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劇的! ビフォー・アフター!

 倒れてしまったルナシー王女殿下を助けるために、聖女シーラ・イーストンを運ぶ。

 この任務には、いくつかの課題がある。

 1つ、聖女シーラ・イーストンは、イーストン王国の王女である。簡単に他国へ移動できない立場だ。

 2つ、イーストン王国は魔族の襲撃を受けたばかりで、聖女は今、非常に多忙である。魔族に率いられていた魔物の生き残りが、レッド王国にも流れ込んでいると言えば、イーストン王国が受けた被害の大きさが分かるだろう。全国を飛び回って治療兼慰問に忙しい聖女を連れ出すのは難しい。

 3つ、その魔物が道中にいくらでも出る。だがレッド王国は護衛部隊を出さない。俺のスキルでは、そのほうが早いからだ。背負って空を飛ぶ。これが最短距離を最速で移動する方法だ。

 ちなみに、最短距離といっても、おおむね道なりを飛ぶ。正確な地図がなくて、方角が定まらないからだ。これは地図を作る技術がまだ未熟なのもあるが、戦略的な意味のほうが大きい。地形情報というのは戦略や戦術を考える上で重要なものだ。地の利という言葉もある通り、地形を知っているだけで有利になる。だから他国に知られるのは防ぎたい。なので、広範囲の地図や、高精度の地図は、一般には存在しないのだ。同じ理由で、王城やGHQでは、かなり高精度なものを用意しているだろう。一般に手に入る地図というのは、まるで手書きのメモみたいな「どの道をどっちへ進めば、何という街がある」という程度のものだ。

 4つめ、時間が限られている。ルナシー王女殿下の症状は昏倒。他に異常はないが、意識がない。となれば、点滴も存在しないこの世界では、1週間もすれば命が危なくなる。水分を摂取できないからだ。いよいよとなれば救急車を召喚して点滴をやってしまおうと思っているが、うまく血管に針が入るか分からず、滴下速度はどのぐらいが適切なのか知らないという不安材料が残る。







 こんな状況だが、スキルの訓練は続けている。移動しながら飛行スキルと車輌召喚スキルのオン・オフを繰り返しているのだ。1秒間に5回オン・オフを繰り返していれば、SLV1から始めても25時間でSLV10に到達する。実際にはすでに途中までスキルレベルが上がっていたのもあって、国境を越えてイーストン王国に入る頃には、両方のスキルがSLV10になった。

 どうも実際には25時間どころか、1時間ぐらいしか掛かっていないようだが……秒間使用回数が劇的に増えているようだ。認識速度とか時間分解能とかが加速されるスキル効果があるらしい。思い当たるのは走行スキルぐらいか。移動速度が増加するのと同時に、それに対応できるように認識速度も上げてくれたのだろうか。そういえば走行スキルが目覚めてからも、速すぎて反応できずに転ぶなんて事はないし、たぶんそういう事だろう。

 余談に余談を重ねてしまうが、飛行スキルはSLV×10km/hで、そこに走行スキルが加わって100倍になるのだが、せいぜい300km/hぐらいまでしか出さない。風圧がすごい事になるからだ。ヘルメットがほしい。呼吸がしづらい。

 ともかくスキルがカンストしたので、新たに「移動」と「自動運転」というスキルが目覚めた。

 移動スキルは飛行スキルの上位互換だ。移動速度は10倍で、召還車輌に対しても効果を発揮する。そして最大の特徴は、重力や慣性や空気抵抗などを無視して移動できることだ。急加速や急旋回などによるGを受けず、横向きや逆さまになっても重力の影響を受けないで自由に動ける。

 蹴りを攻撃手段とする俺にとって、これは非常にありがたい。カポエラ的な動きも可能になるという事だ。俺は180度開脚みたいな事はできないし、逆立ちも得意じゃないので、横向きや逆さまでも自由に動けるスキルというのは攻撃の自由度や、対応できる範囲が拡大する。

