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番外編☆作者はまさか……

「ユリア様、大変です!昨日王都の本屋さんに行った時に、ノリス王国で今爆発的人気の本だと紹介されて前作と合わせて買ったんですけど……これって……」


 内容はこうだった。

 第1巻

 魔獣に襲われ、とある王国の侯爵家嫡男が亡くなった。主人公である妹は家族と共に悲しみに暮れた。

 母親の様子がおかしくなったのは、嫡男の葬儀が終わった頃からだった。

 跡継ぎが亡くなったので、必然的に妹が侯爵家を継ぐことになる。だが、妹の婚約者も以前魔獣に襲われて亡くなってしまったのだ。

 新たな婿を探したが、上位貴族で婿入りできるような男性はおらず、下位貴族を探すかとなったところで母親から待ったがかかった。


 夫である侯爵の血をなんとしても残したいから親子で子作りをしてくれと涙ながらに懇願されたのだ。

 娘にも当然侯爵の血が流れているのだが、侯爵の息子が欲しいとのことだった……

 母親は娘の出産がひどい難産だったためか、もう子供を作ることが出来ないから、どうか……どうかこの願いを叶えてと……

 しかし、さすがに侯爵も娘も首を縦に振らなかった。


 すると、侯爵夫人は生きる気力を無くし、どんどん痩せ衰えていった……

 下位貴族の令嬢を愛人に迎え入れて子を生ませてはどうか?と提案したこともあったが、夫を取られてしまうと激しく嫌がり、娘と子作りをしてくれと日々涙ながらに懇願され、このままじゃ母親が死んでしまうと先に折れたのは娘だった。


 何とか数度で妊娠し、それを聞いた侯爵婦人はどんどん元気になった。

 生まれたのは可愛らしい男の子だった。侯爵や亡くなった嫡男と同じ水色の髪に水色の瞳で、侯爵婦人は亡くなった嫡男の名前をつけ、娘から取り上げるように自分の手で育て始めた。

 おそらく、侯爵婦人の目には、亡くなった嫡男に見えていたのだろう……


 子供が歩き始めた頃、風邪を引いて数日間高熱が続いた。

 その時、急に嫡男が亡くなったことを思い出した侯爵婦人が荒れに荒れて、何としてももう1人息子がいると言いだした。

 もう、男児でも女児でもこれで最後だと母に言い聞かせ、娘はまた妊娠した。

 そして生まれたのは水色の髪に侯爵婦人や娘と同じ琥珀色の瞳の天使のように綺麗な息子だった。

 だが、侯爵婦人は生まれた子供にはあまり関心を示さず、亡くなった嫡男とそっくりな長男ばかりを可愛がった。


 長男がやっと言葉を上手に話し始めた頃、侯爵と夫人の乗る馬車が事故にあい、2人は呆気なく亡くなってしまった……

 幼い子供達を抱え、娘は途方に暮れたが、長男の「おかあさま、なかないで?」と心配そうに自分を見上げる姿に、泣いている場合ではない!

 いずれこの子達は生まれのせいで苦労するかもしれない!私が強くなってこの子達を守らなければ!


 と決意に燃える所で物語は終わる。10数年前にノリス王国で爆発的人気をほこった作品だった。

 この度その2巻がめでたく発行されたのだが……女侯爵となった娘の息子達の話で、主に次男の話がメインだった。


 幼い頃、天使のように愛らしい王女様と出会うが、大きくなるにつれ回りに色々言われ、自分が隣にいるべきではないと身を引き数年間二人の間には溝が出来てしまった。

 だが、諦めなかった王女様にどんどん次男の心の氷が溶け……と言う涙無しには読めない物語だった。

 もちろん、学園での生活、ライバル令嬢に他国の王子、魔獣事件等々何処からどうみても……

 ぱらぱらと本をめくっていたユリア様が顔を赤くしてプルプル震えだした。


「お、お母様ー!!」


 やっぱりそうですよね~……あれ?そう言えば学園の図書室から引き取ったノリス語の本の作者て……あ~……

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