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「実は昨日の事なんだけど、図書室にいたら微弱聖女から逃げてきたみたいで、久しぶりにジークフリード様が来たの。
そのすぐ後に、今度はユリア様が涙目で駆け込んできたのよ……」
-----金曜日の放課後-----
「ジークフリード様、お久しぶりです!大丈夫ですか!?」
「あ、ああ……あの聖女擬きは何なんだ……下品過ぎて……うっぷ、吐きそうです……
隙あらばベタベタ触ろうとして来るし、私だけは味方ですとか訳が分からないんだが……」
「確かに……ちょっと変わってますよね……スカートも、ビックリするくらい短いですしね……」
「はぁ……癒しが欲しい……」
バンッ!ダダダダダダダ
「ユリア!どうしたんだ!?」
「ユ、ユリア様!何かあったのですか?」
「ジーク……ディアナさん……う、ううう……」
そう言ってユリアはディアナに抱きつき泣き出してしまった。幸い、ルーカス殿下と微弱聖女のおかげで図書室には他に人がいなかったので、誰にも見られずにすんだ。
でもここじゃいつ誰が来るかわからないので、とりあえずそのまま何とか外国語コーナーまで移動した。
ひとしきり泣いて落ち着いたようで、ハンカチでも……と思ったが見つからずにワタワタしていると、ジークフリードがサッとハンカチを差し出した。
「ジーク……ありがとう……」
「それで、いったい何があったんだ?」
「う、うう……ルーカス殿下が……私と婚約するために留学してきたんだってみんなに言ってて……両国の友好の証しに、本当はあんな地味な女好みじゃないけど仕方無く結婚するんだって……」
「あのくそ王子!」
あ、今のは私じゃないですよ?ジークフリード様です……さっきから気になっていたんですけど、この2人はどんな関係なんでしょうね?
それにしても……
「本当くそですね……シンディの餌にしますか?」
「「ええ!?」」
「いえ。冗談ですよ?シンディはさすがに人間は食べませんから。でも、その位腹が立つと言うことです!
ユリア様はこんなに可愛らしいのに!あんな変態王子と結婚なんて有り得ませんから!」
「ああそうだ、ユリアは幼い頃から天使のようで……げほげほ、いや、ユリア様はとてもお綺麗ですので、あんなくそ王子の言うことなんて気にしなくていいですよ!
結婚だって、あの王妃様が許すとは思えません!だから心配しなくて大丈夫です!」
「じ、ジーク……そうよね、お母様もルーカス殿下を嫌っているから、きっと結婚なんてあり得ないわよね!
子供の頃から1番好きな人と結婚しなさいって言ってくれてるし……」
ユリアは顔を赤らめてジークフリード見つめていた……その表情は、同性であるディアナから見てもとても可愛らしく……って完全にお邪魔虫じゃないか!失礼しますと逃げようとしたが、2人にがっちり腕を掴まれてしまった……
「何を誤解しているんですか?」
「そ、そうよ、何処に行く気なの?」
それから何故か変態王子対策として、放課後は3人で図書室で勉強会をすることが決定してしまったのだった……解せぬ!