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side ユリア 下

 週末は帰るように言われていたので、私は慌てて準備をした。先週末会ったルーカス殿下が、来週から入学するので色々案内したりしないといけないらしい……

 正直あまり好きでは無いが、王族としての務めはきちんとこなさなければ……そう気分を切り替え、馬車に乗った。

 城へは昼食前に着き、家族と共に昼食を取ることになった。なんとあのウィルが女の子を連れてきたのだとか。


 誰かな?と思っていると、何故か男装姿のディアナ様がウィルに連れられてやって来た。男装していてもこんなに女性らしく品があって美しいなんて……

 母が興奮して暴走しそうになったので、反射的に止めてしまったが、自分でも驚くほど声がキツくなってしまい自己嫌悪に陥った。

 ディアナ様は緊張しているようだが、美しいだけじゃなくマナーも完璧で、テストも1位だしダンスも上手いし、私が敵うものなど何1つ無かった……


 昼食後、母に呼び止められた。


「ユリア、元気が無いようだけど何かあったの……?

 お母様には言いにくいわよねきっと……それに、今は思春期だからきっと色々悩んでしまう時期なんだと思うわ。

 この時期無性にイライラいたり悲しくなったりするのは、大人になるために避けては通れない道なのよ?だからもう少し肩の力を抜いていいのよ?

 貴女は本当我が儘なのにくよくよ気にしすぎるところがあるものね~、でもこれだけは忘れないで?

 何もしないで後悔するよりも、恥ずかしくても自分に素直に生きる方が、人生100倍は楽しくなるわよ!うふふ

 それとね、笑顔のユリアはディアナさんと同じくらい可愛いわよ?本当、こんな私の子供なのにビックリするくらい可愛くて……うふふふふ

 ねえ、今から「あ、ありがとう!もう行くね!」」


 何だか後ろから母の叫び声が聞こえた気がするが気のせいだろう!それにしても……笑顔の私がディアナ様と同じくらい可愛いなんて……親バカもいいところだ。

 でも、無条件に愛されていて……少しくすぐったくもあったが、母と話したことで胸のどろどろが浄化された気がする……さすが聖女!


 部屋に戻る途中、侍女をちゃらちゃらナンパしているルーカス殿下が見えたので、急いで回れ右してその場を去ることにした。

 何とか逃げれたかな?と思っていたら、正面から泥だらけで楽しそうにおしゃべりしているウィルとディアナ様が来た。

 母に言われたことを思い出して、勇気を出してジークとの関係を聞いてみることにした。どうやらまだ恋愛には発展していなかったらしい!母を信じて聞いてみてよかった!

 しかも何やらウィルはディアナさんにベタ惚れしているようだ……ここはウィルに何としても頑張ってもらわなくては!

 おしゃべりしてみるとディアナさんはとても素直で話しやすい子だった。あんなに恐怖に感じていた自分が恥ずかしい。


 楽しく話していたのに邪魔が入ってしまった……仕方が無いのでルーカス殿下に庭園を案内することにしたが、ベタベタと触ってきてとても気持ち悪い……

 ざざっ!何と土が飛んできてドレスが汚れてしまった。申し訳ありませんと必死に謝っているベンだが、おそらく私を助けるためにわざとそうしたのだろう。

 もちろん気にしないでと言い、着替えなければいけないのでとルーカス殿下から逃げることが出来た。侍女にお願いして、ベンにはお礼にお菓子と刺繍を入れた新しい軍手を渡してもらった。

 母にベンに侍女達に……もちろんお父様も……、こんなにも何も無いつまらない私を愛してくれる人達がいる……そう思うと、少しだけ強くなれた気がした。


 晩餐や家族だけのパーティーは楽しく、ウィルの頑張ってる姿を見て、私も逃げずに頑張ろうと決めた!

 どんなに避けられても嫌われても、ジークの隣だけは絶対誰にも渡さない!私以外に優しい目を向けるのを見るくらいなら、どんなに嫌われてでも側にいる!

 そして、もう誰にも絶対にジークを傷付けさせないんだから!

 翌日、昼過ぎに寮に戻ろうと馬車に向かうと、何故かキャシーちゃんが私の馬車に危険でもあるかのように激しく抵抗して乗せてくれず、走り出してしまった。

 仕方無いので追いかけて少し離れた場所にあるウィルの馬車に乗り込んでようやくキャシーちゃんをを捕まえて、窓からこっそり自分の馬車を見ていたら……何と中からルーカス殿下が降りてきた!

 キョロキョロ見回して私を探しているようだ……馬車の中で2人とか……怖くてキャシーちゃんを抱き締めていると、ウィルとディアナさんが驚いたように乗ってきたので、急いで馬車を出してもらった!

 キャシーちゃん……本当にありがとう!もふもふもふもふ

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