時間ぐらいたっただろうか。もう眠くなって来た。


そう思っていると俺の携帯が鳴った。


突然の夜遅くの電話に驚きつつ番号を確認して出る。


「もしもしどうしたの? こんな時間に」


「ミカエラが………………ミカエラが事故にあった」


「は? 今なんて? 悪い冗談はやめろよ」


「嘘じゃない! 今から言う病院にすぐ来い!」


「分かった。急いでいく」


ミカエラがいる病院を聞いた俺は急いで家を飛び出し、家の前でタクシーを呼び止めて飛び乗った。


どうか大したことない事故でありますように。俺は何度もそう祈った。



〜アメリカ カリフォルニア州のとある病院〜



「ミカエラ!」


俺は叫びながら病室のドアを開ける。


そこには俺の知った顔がみんないた。みんなが泣いている。


こんなの信じられない。ミカエラが事故にあったなんて。


ドッキリか何かだと言ってくれ!


俺は走ってミカエラが寝ているベッドに近寄ろうとする。


「アレックスまて! 少し落ち着け!」


そう言って俺を止める友達。


「はなせ!」


そう言って友達の腕を振りほどきベッドの横に行って顔を見る。そこには傷だらけで目を瞑ったミカエラがいた。


「ミカエラ!!」


今まで目を閉じていたミカエラは俺の声を聞いて目を開ける。


ミカエラと目があった。ミカエラは俺の顔を見て笑顔になった。


それを見て俺は少し安心する。そしてミカエラは幸せそうな顔しながら目を閉じた。



その直後ピーという音が病室に響く。



それはミカエラが息を引きとった事を示していた。


そんな……………………


急な事で俺は何も理解できなかった。



ただミカエラの幸せそうな笑顔だけが脳に焼きついていた。



ーーーー最終日ーーーー



今日が最終日か。そろそろ起きなきゃ。


あれ? 体が重いな。


どうしよう起きられない。それに声も出せない。


ああ、もう時間切れが近いのか。


一週間ってアバウトすぎて一週間後のいつか考えてなかったな。


ああ、私はまた何も言えずに死んじゃうのか。


はぁ、なんでこんなに運悪いかな。


ーーーーーーー


はあ、なんか嫌な夢見ちゃったな。俺は体を起こしながらそう思う。


あっまた泣いてたのか俺。自分の頬が濡れてる事に気づきまたため息を吐く。



今日が最終日か…………



ドン! ドン! ドン!


部屋のドアを突然強く叩かれた。


「はっはい! どちら様ですか?」


「ミカエラの体調が急変した!」


扉の向こうから焦りながら叫ぶ声はエリザさんだ。


「今すぐ行きます!」


そう言って俺は急いで着替える。


途中俺はふと三年前の出来事をの事を考えてしまった。


また同じ事になってしまうんじゃないかという不安に押し潰されそうになる。


いや、落ち着け。落ち着くんだ俺。


紳士スキル発動!


よし、少し落ち着いた。


急いでミカエラの部屋に行こう。


「よし、急いでミカエラのところに行こう!」


ーーーーミカエラの部屋ーーーー


エリザさんと一緒に部屋の扉を物凄い勢いで開ける。


そこには目を瞑ったミカエラがいた。


どうやら息はあっても反応がないらしい。


何はともあれ俺は直ぐにヒールを使おうと思う。


今俺が出来ることをしよう。


そう心に決めた。


『ヒール! ヒール! ヒール!』


ーーーーーーーーーーーーーーーー


ん? 何か体がほんの少し楽になったな。


今なら目が開けられそう。


今周りがどうなってるのか確認しないとね。


もしかしたらまた女神様達に会えるのかな。


目を開くとそこはまだ私の部屋だった。


私の目の前にはアレックス、エリザ、ラウラの三人がいる。あっイルジートさん達も入って来た。ヴァルキリー隊のみんなも。


私一人のために色んな人が来てくれるなんて嬉しいな。


でもみんなが何て言ってるのか聞こえないな。


今使えるのは目だけなのか………


あれ、まずいな唯一使える目も涙で霞んで見えなくなって来ちゃった。


こんな状態でも涙はでるんだね。


あ、だんだん目を開くのも疲れたきた。


最後にアレックスに大好きって言いたいのに。



ん…………アレックスが突然何故か私にキスをしてきた。


『ヒール! ヒール! ヒール! ヒール!』


あ、アレックスの声が聞こえるようになった。みんなの声も。体が自由に動く!


アレックスの顔が離れていく。


私は今すぐ自分の気持ちを伝えなきゃいけないという気持ちになる。


「アレックス! 聞いて、私はあなたの事が大好き。あなたと会えなくなって六年もたった今でも愛してるの!」


私は泣きたいのを我慢しながら伝える。


「ミカエラ、俺も愛してる」


アレックスの顔は


「そう。その言葉が聞けただけで本当によかった。前の時は何も言わずに死んじゃったからさ」


私は嬉しさと安堵から体に入った力が抜けていく。


「それは俺も一緒だ」


ああ、体が動かなくなっていく。やっぱり助かったわけじゃないんだね。もうこれで本当に最後なんだ…………


違う世界でもう一回会えただけでも幸せだよね。それで我慢しなくちゃ。


「そうだね。ありがとうアレックス。この一週間は私の人生で一番最高の瞬間だったよ」


そう言ってアレックスに抱きつく。


あっまた泣きそう。でももう体が重くなって来た。


足の感覚が無くなっていく。


ああ、でも幸せ。


愛する人の腕に抱かれて死ねるなんて。もう死んでもいいかな。


そう思うと急にアレックスの腕を強く握って離したくなくなる。


もう死んでも良いくらい幸せだと思った人だけが、本気で死にたくないって思うんだね。




そんな事を思いながら私の意識は愛する人の腕の中で暗転した。



読んでいただきありがとうございます。次回の投稿は明日の18時頃を予定しています!

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