ケラケラ名探偵同好会
「同好会申請書出してきて。」
月曜の朝、エレンのやつがいきなり一枚の紙を渡してきた。僕らの学校では3名あつまると同好会活動ができる。同好会については顧問も必要ない。翌年度までに成果があれば部に昇格し、予算ももらえる。
「ケラケラ名探偵同好会?メンバーはヘレナ、ゼロ、メアリの3名。幽霊部員じゃないか実名照合するぞ。アシタカエレン、アスカレイ、ミズタマリ。活動内容は、ケラケラ名探し。おい、ふざけるのは名前だけにしろ。」
ハブが怒るのももっともだ。初めて聞いたら、わけがわからないだろう。しかし、そのふざけた名前だから同好会申請しているんだが。
「ともかく、もっと具体的に活動内容を書いてくれないと。」
そのとき、生徒会室の戸が開いて
「教頭から文化祭の各クラブの出し物とメンバー表を早急に出すようにと催促されました。」
役員の一人があわてたように駆け込んできた。
「まずい。」
ハブはそう漏らすと、あわてて口を手で押さえた。
「何か、困ったことがあるなら、選挙戦で戦ったよしみだ、手を貸すぞ。」
僕は、躊躇なく申し出た。ハブはしばらく考え込んでいた。
「教頭先生には、とりあえず正式部の名簿は渡す。同好会の分は審議中の団体がいるから金曜日の放課後まで待ってもらってくれ。」
そういって、紙の束を役員に手渡した。
「事情が変わった。君たちの申請を受け付けよう。ただし、認可するかどうかは君たち次第だ。がんばってくれよ、名探偵。」
いや、そこで切るじゃないんだが。
ハブの説明によると、各団体から提出されたメンバー表の一部が今朝、紛失したというのだ。もし、名簿を紛失したことが公になれば、名簿管理法違反で処罰されかねない。そこで、金曜の放課後までに密かに回収してくれというのだ。
僕たちは、事件を解決する探偵じゃないくて、名前を探すだけ。そう言おうにも、ハブのやつ集中モードに入ってまったく聞いてくれない。
僕は、とぼとぼと教室に戻ると二人に事情を説明した。