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「そう言うわけで、何故か勉強会が決定してしまったのよ……私1人じゃ気まずいし、ウィルが一緒に来てくれると有り難いな……なんて」
「あのくそ王子……!姉上を侮辱するとは……絶対許さん!」
「お、落ち着いて!確かにくそだけど、一応王子だから……さすがに何かしちゃうと……それこそお詫びにユリア様を差し出さなかったら戦争するぞ!とかなりかねないからね?」
「くっ……!あの微弱聖女も男好きなんだからさっさと落として連れてってくれればいいものを……ちっ!
とりあえず月曜からは放課後だけじゃなくランチも姉上とジークフリード殿と一緒に食べよう。女だけじゃ心配だからな。
寮までも送るようにしないとな……はぁ、今度のオリエンテーリングが心配だな……班は完全くじ引きだからな……まぁ教師が買収されない限り大丈夫だとは思うが……
はぁ……ディアナの事も心配だ。同じ班だといいんだがな……」
そうなのだ。1ヶ月後、期末試験の翌日オリエンテーリングが開催される。班はくじ引きで、男女4人ずつの8人で行動を共にする。
どの班にも平民が2人ずつ振り分けられるのだが……嫌な予感しかしない……何事も起こりませんように……
月曜日から、さっそくランチは4人+ユリア様の親友のメアリー様と、婚約者のオーガスト様の6人で食べることになった。
今まで全然気付かなかったけど、ジークフリード様のユリア様を見る目が熱い……そして殺気が凄い……これならあのくそ王子も近付け……るんだね。ああ、食事が不味くなる!
「これはこれはユリア様……今日はずいぶんと大人数なんですね。ですが……王女ともあろうお方が、穢れた血が流れている人間を側に置くのは「穢れた血ですか?それはまさか聖女である母の親友の子供の事じゃありませんよね?あらあら、殿下ともあろうお方が……母の親友を……あまつさえ、聖女である母の交遊関係を侮辱する発言をなさるなんて、意外ですわ」」
「なっ!私は別に聖女様の事は……」
「あ、そうそう、姉と婚約するなどと言う世迷い事を言っていたと噂で聞いたのですが、まさか真実ではありませんよね?
うちは聖女である母の強い希望で、どんな身分の者でもいいから1番好きな人と結婚するように言われているんですよ。
なので政略結婚は有り得ないんです。
ルーカス殿下ならご存知だとは思ったんですが、学園中の噂になっていましたので、ここで訂正させていただこうと思いまして……事実無根の噂が流れてしまって、ルーカス殿下にも大変ご迷惑をおかけしました。
ああ、美しい花達がお待ちのようですよ?」
「え、ええ、そうですね……では、私はこれで……」
きゃー!ユリア様かっこいい!ウィルもよく言った!
「ふふ、ウィルとディアナさんを見習って、頑張ってみたのですけどどうでした?
ジーク……もっと早くダンスレッスンの時のウィルの様に言えればよかったんだけど……辛い思いをさせてしまってごめんなさいね。
でも、ディアナさんを見てると勇気が出たの!次のパーティーではエスコートしてね!ジークが了承しなくても、おば様に言って圧力をかけてもらうわ!ふふふ」
「ユリア様……先程ルーカス殿下が言ったように、私の血は「穢れてませんって!穢れてたらシンディがなつかないって言ったでしょう?もう、ジークフリード様ちょっとしつこいですよ!
女性が勇気を出したと言うのに、男らしくありません!」」
「な……男らしく……」
「ぷっ!ふふふ……ジークの負けね!も~、ディアナさん最強ですわ!ふふふふふ」