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 それから14日後、なんとディアナは何事もなく無事王都に到着した。

 本当は10日で着くのだが、途中キャシーを籠から出してゆっくり散歩しながら進んだり、気持ちのいい花畑を見つけて昼寝をしたりとしているうちに、すっかり遅くなってしまったのだ。

 少し余裕をもって出発したはずなのに、気付けば翌翌日に入学式と言うギリギリの到着になってしまった。

 あせっているのに布を巻いていたせいか、すんなり王都に入ることが出来ず、布を取って素顔を見せたり入学許可証を見せたりと無駄に時間がかかってしまった。

 本来なら道中ゆっくり王都を見学したかったのだが、すでに昼過ぎとなってしまい、あわてて学園までシンディを走らせた。

 すごい勢いで馬で駆けていたからか、人々は怯えたように道をあけ、学園へはすんなり到着出来た。

 巻いていた布は王都に入るさいに外したままで素顔だと言うのに、学園の入口でまた王都に入る時と同じように詳しく調べられた。

 王族を含め、多くの貴族が通う学園なのでセキュリティーがしっかりしているんだなとディアナはさほど気にならず、そろそろ日が傾いてきたので、早く入寮手続きがしたいな~等とのんびり考えていた。


 確認が取れたため、やっと入っていいと言われたので急いでシンディにまたがり、寮へと向かったら何やら後ろから『お待ちくださーい』と聞こえた気がした。

 でもまぁ入っていいと言われたし、自分じゃないだろうとディアナは気にせず進むことにした。

 寮の前にテントがあり、テーブルと椅子も用意されていて、そこで入寮手続きが行われているのが見えた。

 ギリギリに到着したはずだが、数人並んでいるようだ。実は王都に住む高位貴族は、ギリギリに入寮するため、今日ほとんどの貴族が入寮することになって列が出来ていたのだ。

 ディアナが到着したのは、その列が残りわずかとなったタイミングだった。

 最後尾にいた1人の男子生徒がディアナに気付き、いきなり襲いかかってきた!


「この、魔獣め!」


 そう言って剣を抜いてこちらに向かって走ってきたので、ディアナはシンディの背から飛び降りて剣を受け止めた。


「いくら田舎者だからって、魔獣呼ばわりはさすがに酷いんじゃない?髪が黒いから?こんなのうちの領では普通よ!」


 男子生徒はいきなり飛び出して来た者に剣を受け止められ驚いたが、それよりもそれがとても美しい少女だった事が衝撃だった。


「え?いや……君の事を魔獣と言ったわけでは……君は……その……とても美しいし……」


「は?今さら言い訳しても遅いわよ!さっき魔獣って言って襲いかかってきたじゃない!」


 しどろもどろになって顔を赤らめている男子生徒に、ディアナの怒りはおさまらなかった。


「アトウッド伯爵令嬢~、やっと追い付きました……はぁはぁ……

 その、お連れの馬がとても珍しいので誤解を与えかねないと思いご一緒しようと思ったのですが……遅くなりすみません……はぁはぁ……もしや、遅かったでしょうか?」


 先程の門番が息を切らせて追いかけてきたようだ。

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