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寮に戻ると待ち構えていたドリー達に部屋に連れ込まれた。あれ?キャシー?何故ユリア様に……え?変態王子から守るための護衛?いや、女子寮だから大丈夫かと……ああ、ドアが閉められてしまった。
とりあえず、先にドリー達に色々報告しようかな。
「それで、どうして昨日は泊まることになったの?全部話して!」
「えっと、泊まることになったのは王妃様に着せ替え人形にされたからで……」
昨日と今日の出来事をかいつまんで報告した。
「きゃー、やだ素敵……!物語みたい!」
「真っ直ぐな性格で素敵ね……男らしいわ」
「それで、告白されてどう思ったの?」
「うん……その……凄くドキドキした。恋だの愛だのはまだよく分からないけど……一緒にいて凄く楽しいの
まだまだ時間はあるし、ゆっくり考えようと思う……」
「そうね……ゆっくり考えるのがいいと思うわ。私は、ウィリアム殿下、凄くいいと思うわよ。ふふふ」
「あ、そうそう、明日から来るルーカス殿下には気を付けてね!あのね……」
とルーカス殿下の危険を一生懸命伝えて話をそらすことに成功した。
「確かに……その王子ちょっと危険ね……でも紺色軍団のいい目眩ましになるかもしれないわ。
ウィリアム殿下はほら……いい人だけどちょっと愛想が無いじゃない?だから上辺だけを見てる子達は、きっとそっちに流れると思うわ。
それよりも気になるのは、微弱聖女の方よね……同じ平民として、あまりはしたない行動を取らないでいてくれるといいんだけど……
とりあえず、どっちにもあまり近付かないように気を付けましょうね」
「「「ラジャー!」」」
なるほど~、確かにあまり気にしてなかったけど、微弱聖女ちゃんも何やらやばそうなことをウィルが言ってたな~……学園が荒れなきゃいいけど……
嫌な予感とは大抵当たるもので、2人の編入によって学園の空気は一気に険悪となった。
微弱聖女ちゃんはとても可愛らしく、男子に媚びるのが得意なようで、すぐに下位貴族の取り巻きが出来た。
最初はウィルやアンソニー、アランやジークフリードにまでまとわりつこうとしていたが、誰も相手をせず……気付けば今の状況になるのに1週間とかからなかった。
ドリーの予言通り、紺色軍団はすぐにルーカスに鞍替えして、ウィルのまわりは静かなものになった。
「いや~、まじでスッキリした!ルーカス殿下もたまには役に立つんだな!なあ、紺色軍団も解体されたし、学園でも話しかけていいだろう?」
くっ!あざとい……そんな子犬みたいな目でお願いされたら断れないじゃないか!
「まぁ……そうね……今なら大丈夫そうだしね
平日の放課後も図書室で勉強会する?」
「する!あ、でもジークフリード殿もいるんじゃないか?大丈夫なのか?」
「ええ、まぁ……ユリア様もいるしね……」