 そして自動運転スキル……俺は、やるべき事を即座に理解した。というより「これができればいいのに」と思っていた事がある。


「車輌召喚。」


 まず装甲車を2台召喚して、自動運転スキルを試してみる。その結果、俺の期待通りの効果が確認できた。

 自動運転スキルは、車輌召喚スキルで召喚した車輌の自動運転ができる。これで複数の車輌を同時に操縦することも可能になり、さらに輸送能力が向上した。それだけでなく、特殊車両の装備も自動運転スキルで自動的に動くようになった。装甲車に装備された機銃なんて使い方が分からないのに、「撃て」と思った瞬間に狙った通りの場所へきちんと命中する。そればかりか、魔物を討伐しようと思えば装甲車が勝手に動いて勝手に戦う。つまり、医療知識がなくても救急車を召喚すれば勝手に患者を治療してくれるし、消防車を召喚すれば勝手に消火活動をしてくれるという事だ。

 俺は、救急車と装甲車を大量に召喚した。救急車は患者の治療へ、装甲車は魔物の討伐へ、100台からの車輌がそれぞれ勝手に動いていく。車輌がはけて場所ができたら、追加で召喚していく。

 車輌召喚スキルはSLV×100kmの移動で解除されるから、1000kmまでは活動できる。召喚した地点から半径1000kmの範囲に救急車が次々と駆けつけ、搭載されているストレッチャーが飛び出して患者を運んでいく。そして救急車の中に運ばれた患者は、様々な医療資機材によって自動的に治療され、ストレッチャーで車外へ運び出される。ストレッチャーはそのまま次の患者を車内へ運ぶ。

 救急車が移動しなければ、ストレッチャーがいくら移動しても「SLV×100km」の制限にかからない。装甲車が銃撃しても銃弾の移動はスキルの制限にかからないのと同じだ。だから医療資機材が底を突くまでは、いくらでも救急活動ができる。救急車に搭載された医療資機材は元々そんなに多くないが、過積載スキルで100倍になっているから、ほとんど病院みたいに機能する。装甲車の弾薬も同様だ。

 患者や魔物がどれぐらい居るのか分からず、必要数が分からないので、俺は車輌召喚スキルを繰り返し使って、救急車と装甲車をドバドバ出し続けた。ついでに移動スキルも鍛えるべく、1cm浮いてオン・オフを繰り返す。

 車輌召喚スキルを使うのに忙しくて、移動スキルの使用回数はあまり多くない。鍛えるのに時間がかかりそうだ。







 夕方まで続けて、腹が減ったので無限収納から食糧を取り出して頬張る。それからキャンピングカーを召喚して、シャワーを浴び、ふかふかのベッドでゆっくり眠った。車輌召喚スキルがなければ、マントを兼ねた防寒布にくるまって野宿するところだった。

 翌朝、再び救急車と装甲車を召喚しながら、1cm浮いて移動スキルを鍛えていると、昼頃になって兵士の一団がやってきた。


==========

ジャックのスキルまとめ


グレード1

「歩行」SLV×10kmまで疲れずに歩ける


グレード2

「走行」移動速度がSLV×10倍になる。(隠し効果:認識速度向上)

「荷車召喚」人力荷車を召喚する。最大積載量:SLV×10kg


グレード3

「飛行」空を飛べる。最高速度:SLV×10km 自分のみ有効

「過積載」召喚車輌の最大積載量を増やす。SLV×10倍

「補助動力」パワーアシスト。SLV×10%


グレード4

「移動」SLV4 最高速度SLV×100km/h 重力・慣性・空気抵抗などを無視する 召喚車輌にも有効 (隠し効果:認識速度向上)

「無限収納」LV- 異空間にアイテムを無限に収納できる。収納アイテムは時間停止。生きている動物は収納不可。

「車輌召喚」自動車を召喚する。航続距離:SLV×100km 車種は任意指定 最高速度100km/h(全車種)


グレード5

「???」このスキルは「移動」SLV10が必要

「???」このスキルはグレード4のスキル全てを最大レベルしなければならない

「自動運転」LV- 召喚車輌を自動で動かせる。特殊車両の装備も自動で動く。

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